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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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受け継がれるモノ

ヤニックと依頼の魔物を倒した日から数日、俺は家の中で優雅?な日々を過ごしていた。

だが、


「ご主人様~!お手紙が届いていますよ」


ルリィの手紙を読んで、俺は慌てて準備を始めた。

そこに書いてあったのは、


「皆を説得する事に大変なの~。ということで、シュウ君?早く来ないと…」


続きが気になる文面だった。

だが、誰が送ってきたのかはわかる。

俺の事を君付けする人は、あの人しかいない。

そして、早く行かないと何が起きるかわからない。

今日はリーシャとアルが出掛けているので、俺は1人で出かける事にする。

家のことをルリィと怜華さんに任せて、俺は一気に空を駆ける!

サンレアン王国の出て、ヴァランス帝国が見えてきた。

流石に長距離移動の所為で、疲れが出てくる…。

俺は1回、エルフの森の木の枝に下りると、ルリィが持たせてくれた薬を飲む。

何でも、ルリィ特製回復薬らしい。

苦味は少なく、どちらかというとさっぱりしていて清涼感がある。

飲むと今までの疲れが嘘の様に引いていく。

すごいなルリィは…。

俺はそう思いながら、木から下りてエルフの村を目指す。

そうして歩いていると、


「あれ?あの子は確か?」


村の入り口で立っているエルフの子が見えた。


「エミリシーさん?」


俺が声を掛けると、


「お久しぶりです。シュウ様」


エミリシーさんは深々と頭を下げてそう言ってくる。


「お久しぶりですエミリシーさん。どうしたんですかこんなところで?」


俺がそう質問すると、彼女は苦笑いをしながら、


「リザベルト様が、そのうちシュウ様が来るから出迎えなさいと言われまして」


そう言ってくる。


「わざわざありがとうございます。それでリザベルトさんは?」

「こちらです」


俺がリザベルトさんの居場所を聞くと、エミリシーさんが案内してくれる。

俺は彼女に従い、彼女の後ろを歩く。

向かう先はわからないが、リザベルトさんとエルネットさんの家の方向ではない。

そうしてエミリシーさんに付いて行くと、前に戦った開けた場所に辿り着く。

すると、村のエルフの人達が集まっている。

だが、いがみ合っているというか、対立している感じだ…。


「…シュウ」


俺がそう思っていると、エルネットさんが俺に気づいて駆け寄ってくる。


「お久しぶりですエルネットさん。どうしたんですか?この状況?」


俺が質問すると、エルネットさんは対立している感じのエルフ達を見ながら、


「母上が、人や獣人との共存を掲げた。でも私達エルフは、何代にも受け継いできたこの森を離れる訳にはいかない。そう言う事で反発している者達がいる」


そう説明してくれる。

そう言う事だったのか。

俺が納得していると、


「何度も言ってるでしょ!戦える者達が少ない私達は、このままでは死を待つだけなの!」


リザベルトさんの怒号が聞こえてきた。


「だが私達は、代々受け継いできたこの森を離れる訳にはいかない!どうしてそれが分からないリザベルト!」


だが、リザベルトさんに向き合っている男性がそう言い返す。


「この森は確かに大事よ!だけど、命と比べたら、仕方ない事よ!」


リザベルトさんも更に言い返す。

俺は慌てて、話し合っているエルフ達の方へ行くと、


「…シュウ君。ッ!?」


リザベルトさんが、俺に気づいてくれたが何故か驚いている。

まぁ、それは後にしよう。


「すみません。リザベルトさんに共存を持ち掛けたのは俺です。彼女を責めないで下さい」


俺がそう言うと、


「シュウ様、私達エルフは、この森を大切に護って生きていき、次の世代に任せたいと思っています。この森を離れる訳にはいかない。どうか、わかって欲しい」


男性が俺にそう言ってくる。


「すみません。部外者の俺が、出過ぎた事を言いました」


俺はそう言って頭を下げる。

その後一旦解散となり、俺はリザベルトさんとエルネットさんの家に招かれた。


「すみませんリザベルトさん。部外者の俺が出過ぎたことを言った所為でこんなことに…」


俺がリザベルトさんに謝ると、リザベルトさんは手を振りながら、


「良いのよシュウ君。あいつら、長く生きてるせいでどんどん頭が固くなってるわ。確かにこの森は大事だけれど、種族の未来を考えれば、他種族との交流は必須なのに…」


そう言う。


「母上は、どうして人や…獣人達と共に生きていこうと思ったのですか?」


すると、リザベルトさんにそう聞くエルネットさん。


「エルネット。今回の魔波、予想外の事が起きたでしょ?今回はシュウ君がいてくれたから何とかなったけど、毎回シュウ君がいてくれるとは限らないの。そうしたら、予想外の事態に私達は、ただ蹂躙されるだけ」


エルネットさんの質問にそう答えるリザベルトさん。

エルフの人達がこの森にいられて、他種族との交流が出来るようにするにはどうしたら良いのだろう…。

ここから近いヴァランス帝国ならこの森を離れる事なく交流する事は出来る。

それにヴァランス帝国には、エルフの人達が良い印象を持っていないから駄目だ。

となると、やはりサンレアン王国なんだが…。

サンレアン王国だとこの森を離れないといけないしな…。


「あっ…」


すると、ある事を思い付いた。

だけど、この方法はエルフの皆にも、サンレアン王国のヴァレッド様やティシール様に相談しないといけないな。


「リザベルトさん、1つ提案して良いですか?」


俺がそう言うと、


「良いわよ」


リザベルトさんが笑ってそう言う。


「この森ごと、移動出来たらどうでしょうか?」


俺がそう言うと、期待な眼差しをしているリザベルトさんとエルネットさんが呆けた表情をする。


「ど、どういうことかしら?詳しく説明して欲しいわシュウ君」


リザベルトさんが俺に説明を求めてくる。


「その、森ごと移動したら森を離れる事なく他種族と交流できると思って…」

「そんな事出来ない」


俺の意見に、エルネットさんがそう言ってくる。


「でも、それが可能だったら大丈夫なんじゃないかしら?」


リザベルトさんが、何やら考えながらそう言ってくる。


「でも、どうしたらそんな事が出来るの?」


エルネットさんが俺にそう聞いてくる。


「俺の魔法で出来ますよ」


質問してくるエルネットさんに、俺はそう答える。


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