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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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実験

あれから怜華さんの話によると、2人が俺と良い仲になるのは許したらしい。

下手に拒絶して仲が悪くなるのは、俺が悲しむからしたくないと言ってくれた。

俺は怜華さんにお礼を言うと、唇を奪われた。

リザベルトさんとエルネットさんがどうして最後までさせてくれなかったんだと、怜華さんに文句を言うと、


「私が最後までしてからなら、止めはしないわ」


怜華さんがそう答えた。

それを聞いた2人は、俺に早く怜華さんと最後までしてくれと頼まれてしまった…。

そういうのは自然としますと言うと、2人は少し不満そうだったが、怜華さんは嬉しそうだった。

その後、俺達は眠る事になった。

翌朝、俺はいつも通り起きると、すでに皆起きた後の様で誰もいなかった。

俺は身支度をしてから食堂に行くと、食堂にも誰もいなかった。

すると、厨房から声が聞こえてくる。

おそるおそる厨房を覗くと、リザベルトさんとエルネットさんが料理を作っていて、皆がその様子を見ている。


「ここで、この薬草を入れるのよ」

「ちなみに好みで、この木の実をすり潰した物を入れるのも良い」


どうやら、2人が皆に料理を教えている様だ。

どうしたらいいかな?

邪魔しちゃいけないし、少し自室に行ってるか。

俺はそう思い、歩き出そうとすると、


「柊先輩」


後ろからいきなり声を掛けられる!


「うわ!ビックリした」


俺がそう言って後ろを向くと、真海ちゃんも驚いている様だ。


「どうしたの?真海ちゃん?」

「先輩こそ、こそこそと何してるんですか?」

「皆が楽しんでるのを邪魔するのもどうかと思ってさ。自室に行こうかと思ってるんだ。真海ちゃんはどうしたの?」

「先輩。女の子に恥ずかしい質問しますね」


真海ちゃんはそう言って、少しもじもじする。

どうやら、してはいけない質問をしてしまったようだ…。


「ご、ごめんね」


俺がそう言うと、真海ちゃんは笑って、


「反省してるなら、少し付き合って下さい」


そう言って、歩き出してしまう。


「どこに行くの?」


俺がそう聞くと、真海ちゃんは振り返って、


「私の部屋です」


そう言った。

それからすぐに、俺と真海ちゃんは真海ちゃんの自室に入る。

部屋の中を見ると、結構色々な物がある。

植木鉢があってそこに花が咲いていたり、服も置いてある。

見ると、そこには東桜寺学園の制服も置いてある。


「柊先輩、あまり女の子の部屋をジロジロ見るものじゃないですよ」

「ごめんなさい」


真海ちゃんにそう言われて、俺が謝ると、


「嘘ですよ。別に見ても良いですよ。今は見られたらいけない物も置いて無いですし」


そう言う真海ちゃん。

そういう言い方だと、見られたらいけない物を置いている時もあるってことかな?


「それより、ここに座って下さい」


俺がそんな事を考えていると、真海ちゃんが椅子を俺の前に置く。

俺がその椅子に座ると、真海ちゃんが俺の前に立つ。


「これから先輩には、私の実験に付き合って貰います」


そう言う真海ちゃんの表情は、少しだけ緊張しているようだ。


「お手柔らかに頼むよ」


俺がそう言うと、真海ちゃんは意外そうな顔をする。


「詳しく聞かないんですか?どんな事するとか?」

「真海ちゃんの事、信頼してるからね。変な事をするとは思えないから」


俺はそう言って笑う。

真海ちゃんは、何故か顔を赤く染めながら、


「じ、じゃあいきます。…記憶回復」


そう言って、魔法を使う。

その瞬間、頭の中に様々な記憶が強制的に思い出される。

秋沙姉と春乃に初めて会った時の事、怜華さんと初めて会った時の事など、小さい記憶から最近の記憶まで全てを思い出してしまう…。


「はぁ…はぁ」


俺が少し呼吸を荒くすると、真海ちゃんが俺の傍に来る。


「どうでした先輩?」

「その…昔の事から…最近の事まで色々と思い出したよ。良い記憶から…色々と思い出したくない記憶とか」


俺がそう言うと、真海ちゃんは満足そうに笑う。


「とりあえず、成功ですね。じゃあ次、良いですか?」

「うん。どうぞ」


俺がそう言うと、真海ちゃんの実験は続いた。

どうやら、これから魔王と戦う時に有効な攻撃方法を探しているらしい。

ちなみに、俺以外にも春乃に協力して貰ったらしいのだが、


「春乃にやっても、お兄ちゃん…お兄ちゃん…じゅるり…。としか言わないんですよ」


真海ちゃんはそう言って、ため息をついていた。

そうしていると、ルリィが俺の事を探している声が聞こえる。

俺と真海ちゃんは一緒に部屋を出てルリィの元に行くと、食事が出来たということで呼びに来てくれたらしい。

3人で食堂に行くと、すでに皆は席に座って俺達の事を待っていてくれたようだ。

俺は皆に謝り、席に着く。

その後は、リザベルトさんとエルネットさんの説明を聞きながら、2人の料理を食べる。

朝食が終わると、俺はリーシャと一緒にヴェルーズまで来ている。

昨日の賑わいはまだ続いている様だが、昨日までの大賑わいではなさそうだ。

そんな町並みを歩いて、ギルドに入るとザールさんが依頼を張り出している掲示板を見ている。

ヤニックとアルベールさんの姿は見えない。


「おはようございます。ザールさん」


俺がそう挨拶すると、ザールさんが振り返る。


「あぁ、おはよう」

「ヤニックとアルベールさんはどうしたんですか?」


俺がそう聞くと、ザールさんは渋い顔をして、


「ヤニックは二日酔いだ。アルベールはヤニックと契約していて、ヤニックから離れすぎる事が出来ないから、ヤニックの看病をしている」


そう言った。

もう何も言うまい…。

その後、ザールさんに依頼を受けようかと誘われたが、今回は断る。

それから俺は、リーシャに頼んで転移魔法で禍々しい森に移動する。

そこで魔視を発動すると、やはり魔素の濃度が高い。


「リーシャ、一度人の姿に戻ってくれない?」

「わかったわ。名残惜しいけど、シュウのお願いだものね」


リーシャはそう言って、人の姿に戻る。


「どうしたのシュウ?」

「少し魔法操作の訓練を手伝って欲しいんだ」


俺がそう言うと、リーシャは胸を張って、


「任せてシュウ!頑張りましょう!」


そう言った。


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