リーシャ
ん…なんだ?少し重い…
体に少し重いものが乗っているような違和感があり、掛け布団を捲るとそこには銀色の剣があった。
とても綺麗な剣だ。
装飾は豪華すぎないが細やかな模様が書かれていて美しい。
少し触ってみる。
すると、
「ん…すぅー…」
声がしましたよ。
どういうことだ?
そうだ!リリアーナさんに聞いてみよう!
「リリアーナさん!ちょっと聞きた…い…んです…けど…。あれ?」
リリアーナさんが見当たらない。
どこかに出かけたのかな?
「ん…もう、うるさいわよ。なぁに?」
後ろからリリアーナさんの声が聞こえた。
だが、後ろはベッド。そこに寝息を立てる剣。
もしかしてと思い、後ろを向くと剣が立っている。
「もしかしてリリアーナさんですか?」
「そうよ!どうしたの大きな声出して?起きちゃったじゃない」
「すみませんって違う!リリアーナさん!その姿は!?」
「何か変?」
「綺麗な剣になってますよ!」
「ありがとう。だから言ったでしょ?私は人を辞めたって」
「それで剣に?」
「えぇ、私は秘術を使って私自身を魂の剣にしたの。ところで、魂の剣は出せる?」
「はい、出せますよ」
そう言って俺は左手に集中すると、直剣が出てくる。
ただ前と違い剣の刃が欠けていたり刃こぼれが目立つ。
「ボロボロになってる」
「見せて」
そう言われてリリアーナさんに剣を見せる。
剣に剣を見せるって変な光景だ。
「ふむふむ。これは直すのは難しそうね」
「そうなんですか?」
「ここまでボロボロだとね」
そうか…
「これじゃどんどん先輩達の役には立てなくなる」
「その先輩達って誰なの?」
「説明するからとりあえず元の姿になれませんか?」
「そうね。今戻るわ」
俺も直剣を消す。
綺麗な剣が光り、人の姿になっていく。
光りが収まると、リリアーナさんだった。
が、
「り、リリアーナさん!?何で裸なんですか!?」
「!?」
そうリリアーナさんが裸だった。
前から見てしまった。
女性らしい豊かな胸にくびれた腰、足も長くスラッとしていて綺麗だった。
あわわわわわわわわわ!!
「あはは…たまにやっちゃうんだけど、今まで1人だったから気にしてなかったのよね。やっぱり前線から離れて隠居しちゃうと警戒心が緩んじゃうなぁ」
リリアーナさんがまた光り、服を着た状態だ。
リリアーナさんは恥ずかしそうに笑っている。
見てしまって俺も恥ずかしい。
「その…すみません」
「ごめんね。変なもの見せちゃって」
「そんな!変じゃありませんでしたよ!凄く綺麗でした!」
あっ、俺何言ってるんだ?
「え!あ…あはは…綺麗だなんて初めて言われたわ」
リリアーナさんの顔が真っ赤だ。
俺も顔が熱い。
ど、どうしよう気まずい。
と、とりあえず話を戻そう。
俺はそう思い、今まであったことや前の世界での話をすると、
「なにそれ!どいつもこいつもクズばかりね。そのレイカって子はまともそうだけど、人を見る目はないの?そんな男と恋仲なんでしょ。それに異世界ね~。世の中私の知らない事がまだいっぱいあるのね」
「リリアーナさんはなんで隠居したんですか?」
リリアーナさんは優しい顔つきになって話し始めてくれた。
「私は勇者として様々な戦いに出陣したわ。でもそんな私に仲間と呼べる人達はいなかった。勇者であるが故にステータスが人より高くて常に1人で戦っていたの。そして魔神を倒した私は世界の人々に感謝されると同時に恐怖させてしまった。理由は簡単、皆が恐れていた魔神と配下の軍を私1人で倒したから。私を怒らせたら国、もしくはこの世界を破壊されると思われてしまった。皆が気を遣って私の機嫌を損ねないようになってしまって…。本音で人と話せなくなっちゃって。だからかな…私は人のいる所から離れて森の奥や今みたいに洞窟で過ごすようになったの」
そう言ってリリアーナさんは笑った。
とても綺麗で、でも寂しそうな儚い笑顔だった。
俺は気がついたらリリアーナさんを抱きしめていた。
「えっ!ちょっ!」
「俺はリリアーナさんに感謝してます!」
「え?」
「死にかけていた俺を助けてくれたのはリリアーナさんです。俺と対等に話してくれたのもリリアーナさんです。俺はリリアーナさんが初代勇者だって言われても凄いとしか思えません。俺はリリアーナさんが機嫌が悪くなって世界を破壊するような人には見えません。あなたはとても強くて綺麗で、でも少し寂しそうな女の子です」
「……」
…俺、何でリリアーナさんに抱き着いてるんだ?
「す、すみません!」
「待って!」
慌てて離そうとするとリリアーナさんが声を出す。
少し涙声だ。
リリアーナさんが俺の背中に手を回す。
「ありがとう…そんな事言われたの初めてよ。本当にありがとう。…ねぇ?」
「は、はい!何ですか?」
「あなたの事、名前で呼んでいい?」
「はい」
「…シュウ、私の事はリーシャって呼んで…シュウにそう呼ばれたい」
「…リーシャ」
「んっ…何だか恥ずかしいけど、とても良い気持ち」
やばい…リーシャ凄い可愛い。
それからもリーシャは俺の背中に回した手で俺の背中を撫でまわしたりしていた。
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