護るために
急用でいつもの時間に更新出来ずすみません。
リーシャの転移魔法で移動した所は室内。
おそらくサンレアン王国の一室だろう。
何だろう…久しぶりの室内な感じがする。
修行していた場所は完全に外だったし、レクシシュ様とセエレさんがいた場所も室内とは言えなかったし。
俺がそう思っていると、
「シュウ、訓練場行きましょ」
リーシャが俺の手を握ってそう言ってくる。
「訓練場?」
「えぇ!皆訓練してるから、シュウが帰ってきた事教えないと!」
俺が何で訓練場なのかと思いリーシャに質問すると、リーシャがそう教えてくれる。
「そう言う事か。皆訓練場に行ってるんだね」
「そうよ!行きましょう」
リーシャに連れられて俺達は訓練場に歩いて行く。
訓練場に着くと、何やら黒い大きい箱が置いてある。
「リーシャ、あれって何?」
隣で俺の腕を抱いているリーシャにそう聞くと、
「あれは、レイカさんの魔法で作った物よ。あの中にレイカさんが入ってるわ」
リーシャがそう答えてくれる。
それと…。
「姉さんは…あれは修行なの?」
俺がリーシャに顔を近づけて耳元で小声で聞く。
「ん…アキサさんも修行らしいわ、よく分からないけど」
リーシャがそう答えてくれる。
姉さんの姿は、布で目隠しをして、正座をしている状態で暴走スキルを使っている。
どんな修行しているのだろう…。
そう思いながら俺は辺りを見回す。
春乃と真海ちゃんの姿が見当たらない…。
「あぁ、ハルノとマナミは買い物に出かけてるぞ」
俺がそう思っていると、アルが俺に教えてくれる。
「買い物?」
「あぁ。何でも修行の為に必要な物らしいぞ」
俺の質問にアルがそう答えてくれる。
俺は歩き出して、黒い箱の側に行く。
触っても良いのかな?
俺がそう思っていると、
「柊ちゃ~ぁん」
箱が割れて、中から怜華さんがニュルリと出てくる!
「た、ただいま戻りました」
怜華さんにそう言うと、怜華さんはニコッと笑いこっちに来てと手を振る。
俺が怜華さんの近くに行った瞬間、
「ようこそ柊ちゃん。私の世界に」
俺の手を掴んで、中に引っ張ってくる怜華さん。
「うわッ!」
怜華さんに引っ張られて、俺は黒い箱の中に入ってしまった。
だが、そこは外見とは違う真っ暗な空間では無かった…。
「これって…」
そこは俺の写真で囲まれた、俺には苦痛でしかない空間だった…。
「何でこの世界に写真が…」
壁に貼られている何枚もの写真の中の1枚に触れると、確かに写真のツルツルとした触り心地がした。
「この空間はね、元の世界の私の部屋なのよ柊ちゃん」
怜華さんが俺にそう言ってくる。
でも、昔見た怜華さんの部屋は、こんな風では無かったはずだ。
「私の部屋が3つあるなんて柊ちゃんは知らなかったもの。仕方ないわよ」
俺がそんな事を考えていると、俺の考えている事の答えを怜華さんが言ってくる。
3つ…。
まぁ、怜華さんはお嬢様だから何個部屋があってもおかしくない。
「そう言う事よ。そして、ここが柊ちゃんが来ても大丈夫な部屋」
先輩がそう言うと部屋の景色が変わり、昔見た怜華さんの部屋になる。
「そして、最後にこの部屋」
そう言った瞬間、今までとは違った薄暗い部屋になる…。
目を凝らしてみると、そこにはベッドが1つ置いてあり、枕が2つ、枕元にはティッシュ箱が置いてある。
だが、それだけではない…。
人を拘束するためにだろうか、鎖が天井から伸びているし、人を拘束する台の様な物まで見える。
「ここは、柊ちゃんと愛を育むための部屋よ。さっ?私と1つになりましょう」
俺の近くに来る怜華さん。
その目は、ドロドロと濁っている。
少しの間、顔を合わせなかったからだろう。
怜華さんが暴走している。
もしかしたら、姉さんの修行?も暴走しているのかもしれない…。
「ごめんなさい怜華さん。遅くなりました」
俺は目の前に来て、俺に手を伸ばしてくる怜華さんの手を掴み引っ張る。
突然の事で、怜華さんはあっさり俺にぴったりとくっ付く。
「柊…ちゃん?」
怜華さんが驚いている様子で、俺の事を呼ぶ。
「心配かけてすみません。でも、これから俺、怜華さんや皆を護れるようになりますから」
俺がそう言うと、怜華さんの腕が俺の背中に回る。
「ダメ…。柊ちゃんは家の中にいないと危ないんだから…。私が護ってあげないといけないんだから」
俺にそう言ってくる怜華さん。
「確かに、まだまだ危な気なのは認めます。でも、信じて下さい。俺はもういなくならないし、怜華さんを護ってみせます」
俺がそう言うと、背中に回っていた手に力が籠るのを感じる。
「もう目の前からいなくならない?」
「はい」
「もう距離を置こうとしない?」
「はい」
「もう押し倒して良い?」
「は……それはダメです」
俺がそう言うと、怜華さんは俺から離れる。
「信じても良いのよね?」
怜華さんが真剣な表情で、俺の目を真っ直ぐ見ながら聞いてくる。
俺はその問いに、
「はい!」
全力でそう答える。
その瞬間、薄暗い空間が一気に明るくなる。
見ると、魔法が解除されたのか訓練場にいた皆がいる。
「大丈夫かシュウ?」
「シュウ!何もされてない?」
「…柊と一緒に密室…イィ」
俺の事を心配してくれるリーシャとアル。
何やら考えて、顔を赤く染める姉さん。
そして、
「柊ちゃんに抱きしめられちゃった…うふふ…。結婚結婚♪」
両頬に手を添えて、嬉しそうに微笑んでいる怜華さん。
ここにはいないけど、春乃に真海ちゃん、ティアとコレットさんとエルミールさん。
エルフの村のリザベルトさんにエルネットさん。
冒険者ギルドのザールさん、アルベールさん、ヤニック。
皆絶対に、護り抜いて見せる!
俺はそう決心して、拳を握る。
皆が幸せになれるように、全力を尽くす。
俺がそう思った瞬間、
「秋沙先輩!大変です!」
「お姉ちゃん大変だよ!」
「皆様大変です!」
真海ちゃんと春乃が勢い良く走って来て、姉さんに大きな声を出す。
城の窓から訓練場に声を出すティア。
皆慌ててどうしたんだろう?
俺がそう思うと、
「エロイーズさんのお家に強盗が入ったみたいだよ!」
「エロイーズさんの家からクソ男がいなくなったらしいです!」
「魔王ヴィネが脱獄しました!」
3人の声が重なる。
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