シュルドー王国
明日の更新は16時丁度にしますので、よろしくお願いします。
翌日、俺とリーシャはヴェルーズ冒険者ギルドに来ている。
昨日のうちに皆に話をしておいて、今日から皆それぞれ準備に入った。
買い物や装備の点検などで、皆忙しそうだった。
朝の皆の事を思いだしながら俺がそう思っていると、
「すまない。遅れてしまった」
後ろからザールさんの声が聞こえる。
「いえ、大丈夫ですよ」
俺はそう言って後ろを向くと、ザールさんと何故かやつれているヤニック。
「どうしたんですか?後ろのヤニックは?」
俺がそう聞くと、ザールさんが苦笑いしながら、
「実は色々あってな。コイツの故郷に行く事にしたんだが…それでな」
そう説明してくれる。
ヤニックの故郷ってどこなんだ?
俺がそう思っていると、
「行ってからのお楽しみだ」
ザールさんが俺にそう言ってくる。
その後フェリアンさんに一度会い、どれくらい用意してくれるのか聞いてみた所、1つの種類の回復薬を50個ずつ集める事はすぐにできるそうだ。
最終的に100個ずつは確保してみせると、フェリアンさんはやる気に満ちていた。
それから俺達はギルドを出発した。
今はヴェルーズの町の門の所まで来ている。
「シュウ、移動に関しては任せてくれと言っていたが、どういう事なんだ?」
ザールさんが俺に聞いてくる。
「それは簡単です」
俺はザールさんの質問にそう答えて、自分とザールさん達の体に魔素を纏わせる。
それと同時に主に脚に対しての魔素の操作を強化する。
これで、走って行く事が出来るはずだ。
「これで大丈夫です」
俺がそう言うと、ザールさん達は流石によく分かってない様子だ。
普通の人には見えないから、仕方がない事だが。
「少し走ってみて下さい」
俺がそう言うと、ヤニックが門に向かって駆ける!
あ…。
「ギャアァ!」
門に思いっきりぶつかってしまった。
「ほう。加速魔法を使っていないのにあの速さか」
そして、ザールさんがそんなヤニックを見て驚いている。
ヤニックの事ではなく、速さにだが…。
アルベールさんは速さに影響とかあるのかな?
俺はそう思いながら、ヤニックの傍でふわふわ浮いているアルベールさんを見る。
すると、
「では、行こうか」
ザールさんの一言で、ヤニックが俺達の所に戻ってくる。
それから俺達は、物凄い速さで次々と町に行っては、その町の人が困らない様に配慮しながら買い物を続けていった。
そうしていると、やがて大きな門が見えてきた。
結構な距離を移動しているから、おそらくはどこかの王国なのだろう。
『あんなところに王国が出来ていたのね』
腕になっているリーシャがそう言う。
つまり、まだ歴史は長くない国なのだろうか?
俺がそう思っていると、
「あぁ…行きたくねえ」
ヤニックがそう呟く。
どうやら、あの国がヤニックの故郷のようだ。
その後、俺達はヤニックの故郷まで走った。
近くで門を見ると、結構な高さがある。
門を通ると、普通の町並みに見える。
すると、
「おぉ!ヤニック様!お帰りになったのですか!」
町の人がヤニックを見た途端、ヤニックに近寄りながらそう声を掛ける。
ヤニック…様?
俺がそう思っていると、
「様付けするな!俺は冒険者のヤニック!ヴェルーズ冒険者ギルドの期待の新人なんだ!」
ヤニックが話しかけてきた町の人にそう叫ぶ。
その声に、周りの人が一斉にヤニックの事を見ると、
「「「ヤニック様だ!」」」
そう声を出して俺達、というかヤニックに突っ込んでくる!
俺は慌てて、こちらに突っ込んでくる町の人を躱す。
見ると、ザールさんも上手く躱している。
アルベールさんはふわふわ少し高い所に上昇している。
「ギャアァ!押すな!静かにしろ!」
人混みの中から、ヤニックの声が聞こえてくる。
『す、凄いわね』
リーシャもヤニックに集まっている人達を見てそう呟いている。
「どういう事なんですか?これ」
俺は隣にいるザールさんにそう聞くと、
「隠していた訳では無いんだが、ヤニックは実はこのシュルドー王国の次期王になるかもしれないんだ」
ザールさんがとんでもない事を教えてくれる!
「え!という事は、ヤニックって王族だったんですか?」
俺がそう聞くと、ザールさんが苦笑しながら、
「そういう訳では無い。実は…」
何かを答えようとした瞬間、
「ヤニックが帰ってきたと聞きましたわ~!どこですの我が愛しのヤニックは~!!」
女性の大きな声が響き渡る。
声がした方向を見ると、なんていうか…王女様がいた。
いや、王女様なのかはわからないが、凄く王女様なのだ。
ティアやコレットさんよりも王女様っぽい。
キラキラした豪華なドレスに、縦に巻かれた髪。
ティアやコレットさんは普通にある程度長さで何も弄っていなかったが、あの人はどうなんだろう?
あの髪とか絶対に自然ではないと思うんだけどな…。
俺がそんな失礼な事を考えていると、
「ぁぁ…助けて師匠」
ヤニックの助けを求める声が聞こえる。
隣を見ると、ザールさんは苦笑いをしているだけ。
ヤニックを助けるつもりは無い様だ。
俺がそう思っていると、
「王女様~!ヤニックはここです!」
「やめろお前ら!裏切者!」
町の人がヤニックの事を胴上げしながら、王女様を呼ぶ。
やっぱり王女様なんだ…。
そして、ヤニックを見つけた王女様は、
「あぁ!ヤニック!私のヤニック!」
そう言ってヤニックの元に走ってくる。
「ザールさん、これはどういう事なんですか?」
俺がそう聞くと、
「まぁ、簡単に話すと、ヤニックはあのアンリーヌ様に好かれているんだ」
ザールさんがそう答える。
「でも、何でヤニック喜んでないんですか?いつものあいつなら跳びながら喜びそうですけど」
「まぁ、最初はあいつも喜んでいたんだがな」
「何かあったんですか?」
俺がそう聞くと、ザールさんは顔を青くしながら、
「あいつが他の女に手を出そうとしたら、色々と…入れられたらしい」
そう言った。
ザールさんが顔を青くする程…。
『なんかレイカ達と同じ感じではあるけど、お仕置きの方法は違うわね』
リーシャが冷静に分析する。
「ん?ヤニックから女性の匂いがしますわ…」
そうしていると、王女様がヤニックの服の匂いを嗅ぎそう言う。
「昨日ヤニック、酒場で看板娘に抱き付いていましたね」
上からアルベールさんが下りてきながらそう教えてくれる。
「ヤニック?お仕置き確定ね」
「アーッ!!!!」
ヤニックの悲鳴が上がり、それと同時に町の人達に笑いが走る…。
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