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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
203/430

誤解

明日の更新は16時にしますので、よろしくお願いします。

リーシャの言葉を聞いて、皆が2つに分かれている理由がわかった。

リーシャとアルがいる方は、魔神と戦う組なんだろう。

そして、ティアやコレットさん、ルリィがいる方は待っている組という感じだろう。

その判断にティアは不満なのだろう。


「私は戦えます」


ティアが暗い顔をしながらそう言う。

俺がティアの元に行くと、ティアは俺の事を見ながら、


「シュウ、私はダメなんですか?」


そう聞いてくる。


「ティアは一緒に来ちゃダメだよ」


俺がそう言うと、ショックを受けた顔をするティア。


「ティアはここで、皆を護ってほしいんだ。国の人も、ルリィや家族の事を」


更に俺がそう言うと、俺の事をジッと見てくる。


「俺達がもしここから離れた時に、ここを護ってくれる人がいないと、安心できないしね。ティアになら安心して任せられるよ」


俺の言葉を聞いて、どんどんティアは涙目になる。


「私は、また待っているのは辛いです」


ティアが、涙声で俺にそう言ってくる。


「シュウがいなくなったと聞いて、凄く後悔しました」


俺にそう言うティア。

そこまで思わせてしまっていたのか…。


「ごめんティア。もっとティアの事を考えていればよかった」


俺がそう言うと、ティアは首を振る。


「でもティア。今回は大丈夫だよ。俺だけじゃないから」


俺がそう言うと、リーシャとアル、怜華さん達がティアの元に来る。

皆、大丈夫だとティアに言う。

すると、


「大丈夫よ、絶対に何があっても皆でここに帰ってくるから。だから、ここを護るのは貴女達の役目よ」


リーシャがティア、ルリィ、コレットさん、エルミールさんの順番で見ていくと、4人は互いを見て頷き合う。


「…わかりました。皆様を信じて、待っています」

「仕方ないわね。私は戦えないし」

「どんな手を使っても、ここは護ります」

「頑張ります!ご主人様達が安心できる様に!」


4人がそう答えた瞬間、


「なんか話の腰を折るようで悪いんだが、今すぐに出る訳じゃねえぞ」


アルが頭を掻きながらそう言った。

アルの言葉を聞いた瞬間に訪れる静けさ。

おそらく俺も含めた全員が、すぐに魔神を倒しに行く気満々だったはずだ。

皆、少しだけ気まずい。

さっきまでの話は、どうすれば良いんだ?

行く決心をして、送り出す決心をしてああいう会話をしたのに、まさかのまだ出発ではないと言われてしまい、この何とも言えない感情をどうすれば良いんだ…。

その後、リザベルトさんとエルネットさんが起きて来るまで、俺達の静けさは続いたのだった…。

2人が起きて、俺達の所に来ると、皆一斉にそれぞれのやる事をしに移動を開始した。

と言っても、皆で朝食を食べる為に、準備をするだけなのだが…。

それからは、皆で朝食を食べて、皆自由に過ごす事になった。

リザベルトさんとエルネットさんは、ティシール様に頼まれた森の調査をしに行くらしく、騎士の人が迎えに来てすぐに出掛けてしまった。

怜華さん達は家の庭で魔法を使って訓練をしている。

リーシャとルリィは、買い物に出てしまった。

ティア達は、城に行ってしまった。

俺だけやる事が無く、家の自室で魔素を操りながら考え事をしている。

今朝のティアの事だ。

彼女があそこまで心配をしてくれていたとは思わなかった。

もっと安心させたいな。

俺がそう思った瞬間、俺の部屋の扉がノックされる。


「シュウいるだろ?オレの用事に付き合ってくれ~」


すると、アルの声がした。

扉を開けると、アルが目の前に立っている。


「良いよアル。でも、何の用事なの?」


俺がそう聞くと、アルは苦笑いしながら、


「今朝の事で少し考えててな。少しスキルを使ったら良い物を見つけたから、それの調達と後は知り合いに頼んでた者が完成したらしいからそれも取りに行きてぇんだ」


そう言ってくる。


「わかった。じゃあ行こうか」


俺はそう言って、部屋から出て玄関に行こうとすると、


「待てシュウ」


後ろからアルにそう言われて、歩みを止める。


「どうしたのアル?」


後ろを向いてアルにそう聞くと、アルは廊下の窓を開けている。


「ここから行くぞ。外にいるレイカ達に気づかれたら絶対に付いて来るだろ?今日はシュウと2人が良い」


アルが俺にそう言ってくる。

アルがそんな事を言うのは珍しいな。


「じゃあ、2人で行こうか」


俺はそう言って、アルの手を握る。


「シ、シュウッ!?」


そして、魔素を俺とアルの体に纏わせて、空中に飛ぶ!


「おぉ!何だこれ!」


俺と一緒に空中にいるアルが、驚きながらそう言う。

修行の成果で、しっかりと意識しながら魔素を操作すれば、誰にでも魔素を纏わせる事が出来る。

流石に、自身に纏わせれる程強くはないんだが、それでもそこら辺の防具よりは強度もあるし、こうやって俺みたいに空を走る事も出来る。


「なるほどな。こんな感じなのか」


アルはそう言って、一気に加速して走り出してしまった。

俺も見失わない様にアルの後を走ると、アルは俺を見て更に加速する。

見ると、アルの脚が少し変化している。

魔神の姿の時の脚なのだろうか。

禍々しくも、綺麗だと思ってしまう。

そうしてアルの後ろを走っている内に、


「…ここ、どこ?」


知らない所まで来てしまっていた。

どこかの山に来ているのだが、アルが隣で何かを探しているようにキョロキョロしている。


「アル、何を探しているの?」


俺がそう聞くと、アルはキョロキョロしながら、


「いやな。知り合いの家を探してるんだよ」


そう言う。


「家なんてこの辺には無いけど…」


俺も辺りを見回しながら、アルにそう言うと、


「あいつの家はただの家じゃねえんだよ」


そう答えるアル。

すると、山に生えている木がガサガサ揺れた。

風も吹いていないのに…。


「あそこか」


アルはそう言って、揺れた木の方へ飛んでいき、地面に下り立つ。

俺も後を追って地面に下りると、


「お~い!来たぞ~」


アルが木の上の方に向かって大きな声を出す。

すると、


「…寝てまぁ~す」


女性の声が聞こえる。

だが、女性の姿が見えない。


「そういうつもりなら」


アルがそう言って、声がした木の前に立つと、


「ウォラッ!」


木を蹴りつけた!

すると、


「ぎゃあ~!蹴った!」


まさかの、木がピョンピョン跳ねている…。


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