話し合い
ヤニックの言葉にフェリアンさんと俺は固まり、ザールさんがヤニックを殴る。
その後、とりあえず皆一回落ち着いてから、再度しっかりと話し合う事に。
「んん!では改めて、シュウさんとザールさん達、どうしたのですか?」
「実は、近いうちに魔神復活の阻止をするために、魔族達の本拠地に向かうつもりなんです。そこで、ザールさん達も同行できないかと思いまして…」
フェリアンさんの質問に俺はそう答えて、ザールさん達を見ると、
「俺もそのつもりだからな。問題ない」
そう答える。
そして、ヤニックの事を見ると、
「だが、ヤニックとアルベールは…」
何かを言おうとして、
「行きます師匠!」
ヤニックの言葉に遮られた。
まあ、ヤニックの事だから付いて行くと言うとは思ってたけど。
俺がそう思っていると、
「そうですね。こればっかりはただのギルド長が止める訳にはいきませんし、良いですよ」
フェリアンさんが許可してくれた。
「ありがとうございます」
俺はフェリアンさんに頭を下げてお礼を言う。
「いえいえ。無事に戻ってきてくださいね」
フェリアンはそう言って、俺達の事を見渡す。
すると、フェリアンさんがヤニックの事を見る。
「ヤニック、無理をしてはいけませんよ」
「はい!任せて下さい!」
「貴方だけが死にそうですからね」
「何で俺だけなんですか!?」
どうやら、フェリアンさんもヤニックの事をよく見ている様だ。
だが、
「大丈夫ですよ。私が付いていますから」
アルベールさんがフェリアンさんにそう言う。
そう、ヤニックだけなら心配だが、アルベールさんが一緒なら大丈夫だろう。
「アルベールに任せておけば、ヤニックの死体を見なくて済みそうだな」
ザールさんが笑いながらそう言うと、
「師匠まで~!」
ヤニックが絶叫する。
そんなヤニック弄りにギルド長室にいる皆が笑う。
この平和な時間を護るために、頑張らないといけないな。
その後は、フェリアンの部屋で話し合いになった。
「少しだけ待ってくれないか?」
ザールさんが俺にそう言ってくる。
「大丈夫だとは思いますけど、どうかしたんですか?」
俺がザールさんに質問すると、
「まだ、必要な物を揃えていない。あれだけ強かった者達がいる所に行くんだ。持てる物は最大限持っていきたい」
ザールさんがそう答える。
「なるほど。回復薬などの事ですか?」
フェリアンさんがザールさんにそう聞くと、ザールさんが頷く。
「そうですね。あれだけ強いと、簡単に回復させてくれるかはわかりませんが、準備しておくのは大切です」
アルベールさんもそう言う。
「俺の家族に調合が凄い子がいますけど、彼女にばかり任せるのも出来ないですし…」
俺がそう言うと、
「家族!?彼女!?どういう事だシュウ!」
ヤニックが俺にそう言ってくる…。
「そこまでしてもらう訳にはいかない。自分達の物くらい自分達で集めるから大丈夫だ」
「無視!?」
ザールさんが俺にそう言ってくれる。
あとヤニック、悲しい顔で俺の方を見ないでくれ…。
「ギルドの方でも、出来る限り協力させて貰います。満足に足りるかはわかりませんが、こちらでも用意しましょう」
「助かりますね」
フェリアンさんの協力にアルベールさんがお礼を言う。
「武具の心配はなさそうですが、他には何か必要な物とかありますか?」
更に、フェリアンさんが俺達の事を見ながらそう聞いてくる。
「移動手段は…どうするんですか?」
ヤニックがおそるおそる俺達に聞いてくる。
「移動手段と言っても、馬ですかね?」
ヤニックの提案に、フェリアンさんがそう呟く。
だが、移動手段は俺が考えてある。
「移動手段なら、俺が何とかしますから大丈夫ですよ」
俺がそう言うと、
「任せる」
ザールさんがそう言ってくれる。
それからも話し合いは続き、気がついた時には既に夜になっていた。
「それでは、今日はこれまでという事で」
フェリアンさんの言葉で、俺達はギルドを後にした。
俺がやらないといけない事は特にないのだが、ザールさん達のやる事は多そうだった。
主に持って行く物の調達なのだが、量が多いのと各地から集めないといけないのが大変らしい。
そこで、俺が少し手伝う事にした。
と言っても、速く動けるようにするだけなのだが…。
俺はそう思いながら、家に帰る。
すると、エルミールさんが出迎えてくれる。
「おかえりなさいませ」
「ただいま。珍しいですね、エルミールさん1人というのは」
俺がそう言うと、エルミールさんは苦笑いをして、
「ルリィさんは、皆様が出ることを聞いた瞬間に自室に籠ってしまいました」
そう言った。
どうしたんだろう?
「そうなんだ。ごめんエルミールさん、少し見てくるね」
「わかりました」
俺はエルミールさんにそう言って、ルリィの自室に向かう。
廊下を歩いて、ルリィの自室の前に立つ。
扉を3回ノックすると中から、
「どうぞ入って下さい」
ルリィの声が聞こえた。
扉を開けると、床一面に様々な物が置かれていた。
草や根、おそらく薬草なんだろう。
それを調合する為の道具に、出来た物を入れる瓶。
「あ、おかえりなさいませご主人様」
部屋に入った俺の事を見てくると、ルリィが嬉しそうな顔をしてそう言ってくる。
だが、手は止まらないで動かし続けている。
「ルリィ、もしかして皆の事を心配して?」
俺がそう言うと、ルリィが手を止める。
「はい。それに、私も皆様の力になりたいです。だから、私に出来る事をしたいんです」
俺にそう言うルリィの瞳は、とても真剣である。
「わかった。ありがとうルリィ」
「はい!」
俺の言葉に、元気に返事をするルリィ。
「だけど、無理はしないでね。ルリィが無理して倒れちゃったりしたら、俺も勿論、皆も心配するからね」
「はい!わかりました」
ルリィはそう言って、立ち上がろうとする。
すると、
「わわッ!」
ルリィが倒れかける!
慌ててルリィの体を抱きしめる。
「大丈夫ルリィ?」
「は、はい!ありがとうございます」
ルリィは俺にお礼を言うと、俺の事を掴んでいる手に力が入る。
「ご無事で…帰って来て下さいね」
「うん。皆で絶対に帰って来るよ」
俺がそう言うと、ルリィが俺からほんの少しだけ離れる。
そして…。
「愛しています、ご主人様」
ルリィはそう言って、俺にキスをしてくる。
俺もルリィを受け入れる。
少しして、ルリィが俺から離れる。
見るとその顔は真っ赤になっていて、どれだけルリィが頑張ってキスしてきたのかが分かる。
「あ、わ…私!ご飯作りに行ってきます!」
ルリィはそう言って走って部屋から出て行ってしまった。
読んで下さってありがとうございます!
ブックマークして下さった方、ありがとうございます!
評価や感想、ブックマークをして下さると嬉しいです。
誤字脱字がありましたら、感想などで教えて下さい。
よろしくお願いします。




