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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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話し合い

あの後、リザベルトさんやエルネットさんに詳しく説明しろと言われたのだが、説明してもあまりわかってくれなかった…。

それは仕方ない、あまり魔素の存在を知っている者は少ない。

根本的な部分がわかって無い所為で、理解してもらえなかった…。

だが、


「シュウ君が出来るって言うなら、出来るのでしょう。村の皆にも聞いてみるわ」

「はい母上。私も行きます」


リザベルトさんがそう言って立ち上がり、エルネットさんが手を上げてリザベルトさんに付いて行こうとする。


「すみません!俺も少し出かけます!」


俺もそう言って立ち上がり、3人で家を出る。

リザベルトさんとエルネットさんはそのまま村の皆と話し合うために木から下りていく。

俺は反対に、空に飛び出す!

流石に今回やろうとしているのは、サンレアン王国のヴァレッド様とティシール様や上層部に話をして許可を貰わないといけない。

そのために、今俺は空を駆けている。

さっき来たばかりなのに、ゆっくりする暇も無く俺はサンレアン王国にとんぼ返りだ。

そうしてサンレアン王国に着くころには、昼間になってしまっている…。

そのまま俺は、サンレアン王国の王城に着地する。

俺が空から下りると、見張りの騎士達が驚いている。

俺は騎士達に謝り、城の中に入っていく。

すると、


「シュウさん?」


エルミールさんがいた。

いや、彼女の職場はここだからいるのは当たり前だから当然だ。


「エルミールさん、少しお願いしたい事があるんです」


俺がそう言うと、彼女は俺の目の前にやって来る。


「どうしたのですか?夜伽なら今晩用意し…」

「違いますから!そういう事は大きな声で話しちゃダメですよ!ああほら…、あそこにいるメイドさんが黄色い声出して行っちゃった…」


エルミールさんの言葉を聞いたメイドさんが、まるで話のネタを見つけたみたいな表情をしていた…。


「それで、どのようなお願いでしょうか?」

「すみません。ヴァレッド様とティシール様にお会いする事は出来ますか?」


俺がそう言うと、エルミールさんの表情が険しくなる。


「無理ですか?」


俺がそう聞くと、


「いえ、ティシール様なら大丈夫かと思うのですが…」


エルミールさんがそう言って、一度言葉を区切る。

そして、


「ヴァレッド様はティアリス様とコレット様が城にいない所為で、床に伏せてしまいまして」


そう言った。


「え?大丈夫なんですか?」

「はい。毎日泣いているくらいです」


すみませんヴァレッド様、今日にでも一度帰る様に言っておきます…。


「その所為でヴァレッド様のお仕事もティシール様がして下さっていまして、ティシール様の不満は溜まる一方。どうしますかシュウさん?」


エルミールさんがそう言ってくる。

おそらく彼女は、今ティシール様と会ったら何か言われるという事をわかっているんだ。

それでも良いのかと俺に聞いているのだろう。

だが、このまま先延ばしにするのもダメだろう…。


「俺は…大丈夫です。お願いします」


俺がそう言うと、エルミールさんは、


「ではこちらに」


そう言って、俺の先を歩き出す。

俺もそれに付いて歩いていると、


「それで、ティシール様にどういったご用件なのですか?」


エルミールさんがチラリと俺を見ながら聞いてくる。


「個人的に親交があったエルフの人達との事でちょっと…」


俺がそう言うと、


「なるほど。エルフの方ですか…。私達人とは違い、長命で成長具合が遅い方達ですね。100歳くらいでも人の姿では20代~30代くらいだとは言われていますが、本当なのですか?」


エルミールさんがそう聞いてくる。


「そうですね。皆若々しい姿ですよ」


俺がそう答えると、


「しかも、魔法とは違う精霊術?というのを使うんですよね?」


更にエルミールさんが質問してくる。


「はい。でも魔法とそんなに変わりはないですよ」


人が使う魔法と、精霊が使う魔法は一緒だ。

違うのは詠唱の有無と、精霊を使役しているエルフの人達は、普通の魔法より魔力消費が少ない。

こう思うと精霊術の方が有利に思えるが、精霊術は精霊とのコミュニケーションがあって初めて使えるらしい。

そう単純なものではないと、前にエルネットさんに言われた。

そうしていると、ティシール様の仕事部屋の前に辿り着いたのだが…。


「凄いですね…」

「…はい」


部屋の外まで漏れ出ている不満のオーラが俺には見える…。

この扉を開けたら最初に怒鳴られ、次にティシール様の貫通する鉄拳が顔面に飛んでくると確信してしまう…。


「ではシュウさん。ご武運を」


エルミールさんはそう言って、歩いて行こうとする!


「待って下さいエルミールさん!この状態で俺を1人にしないで下さい!」

「私はまだ死にたくありません。それに…私は怒ってるのです」


エルミールさんはそう言って、振り返る。

彼女の瞳は、険しい。


「エルフの人達は皆、美男美女で長命。つまり、私が80歳になっても、エルフの女性は同じ年でも外見は10代後半…。羨ましいです」


そう言うエルミールさん。


「エルミールさんは、いくつになっても魅力的ですよ」


俺がそう言うと、


「それは本当ですか?」


エルミールさんが俺にそう聞いてくる。


「当然じゃないですか。エルミールさんは何歳になっても、魅力的ですよ」


俺がそう言うと、エルミールさんが俺に抱き付いてくる。


「ありがとうございます。本当はそんなに怒ってはいないんです。少しだけ不安にと言いますか、嫉妬してしまいました」


俺に抱き付きながらそう言ってくるエルミールさん。

俺は彼女の背中に手を回そうとした瞬間、


「人の仕事部屋の前で、何してるんだ?」


様々な感情が入り混じっているティシール様の声が聞こえた。

おそるおそる扉を見ると、ティシール様がこちらを見ていた。

ティシール様は、怒っているというよりも、感情が疲れで死んでいる様だった。


「シュウさんがティシール様にお仕事を持って来ました。ですので、案内しました。私は下がります」


そして俺にくっ付いていたエルミールさんは、サッと俺から離れてティシール様にそう言った。


「おうおう。何の仕事だオイ…」


エルミールさんの言葉を聞いて、ティシール様が俺の頭に手を置く…。

瞬間、


「いだだだッ!!」


頭をガシッと掴まれ、力を入れられる!


「エルミール、下がれ」

「はい」


エルミールさんはティシール様の言葉に従い、帰ろうとする。

俺はティシール様に引きずられて扉の中へ…。

部屋に入る前に見たのは、舌をちょこっと出したエルミールさんの顔だった。


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