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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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正座

その後、俺は明日に備えて家に帰る事にしたのだが…。

その前に、リザベルトさん達に一言挨拶をと思い、俺はエルフの村に舞い戻っていた。

そして、明日に移動をする事と少しだけ協力して欲しい事を伝えて、許可を貰い家に帰ろうとしたら、


「シュウ君、泊まっていきなさい」


リザベルトさんの言葉で、泊まる事が確定してしまった…。

何故なら、その言葉を聞いた瞬間エルネットさんが俺の服を摘み、


「楽しみ」


微笑みながら俺にそう言ってきたからだ…。

あの儚い笑顔を断る事は出来ない…。

皆ごめん、今日は帰れそうにない。

俺は心の中で皆に謝り、埋め合わせに何をされても甘んじて受け入れようと思った。

そうしていると、


「ご飯が出来たわよ~」


リザベルトさんがそう言う。

それから3人で夕飯を食べた後、俺は明日の為にすぐ眠る事にした。

だが、


「どうして…こんな事に…」


夜中に目を覚ましたら、両隣にリザベルトさんとエルネットさんが眠っていた。

しかも、何故か2人共俺の耳に触れながら眠っていたのだ…。

リザベルトさんは耳を包み込むように触りながら眠っている。

エルネットさんは耳たぶを触れながら寝ている。

そのせいで、2人共俺にピッタリとくっ付いていて、2人の甘く優しい匂いと感触で、目が覚めてしまった…。

2人の寝顔を見ると、とても穏やかに見える。

出会った時の様に悪夢を見ている様ではないし、良かった…。

俺がそう思っていると、


「シュウ君…ダメよ…」


リザベルトさんの声が聞こえた。

見ると、デレッとした顔をしているリザベルトさん。


「小さい…出ないの…赤ちゃん…出来たらね」


…え?どんな夢見てるの!?

俺がそう思っていると、


「シュウ…耳…耳」


エルネットさんの声も聞こえた。

見ると、エルネットさんも寝言を言っている。

親子揃って寝言を言うんだ…。

いや、親子だからか?

俺はそう思いながら、必死に眠るように目を閉じ心を落ち着かせる。

そうしている内に、俺は寝てしまった…。

翌朝、エルネットさんに起こされて、身支度をして家を出ると、村の人達が広場に集まっていた。

見ると、リザベルトさんが皆に指示を出している。


「おはようございます」


俺がそう言うと、


「おはようシュウ君。眠れた?」


リザベルトさんが聞いてくる。


「ま、まぁ寝れました」


一回起きた時は焦ったけど…。


「それで私達はどうすればいいのかしら?」

「これから俺は確認の為に移動先に行ってきますから、それまでは待機していて下さい」


俺がリザベルトさんの質問にそう言うと、


「わかったわ」


リザベルトさんは頷いて、皆に一度解散してと言った。

皆は緊張した顔をしていたが、安心したような顔つきになりそれぞれ移動していく。


「少し行ってきます」


俺がそう言って、駆けだそうとすると、


「いってらっしゃい…あなた」


リザベルトさんが見送ってくれた。

何か言ったような気がするけど、大丈夫かな?

俺はそう思いながら、魔素を纏って一気に加速する!

そうして走り、ヴェルーズ近くの森に辿り着いた。

すると、朝早くだというのに人が集まっている。

そして、


「おいシュウ。準備はどうだ?」


ティシール様が人の中から出てきた。


「ティシール様、これはどういう事ですか?」


俺がそう聞くと、ティシール様が笑って、


「集めた」


そう言った。


「集めたって、どうしてですか?」

「簡単な話だ。エルフの人が来るのに歓迎も無しじゃ、国の信頼に関わる。それに、シュウがどうやってエルフの森をここまで移動させるのか気になるしな」


俺の質問に、そう答えて笑うティシール様。


「そんなに面白いものじゃないですよ?」


俺がそう言うと、


「…期待しているぞ。ほれ」


ティシール様はそう言って、ティシール様の後ろの方を指差す。

そこには、


「………………」


怒っている皆が立っていた…。

こ、怖い…。

皆ただ、ジッと俺の事ガン見してくる。


「あの、皆どうしてここにいるんですか?」


俺はティシール様にそう聞くと、


「旦那の晴れ舞台に、妻が行かなくてどうする」


平然とそう言い切ったティシール様。

その言葉と同時に、ドサッと倒れる音がすると、


「ヴァレッド様~!」


悲鳴が聞こえてくる…。

俺はおそるおそる皆の元に行く。

すると、


「…柊ちゃん?言い訳があるなら言ってちょうだい」


怜華さんが俺にそう言ってくる。


「連絡もしないですみません。本当は帰る予定だったんですけど、泊まる事にしてしまって…」


俺がそう言うと、


「それで?エルフの女性にくっ付かれて寝てたのは?」


怜華さんがそう言ってくる…。

完全にばれている…。

当たり前だ、アルがいるんだ。

俺の情報なんて筒抜けだろう。

俺はそう思いながら、正座をする。


「本当に、ごめんなさい」


俺がそう言うと、


「…許さない」


秋沙姉が俺にそう言う。

簡単に許してもらおうとは思っていない…。


「煮るなり焼くなり、好きにして下さい。何でも言うこと聞きますから」


俺がそう言った瞬間、


「その…1日中、愛し合いたいわ。もちろん、そういう意味でよ」

「オレはどうすっかな?1日付き合ってもらうかな」

「子供いっぱい」

「…お尻ぺんぺん」

「一緒にお風呂」

「私も1日デートが良いかな~」

「色々とお買い物に行きたいです!」

「わ、私は一緒に魔物狩りに行きたいです」

「食事に連れて行きなさい!」

「裸で抱き合っていたいです」


皆が一斉にそう言ってきた。

皆を見ると、さっきの怒っている様な顔ではなく、ニヤニヤとしてやったりといった顔をしている。


「皆、怒ってないの?」


俺がそう言うと、


「怒ってない訳じゃないわよ柊ちゃん」


怜華さんが俺にそう言ってくる。


「…でも、柊も頑張ってるから」


秋沙姉がそう言い、


「だから、応援もしてあげないとね!」


春乃が続く。


「でも、それじゃあ我慢できないから、柊に何でも言うこと聞くって言わせるために皆で話し合ったのよ」


リーシャが傍に来てそう言う。

どうやら、俺が思っていた以上に皆の結束力が高い。


「ありがとう、皆」


俺は、皆を見て頭を下げながらそう言うと、皆はニコッと笑い、


「「「「「「「「「「楽しみ」」」」」」」」」」


一言呟いた。


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