異変
リザベルトさんの言葉にすぐ反応したのは、怜華さんだった。
「城で泊めてもらえると言ってましたけど、ダメなんですか?」
怜華さんの言葉に、リザベルトさんが笑顔で、
「シュウ君と一緒に過ごしたいの」
そう言う。
俺はその言葉を聞いた瞬間、体をビクッと反応させて周りの皆を見るが、皆は呆れているような顔をしている。
「…わかりました。柊ちゃん?2人を泊めても良いかしら?」
そして、怜華さんが俺に聞いてくる。
「う、うん。俺は良いですよ」
俺がそう言うと、リザベルトさんとエルネットさんが笑顔になる。
なんだろう?
いつもの皆だったら反対するような気がしたんだが…。
俺がそう思っていると、
「では、皆でお風呂に入りましょう?」
怜華さんがとても良い笑顔で皆にそう言う。
だが、怜華さんの目は笑っていない…。
すると、
「一緒にお風呂…そんな事は出来ない」
エルネットさんがそう言う。
すると、怜華さんの目が光る。
「そんな事では、この家では過ごしていけないわよ」
怜華さんがそう言うが、俺はそんな事はないと思う。
「怜華さん!別にそんな事ないじゃないですか!」
俺がそう言うと、怜華さんが頬を膨らませる。
「柊ちゃん、私は裸の付き合いこそ至高だと思っているわ。柊ちゃんに裸を見せられるし、柊ちゃんの…じゅるり…」
そう説明する怜華さん、目線が下を向いているのはツッコんだ方が良いのか?
「…わかりました。じゃあ、怜華さんは一緒にお風呂に入りましょう」
俺がそう言うと、怜華さんは嬉しそうな顔でやった!と言って部屋を出て行ってしまった。
お風呂の準備でもするんだろう。
俺が安心していると、他の皆が睨んでくる…。
その後、結局リザベルトさんとエルネットさん以外の皆と風呂に入ることになった。
2人は後で入るというので俺達が先に入り、後から2人がお風呂に入った。
ルリィに頼んで、空いている部屋を見繕って貰い、俺は2人の荷物を部屋に運ぶ。
個室じゃなくても良いという事だったので、2人部屋にした。
部屋に行くと、流石はルリィとエルミールさん。
使う予定でない部屋でもしっかりと掃除してある。
ベッドもすでに買って設置されている。
あとは、何か要望があったら言って貰うしかないな。
俺はそう思い、部屋から出る。
その後、俺達はいつも通りに寝る事になった。
相変わらずの魔性のベッドにより、すぐに眠ってしまった。
だが、夜中に異変に目が覚めてしまった。
周りを見てみると、皆が寝ている。
なんだこの感じ…。
俺は皆を起こさない様に部屋から出る。
廊下の窓を開けると、更に違和感を感じる。
空気が悪いというか、肌に当たる空気がピリピリとしている。
「これって…」
俺は魔視を発動すると、魔素の濃度が変わっている。
しかも、全体的にだ。
人に害が無い程度だが、いきなりどうしてこんな事になったんだ…。
俺がそう思っていると、アルが部屋から出てくる。
「シュウ、気づいたのか?」
アルが俺を見てそう言ってくる。
「魔素が濃いんだ。どうしてこんな事になってるのかわからなくて」
俺がそう言うと、アルが俺の隣に来て空を見る。
そして、
「全てを見通す神の瞳」
そう呟く。
どうやら今のがスキル、全知の詠唱なのだろう。
すると、
「マズい事になっちまったな」
空を見ながら、苦笑いをするアル。
何があったのか聞きたいが、今はスキルの力を使っているから止めておこう。
それから少しして、アルが目を閉じる。
「どういう状況?」
俺がそう聞くと、アルが俺の方を向いて、
「2代目魔神がなんか復活してる…」
とても重要な事を言った!
「2代目魔神って確か、リーシャとアルが消滅させたんだよね?」
「そのつもりだったんだがな~。ま、執念で復活したのかもな」
アルはそう言って笑う。
「なんかアル、少し余裕そうだね」
「まぁ、何とかなるだろう」
そう言って、俺の肩を叩く。
「期待してるぜシュウ」
「うん。皆を護れるように頑張るよ」
俺がそう返すと、アルは笑ってから欠伸をしながら部屋に入っていく。
俺は外を見る。
魔素の濃度が濃い理由が2代目魔神の復活。
しかももう一体の魔神も復活予定なはずだ。
「これは…急がないとな」
俺は一人そう呟いて、部屋に入りベッドの横になる。
ちなみに、先に入ったアルはすでに豪快に寝ている…。
寝つきが良過ぎる。
俺は横になりながら、今後について考える。
魔神復活を阻止するためには、すぐにでも大魔王ガレスを倒す必要がある。
今の俺にそれほどの力があるかはわからないが、急がなければいけないだろう。
そうすると、ルリィやティア達にはここに残ってもらわないといけない。
出来れば、皆にここに残ってもらいたい。
だが、俺1人で魔神を倒し切れるとは言い切れない。
そこまで自惚れてはいない。
となると、ここに残ってもらう人達と、一緒に戦ってくれる人達を分けなければいけない。
どうすれば…良いんだ。
俺はそう考えながら、睡魔に負けて眠ってしまった。
翌朝、俺が起きると皆がすでに起きた後だった。
俺が最後というのは珍しい。
俺がそう思っていると、
「私も行きます!」
ティアの声が聞こえた。
しかも、ティアには珍しい怒っている様な感じの声だった。
俺は慌ててベッドから下りて走る。
寝起きの所為で少しよろよろと走ってしまったが、皆がいる食堂に辿り着く。
そこには皆が集まっている。
だが、2つに分かれている。
リーシャとアル、怜華さん達勇者と、ティアやコレットさん、ルリィとで分かれている。
「どうしてダメなんですか!私は聖槍を使う事が出来ます!」
ティアがアルにそう言うと、アルは首を横に振りながら、
「聖槍を使えても、自分の身を護れないなら止めておけ」
ティアに向かってそう言う。
すると、リーシャが俺に気づく。
「シュウ」
「どうしたの皆?」
俺が皆の事を見ながらそう聞くと、
「夜中の事を話したんだよ」
アルがそう答える。
「そうだったんだ。でも、どうしてティアはそんなに取り乱してるの?」
俺がそう言うと、リーシャがティアを見ながら、
「これから魔神と戦う事になった時に、皆の中で誰が戦うかの話になったのよ」
そう言った。
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