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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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ベッドの上

あれから、秋沙姉に退いてもらい俺は秋沙姉の部屋を出た。

秋沙姉は不満そうだったが、頭を撫でてみたら喜んでいた。

それから俺は、今度は春乃の部屋に行く。

すると、


「ちょっと春乃!これは要らないでしょ!」

「何言ってるの真海!これは必需品だよ!」


春乃の部屋から春乃と真海ちゃんの声が聞こえる。

しかも、少し言い争っている様だ。

俺は急いで部屋と扉を開ける!


「2人共!喧嘩しちゃダメだよ!」


部屋を開けると同時に俺は2人にそう言う。

すると、


「「……」」


何かを引っ張り合っている2人が俺の事を見ている。

そして、2人が互いに引っ張っている物を見ると、まさかの俺の服だった…。

何故、俺の服を?


「お、お兄ちゃん!?」

「せ、先輩!?」


俺が疑問に思っていると、2人が俺の事呼ぶ。

その瞬間、真海ちゃんの手から俺の服が放されて春乃の手に渡る。

その瞬間、春乃が物凄い機敏な動きで俺の服を袋の中にぶち込む…。


「あの…春乃?さっきの俺の服だよね?」


俺がそう聞くと、春乃は首が取れてしまうんじゃないかと思う程、首をブンブン振る。


「嘘は駄目だよ春乃。さっさと先輩の服を渡しなさい」


そんな春乃に、真海ちゃんが手を出しながら春乃にじりじりと近寄る。

それと同時に春乃が後ろに下がる。

すると、


「そんな事言うなら、真海の準備は出来たの?」


春乃が真海ちゃんにそう言う。

すると、真海ちゃんは胸を張って、


「私はもう完璧だよ!」


そう自信満々で言う。


「じゃあ、見せてよ!」


春乃がそう言うと、自信満々な感じだった真海ちゃんが固まる。

どうしたんだろう真海ちゃん?

俺が真海ちゃんの様子の変化にそう思っていると、


「そ、そんな事しなくても良いじゃん!」


真海ちゃんが春乃にそう言う。

その表情はおどおどしていて、どこか怪しい…。

少し汗も掻いているのか、真海ちゃんの頬が光る。


「お兄ちゃん!真海の部屋から持って来て!」


春乃が俺にそう言うと、真海ちゃんが俺の事を見る。

その眼は真剣で、俺の事を信頼しているような眼だ。


「は、春乃。そこまでしなくても良いんじゃないか?」


俺が春乃にそう言うと、春乃は眉間にしわを寄せる。


「お兄ちゃん!」

「は、はい!」


春乃に一喝されてしまい、思わず背筋を伸ばしてしまった。


「取ってきて?」


春乃がニコッと笑いながら俺にそう言ってくる。

すると、


「分かった!じゃあ取りに行ってくる!」


真海ちゃんが大きな声でそう言う。

だが、


「真海じゃダメ!お兄ちゃんじゃないと」


春乃は真海ちゃんの言葉を却下する。


「ね?お兄ちゃん。真海の部屋に行ってきて」


春乃の言葉に俺は真海ちゃんの事を見ると、真海ちゃんは少し涙目になっている。

だが意を決したのか、こくこくと俺に頷いてくる。

真海ちゃんの許可が出たから、俺は春乃の部屋を出て真海ちゃんの部屋に行く。

真海ちゃんの部屋に入ると、


「あれ?」


前に来た時より少し散らかっている様だが、普通な感じだ。

俺は真海ちゃんが用意した荷物入れを探すと、ベッドの上にそれらしき物を見つけた。

ベッドに近づくと、


「あれ?」


真海ちゃんのベッドに見慣れた物を見つけた。

それは、俺の服一式だ…。

つまり、下着も含まれている。


「何でここに…俺の服が…下着が…」


俺はそう呟いて、何も見なかった事にしようと思い、ベッドに置かれている荷物を持って真海ちゃんの部屋の出る。

部屋を出て春乃の部屋に戻ると、すでに言い争いは終わっている様で、春乃も真海ちゃんも大人しく座っている。

ただし春乃は大人しく座っているのに、真海ちゃんは微かに震えている。


「えっと、これ持って来たけど」


俺がそう言うと、真海ちゃんがビクッと動く。


「お兄ちゃん、それは別に良いんだよ。真海の部屋、見てきた?」

「う、うん」

「感想は?」

「普通の部屋だったよ」


俺がそう言うと、真海ちゃんが顔を上げる。


「お兄ちゃん、それ本当にそう思って言ってるの?」


俺の言葉を聞いて、春乃が俺の事を見ながらそう聞いてくる。


「うん。普通だったよ」

「そ、じゃあこれも普通だよね」


俺の言葉を聞いて瞬間、春乃が自分の服の下から俺の服を取り出して荷物を入れる袋の中に突っ込む…。

本当なら返して欲しいのだが、もしそれを言ったら真海ちゃんの部屋の事に関してまた話しが戻ってしまうので何も言えない…。


「と、とりあえず2人共、準備は出来てる?」


俺が2人にそう聞くと、春乃も真海ちゃんも頷く。


「良かった。近いうちに出発だからね」


俺がそう言うと、2人が頷く。

俺は2人が頷いたの確認して、春乃の部屋から出る。

後は、家を任せる皆の所に行かないと。


「柊先輩」


俺がそう思っていると、後ろから声を掛けられる。

後ろを向くと、真海ちゃんが申し訳なさそうにしている。


「どうしたの真海ちゃん?」


俺がそう聞くと、真海ちゃんは、


「その、私の部屋の事…すみませんでした」


俺にそう言って頭を下げる真海ちゃん。


「聞いても良い…事なのかな?」

「その…出来れば聞かないで貰いたいです」


俺がそう聞くと、真海ちゃんは顔を赤く染めながら俺から目を逸らす。


「じゃあ、聞かないよ」

「…ありがとうございます」


真海ちゃんはそう言って、俺に一歩近づく。


「どうしたの?」

「その…春乃の所為なんです。私はそういう趣味は無かったんですけど。春乃の影響なんです」


何も聞いて無いのに、真海ちゃんがそう言ってくる。

見ると、目がグルグルしている…。

完全に混乱してる…。

俺はそう思うと、


「せ、先輩。こんな私でも良いですか?」


真海ちゃんが俺にそう聞いてくる。


「大丈夫だよ。ま、まぁ後日でもいいから返してもらえたら嬉しいかな?」


俺がそう言うと、真海ちゃんは笑顔で、


「堪能したら交換しましょうね先輩」


そう言った。

真海ちゃんはそう言って春乃の部屋に戻って行ってしまった。

交換って何だろう?

俺はそう思いながら、ティアやコレットさんの所に行こうと廊下を歩きだす。


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