大魔王側
柊がエルフの村を運んでいる頃、大魔王ガレス達の居城に魔女王ヴィネと勇者獅子原秀一が到着していた。
「なぁヴィネちゃん、ここはどこなんだ?魔物や魔族が多いけど…」
「うるさいわね。大人しく付いて来なさい」
獅子原が魔王ヴィネに付いて行った理由はわかりやすい。
「見つけた。あんたを探していたのよ」
その言葉だけで、獅子原はここまで来たのだ。
ヴィネに見つけてもらうまで、獅子原はエロイーズの元でただただエロイーズに蹂躙されていたのだ。
朝から晩まで搾り取られる生活。
体が反応しなければ、エロイーズのテクニックやギリギリ合法的な薬を使って反応させられた。
泣いて縋り、止めるよう言っても止まる事は無くエロイーズは獅子原の全てを搾る。
休憩なんてモノは無い。
彼女が満足するまで、獅子原の体を貪るのだ。
そしてエロイーズが追加の薬を買いに出かけている時に、獅子原の前に魔王ヴィネは現れたのだ。
獅子原は藁にも縋る思いで、魔王ヴィネの手を掴んだ。
それからは魔王ヴィネの後ろをちょろちょろ付いて歩き、遂に敵の本拠地となる魔王城に付いてしまった。
「ヴィネよ。今戻ったわ」
魔王ヴィネは城門に立っている魔族の男にそう言うと、魔族の男は門を開ける。
ヴィネが城に入って行くと、獅子原も入城しようとして、門番に止められた。
当たり前だ。
魔族にとって、人間である獅子原は敵なのだ。
敵を簡単に自分達の本拠地に入れないのは、当たり前なのだ。
「大丈夫よ。その男はあえて連れて来たんだから」
ヴィネがそう言うと、門番の男は仕方なさそうに獅子原を中に促す。
その光景に、獅子原は満足そうな顔をして門番に話しかける。
「早くしなさい。…あんたを連れてかないといけないのよ」
ヴィネは獅子原を呼んで、小さく呟く。
最後の呟きは、獅子原には聞こえなかったようだ。
獅子原がここまでヴィネに従っているのは、獅子原の心にある思いがあるからだ。
それは、自分と付き合っていた怜華達を柊から奪うためだ。
「あのクズ野郎…」
獅子原は城の廊下を歩きながらそう呟く。
獅子原は柊が何かの魔法で怜華達を操っているのだと本気で思っている。
そうでないと、自分がフラれるなんて思いもしない。
優秀な成績で生徒会の副会長にもなっているし、外見も良いと自負している。
そんな自分があんな平凡な男に、彼女達を奪われるなんてありえない。
獅子原はヴィネに強い力を手に入れられるわよと言われて、その誘いに乗った。
力を手に入れて柊を殺し、怜華達を取り戻すつもりなのだ。
「絶対に…殺してやるからな…待っててくれ皆」
そうしていると、とても大きな扉の前に辿り着いた。
その扉が自動的に開きやがて全開に開き切ると、長い椅子に座っている大魔王ガレスと魔王達が獅子原の目に映った。
そして、空席が1つ。
ヴィネはそこに歩いて行き、ドカッと腰掛ける。
獅子原はどうして良いかわからず、室内に入るが立ったままだ。
「よく来た。異世界の勇者」
すると、大魔王ガレスが獅子原に声を掛ける。
「俺はここでどうすれば良いんだ?」
獅子原はガレスにそう言うと、
「人間風情が!ガレス様になんて言う態度!」
他の魔王達が獅子原にそう叫んで立ち上がる!
「…止めろ」
ガレスがそう小さく呟くと、魔王達は静かになり自身達の椅子に座り直す。
「君にしてもらいたい事はただ1つだ」
ガレスはそう言って立ち上がり、獅子原に近づいていく。
ここで獅子原が勇者としての考えがあり、隙を狙って差し違える覚悟でガレスの首を刎ねる事も出来る。
だが、獅子原の考えはいかに柊を殺して、怜華達を取り戻すしか考えていない。
そして、その後は…。
要は頭と下半身が直結しているのだ。
とても欲望に忠実なのである。
獅子原の前にガレスが立っても、獅子原はいずれ来る未来の事を想像して少しにやけている。
ガレスは左手を獅子原に出す。
すると、獅子原もそれに気づいて手を差し出す。
そして、
「ッ!?」
獅子原の体に、ガレスの左腕が突き刺さる!
「ふ…ざけるな。わざわざ…来てやったのに…」
獅子原はそう呟くがガレスは気にした様子も無く、獅子原の体に腕を奥へ奥へと刺していく。
そして、獅子原の体に異変が起きる!
体の奥底から力が漲り、それと同時に体の中に流れ込んでくる憎悪と執念。
「な、なんだこれは…」
獅子原の記憶に古い様な新しい記憶が刻み込まれる。
その光景は、銀髪の綺麗な女性と金髪で巨乳な女性に斬り刻まれる光景だ。
その2人を殺したいと、獅子原は思うと同時に、欲望の限りを尽くしたいとも思う。
「このような小さい体に…収まらなければいけないのか」
獅子原とは違う声が、獅子原の口から発せられる。
「ルゼバラム様、どうでしょうか?」
ガレスがそう言うと、獅子原は自身の意思とは関係なく体が動き出す。
「おい!何だよこれ!」
すると、獅子原の声が出る。
そう言って暴れようとするが、すぐに落ち着く。
「まだ慣れんな。だが、しばらくしたらこの体の全てを掌握する事が出来る」
またもや獅子原の口から、獅子原の声とは別の声が発せられる。
「待っていろ…。私は何度でもお前たちの前に現れる」
獅子原とは別の人物が、獅子原の体を震わせて大きな声で笑う。
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