ヴェルーズ
リーシャと手を繋いで少し歩いたところで、
「あ、そうだ。ちょっとだけ待って」
リーシャが止まる。
「どうしたの?」
「町に入るのにステータスカードを見せないといけないのよ。だから私はステータスカードを変えないと」
「変える?」
「偽造」
リーシャがヤバそうな魔法を使う。
良いのかな?初代勇者なのに…
「これでよし!どう、シュウ?」
リーシャがステータスカードを見せてくる。
<ステータス>
名前:リリアーナ
Lv:43
職業:魔法使い
年齢:17
MP:3010
スキル:火魔法Ⅲ、風魔法Ⅲ、雷魔法Ⅱ
おぉ!ステータスが違う!
「これなら普通だから町に入る時でも大丈夫ね。待たせてごめんね、シュウ」
「大丈夫だよ」
そしてリーシャとまた手を繋いで歩き出す。
それから少し歩いて、町の門まで着いた。
40代後半~50代ぐらいの門番が俺たちに気づいて声を掛けてくる。
「何だ?夫婦でこんな田舎に旅行か?」
と、変な事を言ってくる。
「ふ、夫婦!?私達はそんなんじゃないわよ!」
「じゃあ、恋仲か」
「恋仲でもないわ!」
「じゃあ、何で手なんか繋いでいるんだ?」
「そ、それは…」
隣でリーシャが顔を赤くしながらあわあわと困惑している。
「すみません。彼女、恥ずかしがり屋なんですよ。それくらいで勘弁してください」
「いや~、お嬢ちゃんがあまりにも初々しい反応が面白くてな~!」
おっさんが大笑いしてる。
「え?もしかしてからかってたって事?」
「そうだと思うよ」
リーシャはおっさんのしてやったり顔を見て、察したのだろう。
「…ガキの癖に」
ちょっとリーシャさん?
確かにリーシャからしたら俺やおっさんなんか子供と一緒かもしれないけどさ…。
リーシャを見るとおっさんの事を睨みつけている。
「まあ、冗談はこのくらいにしてステータスカードを確認するから見せてくれ」
おっさんはいきなりまともな顔をすると仕事をし始める。
俺とリーシャはおっさんにステータスカードを渡す。
「確認した。2人とも職業が犯罪者になってないから大丈夫だ。ようこそ、ヴェルーズへ」
リーシャのステータスカードに疑問を感じているようだが、2人とも何も言われず門を通された。
「これから冒険者ギルドに行くわよ。知り合いが生きていればその人に会えば楽にギルドに加入できるわ」
「生きてればって…その人と会うのは何年ぶりなの?」
「確か~…前に会ったのはあの時の魔波だから…75年ぶりかしら」
な、75年!?
その人亡くなってるんじゃないか?
リーシャに連れられて歩くと少し大きな建物が見える。
「あそこが冒険者ギルドよ」
建物の前に来るとリーシャが手を離した。
流石にこういう所ではしっかりとしたいということだろう。
リーシャが建物の扉を開けて中に入る。
俺も続いて建物に入ると、中は意外に綺麗だった。
なんか予想していたのと違うな。
冒険者っていうほどだから荒くれ者も多いと思っていたがそんなことはないのか。
先に入ったリーシャが受付に何かを言っている。
「ギルド長に会わせて欲しいのよ」
「どのようなご用件かおっしゃってください」
「ん~、じゃあ、あなたに確認するわ。ここのギルド長の名前はフェリアンって名前?」
「えぇ、確かにギルド長のお名前はフェリアンと言いますけど…」
「やっぱり…伝えてくれる。リリアーナが来たわよって」
「はぁ、わかりました。少々お待ちください」
俺が行くと話は終わったのか受付の人が奥に行ってしまった。
「どうしたのリーシャ?」
「昔に比べて色々と大変になったのね。昔はギルド長になんて簡単に会えたのに」
「それだけギルド長が凄いって事なんじゃないかな」
「そうなのかしらね~」
2人で話をしていると、奥に行った受付の人が帰ってきた。
「すみません。ギルド長がお呼びです」
「ありがとう」
リーシャはそう言って奥に行く。
「シュウも来て」
「俺も?」
「そうよ」
リーシャに呼ばれて俺もリーシャの後を追って奥へ進む。
奥に進むと突き当りに扉があり、リーシャがノックをする。
すると、部屋から男性の声が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼するわ」
「失礼します」
そう言って2人で部屋に入る。
中にいたのは、20代後半くらいの男性だ。
髪は金髪でイケメンだ。
にこにこと笑っている。
「久しぶりねフェリアン」
「お久しぶりです、リリアーナ様。そちらの方は?」
「初めまして。シュウと言います」
リーシャとフェリアンさんと言う人が挨拶する。
そして、フェリアンさんが俺の方をまじまじと見てくる。
「初めまして。私はこの町ヴェルーズの冒険者ギルドのギルド長のフェリアンです。以後お見知りおきを」
え?この人がギルド長!?
「若いのに凄いですね」
「シュウ、言っておくけれどフェリアンもいい歳いってるのよ」
「え?そうなんですか?」
俺がフェリアンさんに聞くと、笑顔で
「はい。今170歳ですよ」
「え?」
と、予想の上をいく年齢がフェリアンさんの口から出てきた。
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