反省
あれから俺とリーシャとアルは、獅子原とルゼバラムと戦った場所で座っていた。
俺1人だけ、凄く疲れているのが情けない…。
「…にしても、厄介な事になったな」
「そうね。まさかあんなのが復活してたなんて思わなかったわ」
俺が1人反省をしていると、リーシャとアルが話し始める。
2人の顔を見ると、とても嫌そうな顔をしている。
「あのルゼバラムって、2代目魔神なんでしょ?」
俺がそう聞くと、
「そうよ。昔、私達が消滅させたはずなんだけど…」
リーシャがそう答える。
「オレもそう思ってたんだが、まさかな~…」
アルも少し考えるように腕を組む。
どうやら2人共、全くの予想外な事が起きたって事なんだろう。
「アル、魔神が復活?召喚?されるのって、膨大な魔力が必要なんだよね?」
俺がそう聞くと、アルは俺の事を見て、
「あぁ。膨大な魔力自体に意思を持たせるようなモンなんだ」
そう答える。
「じゃあ、今回ルゼバラムが復活したのも、膨大な魔力が使われたのかな?」
俺がそう言うと、アルが、
「あっ…」
何かに気づいたようで、短く声を出す。
するとリーシャが、そんなアルに、
「どうしたのよアル?」
そう聞く。
リーシャにそう聞かれたアルは、
「あのシュウの知り合いの体に入ってるって事は、そんなに魔力は必要ないな。どちらかと言うと、体は既にあるんだから、あいつのある程度の魔力があれば十分だ」
そう言った。
つまり、獅子原の体にルゼバラムの魔力を入れてしまえば、膨大な量よりは少ない方で良いのだろう。
「でも、それならおかしいわ。私とアルは完全にあの魔神を消滅させたはずよ」
アルの言葉にリーシャがそう言う。
リーシャがそういう認識という事は、完全にそうだったのだろう。
俺がそう思っていると、
「オレの認識もそうなんだがな~…」
アルがそう言って、地面に横になる。
「アル、汚れちゃうよ」
今ここは、戦闘で地面が抉れていたり、色々と大変な事になっている。
そんな所で横になってしまうと、土が付いてしまったりしまう。
「ん…じゃあ足借りるぞ」
「あぁッ!!」
アルが一言言って俺の足に頭を乗せると、リーシャが声を出す。
「何してるのアル!そこは私のところよ!」
リーシャがアルにそう言うと、アルの事を起こそうとする。
「やめろよリーシャ~…。急いで来たから疲れてるんだよ~」
リーシャに揺さぶられているアルが、リーシャに文句を言う。
アルの顔を見ると、本当に眠たそうだ。
「私だってシュウにしてもらいたいのよ!アルが最初なんてズルいわ!」
「や~め~ろ~…」
そんなアルをグラグラ揺らすリーシャ。
「まぁまぁリーシャ」
俺がリーシャを止めると、リーシャが俺の事をムッとした顔で見てくる。
「シュウ?」
あっ…少し怒ってる…。
すると、
「シュウを責めてやるなよリーシャ~。ほれ、オレの隣に横になればいいじゃねぇか」
アルがそう言って、頭を少し横に移動させる。
すると、リーシャは少し考えてから、ゆっくりとアルの隣に横になる。
「少し狭いわ」
「仕方ねえよ。2人なんだからよ」
リーシャの言葉に、アルがそう返す。
俺が下を見ると、リーシャとアルの綺麗な顔が並んでいる。
2人共目をつぶっている。
俺は無意識に2人の頭を撫でる。
「ふふ…シュウ~…」
「あ~、これはヤバいわ~」
すると、2人がふにゃっと顔が緩む。
その後2人を撫で続けていると、2人共静かな寝息を立てながら眠ってしまった。
俺は2人が起きるまで頭を撫で続けた。
それから数時間後、2人共目を覚ました。
「凄く気持ちよかったわ。ありがとうシュウ」
「あ~!良く寝れたぜシュウ!ありがとな!」
俺にお礼を言う2人。
「それなら良かったよ」
その後、俺とリーシャとアルは3人で帰る事になった。
と言っても、リーシャの転移魔法で帰るだけなのだ。
リーシャの転移魔法で家に帰ってきた俺達3人は、出迎えてくれたルリィによってお風呂に放り込まれた。
3人でさっぱりしてから夕食を食べて、いつも通り皆と寝る事になった。
ちなみに、怜華さんには3人でお風呂に入った事に関して尋問を受けたのは大変だった。
そして翌日、俺はリーシャとアルと一緒に昨日来たところに来ている。
俺が2人に頼んで一緒に来てもらったのだ。
「それで、どうしたんだシュウ?」
アルが俺に聞いてくる。
「2人に頼みたい事があるんだ」
俺はそう言って、頭を下げる。
「どうしたのシュウ?」
リーシャが俺に聞いてくる。
「俺と、戦って欲しい」
リーシャの質問に、俺がそう答えると、
「どうしたんだシュウ?」
「どうしたのシュウ?」
2人が声を揃えてそう聞いてくる。
「俺はもっと強くならないといけないんだ」
俺がそう言うと、アルが首を振るう。
「違うぞシュウ。シュウはもう十分に強くなってる。後は…」
そう言って言葉を区切るアル。
「後って?」
俺がアルに聞くと、
「1人で抱え込まないで、皆を頼る事よシュウ」
リーシャがそう答える。
俺はリーシャにそう言われて、肩の力を抜く。
皆に頼る…か。
俺がそう思っていると、
「シュウ、少し待っててね」
リーシャが一瞬で消える。
おそらく、転移魔法でどこかに行ったのだろう。
それから少しして、リーシャが戻ってくる。
そこには、怜華さんや秋沙姉、春乃と真海ちゃんが目の前にいる。
「皆の事も頼って良いんじゃないかしら?」
リーシャが皆を見ながらそう言う。
すると、
「柊ちゃん?もっと頼ってくれても良いのよ?寧ろ頼って欲しいわ」
怜華さんが俺にそう言う。
その言葉に皆が頷く。
良いのだろうか…。
皆の事を頼ってしまっても…。
俺がそう思っていると、
「シュウ、1人で抱え込んではダメよ」
リーシャがそう言う。
すると、
「シュウ、別にオレ達に頼る事は悪い事ではないぞ」
アルがそう言ってくる。
アルがそう言うと、皆が俺の傍に来る。
「ありがとう皆。その…よろしくお願いします。皆の力を貸して下さい」
俺は皆に向かってそう言うと、
「任せて柊ちゃん!皆で頑張りましょう!」
怜華さんが俺の下げている頭を撫でてくる。
俺は…1人じゃないんだ…。
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