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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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サンレアン王国、西地区

どうやら男は、娼婦の女性を脅している所に騎士団が来たようだ。

前からあの男は娼婦を脅して金銭を払わない事があったようだ。

その男を捕まえようとしたら逃げたらしい。

その先に俺達がいたらしい。


「シュウも随分と面白い魔法を使う様になったのね」

「まぁ、色々とあって頑張りました」


今はセレステルさんと一緒に夜の町を歩いている。

彼女に警備に付き合って欲しいと言われて、それを引き受けたのだ。

周りを見ると、セレステルさんの他に3人の女性騎士がいる。

名前は、アメリーヌさん、ジュデットさん、フェルメルさんだ。

だが3人共、俺の事を睨んでいる…。

最初は男を捕まえた事を感謝されたんだが、セレステルさんに少し警備を手伝って欲しいと言われて、了承したら表情が変わった。

だが、セレステルさんは気づかないで俺の隣を歩いている…。


「そう言えば最近、この辺りに強盗が入ったのよ」

「強盗ですか?」

「そうなの。住人に怪我は無かったけど、家が荒らされてたのよ」


その話、どこかで聞いたぞ…。


「もしかして、その家の人は体系がふくよかな女性ですか?」


俺がそう聞くと、


「そうよ!何で知ってるの?」


セレステルさんが驚いて、俺にそう言ってくる。


「顔見知り?みたいな感じです。色々あって…」


俺がそう言うと、


「…聞かないであげるわ。複雑そうな顔してるし」


セレステルさんに気を使わせてしまった。


「すみません。ありがとうございます」


俺がお礼を言うと、セレステルさんは気にしないでという風に手を振る。

それからも、見回りをしたが特に問題はなかったようだ。

今は酒場で5人で座っている。

お礼をしたいと、セレステルさんに言われたからだ。


「サンレアン王国にも、こういう夜の町とかあったんですね」


俺がそう言うと、


「当り前じゃない。変に事件が起きるくらいなら、ある程度管理してこういうお店があった方が良いのよ」


俺の言葉にそう答えるセレステルさん。


「それに、こういうお店には男の騎士が入ると、誘惑に負けて仕事放棄する可能性があるの。だから、女騎士の西騎士団が管理しているのよ」


なるほど、つまり東騎士団は人通りが多く、荒れている者が暴れる事が多い東地区を。

西騎士団は女性の安全を守るために、夜の町である西地区という風に分担して仕事をしていたのか。

その後もセレステルさんと話していて気がついた事がある。

セレステルさんが大きいままなのだ…。

彼女が魔法を使うと体が成長するのは前から知っている。

だが、すでに魔法を使わないで時間が経っている。

どうしてセレステルさんは元に戻らないんだ?

俺がそう思っていると、


「…柊?」


秋沙姉の声が聞こえた!

見ると、秋沙姉が俺のすぐ傍に立っている。


「あ、秋沙姉、どうしてここに」


俺がそう聞くと、


「…私は少し用事でここに来た。柊は何してるの?もしかして浮気?」


姉さんがそう答えて、今度は質問してくる。


「違うよ秋沙姉!西地区の方が気になって来てみたら、騎士団の仕事少しだけ手伝う事になったんだよ」


俺がそう説明した瞬間、


「秋沙ちゅわ~ん!お待たせぇ~ん!」


酒場の扉を破壊して中に入ってくる鏡餅…エロイーズさんが、秋沙姉を呼ぶ。

マスターが雄叫びを上げているが、皆は突然現れたエロイーズさんにびっくりしている。


「あら?あらら~?」


そして、秋沙姉の傍にいる俺を見ると、舌なめずりをするエロイーズさん!


「もしかして秋沙ちゅわん、今回はこの子を持っていって良いのぉ~?」


そして、秋沙姉にそう聞くエロイーズさん。

だが、


「…柊はダメ。それより約束の物を」


姉さんはそう言って俺とエロイーズさんの間に立って、エロイーズさんに手を出す。


「ケチねぇ~!1回、2回くらい貸して頂戴よぉ~ん!孕んで見せるんから~!」

「…ダメ。早く」

「んもう~!はい、約束の物よぉ~ん!」


秋沙姉とエロイーズさんはそう言い合って、エロイーズさんが秋沙姉に何やら袋を渡す。


「確認してねぇ~ん!」


エロイーズさんがそう言うと、秋沙姉は渡された袋を開けて中をのぞき込む。


「…確かに揃っている。いつもありがとう。はい」


中の物を確認した秋沙姉がエロイーズさんにお金を渡す。


「また何かあったら言ってねぇん!ババァ~い!」


そして、エロイーズさんは更に酒場を破壊して出ていった…。

嵐のような人だったな…。


「…柊、帰ろ。今すぐ試したい」


そして、俺がエロイーズさんが通った元扉を見つめていると、秋沙姉が袖を引っ張ってくる。


「それより秋沙姉、何を渡されたの?というか、買ったの?」

「…これ」


秋沙姉に質問すると、秋沙姉は渡された袋に手を入れて抜く。

俺に見せてきたのは、何やら分厚い本だ。


「…何これ?愛しの夫を虜にする調教術。受け編?」


そして、読んで後悔する…。

だが、


「あとこれとか、これ」


秋沙姉は更に袋から、何やら液体と錠剤のようなもの…。


「秋沙姉、これ何?違法の物だったりする?」

「…大丈夫。ここら辺のお店でも使われている物」


秋沙姉がそう言うなら信じよう。


「これをどうするの?」

「…勿論、今日の夜にでも早速使う」

「ダメです」

「…何で?」


使うことを許す事はしない…。


「そういう物を使うなとは言いません。でも、お互いに順序と言うものがあるでしょ?」


俺が秋沙姉にそう言うと、秋沙姉には珍しく膨れっ面になる。

秋沙姉がここまで感情を顔に出すなんて…。


「…いつになったら柊は私の事を調教してくれるの?」


そして、そう言ってくる秋沙姉…。


「鬼畜よ」

「野獣だわ」

「あんな綺麗な人になんてことしてるの、あの男」


そして、同席していた西騎士団の3名にそんな事囁かれる…。


「男女関係の難しい問題ね~。性の不一致ってやつかしら」


そして、セレステルさんが頬を真っ赤にしながらそう言う。

その様子を見ていた西騎士団の人達がうっとりとしている。

それに、秋沙姉の事をジロジロ見ている男達…。

秋沙姉の事で変な想像をしているのか、いやらしく笑っている者すらいる。


「すみませんセレステルさん。帰ります。お金置いておきますね」


俺はそう言ってテーブルにお金を置いて、秋沙姉の手を握って外に飛び出した。


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