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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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掌握

あれから数日が経過した。

どんなに力を使っても周りの環境が破壊されないということがわかり、常に全力で修行に励んでいる。

それと同時に、偶にセエレさんに呼び出されて書類整理のお手伝いをしている。

その際にレクシシュ様とセエレさんが、魔素の扱いの話をしてくれる、

そのおかげで、今では新しい魔素の使い方を身に着けた。

どうやら、俺の魔素の扱い方は基礎を上手く使っていただけに過ぎないと言われた。

その時は少し落ち込んだが、お2人のお陰で更に応用の使い方を学ぶ事が出来た。

魔震も上手く調整する事が出来て、俺自身にも被害が及ばない様になった。

そして今は、新しく使えるようになった力を試している。


「ハアァッ!!」


拳を前に全力で突き出すと、風が巻き起こる。

少しずつではあるが、この状態を維持していられる時間も延びてきた。

身体能力の向上するには、この力が一番なのだが、この状態を維持しながら魔素を扱うのは難しい。

下手に加減を誤ると、死ぬ可能性もあり得るから…。

俺は魔素を霧散させて、一度休憩に入る。

休憩と言っても体を休めるだけで、座りながら魔素を操って試行錯誤する。


「…こうすると、ダメだ…すぐ消えちゃう…」


俺は魔素を圧縮したりしながら独り言を呟く。

最近、人との交流が少なくなったからか、独り言が増えてきているように感じる…。

皆、どうしてるかな?

俺はそう思いながら皆の顔を思い浮かべる。

リーシャは俺の事を甘やかしてくれるから、俺もそれに甘えてしまっていた…。

これからは、リーシャに護られるんじゃなく、俺がリーシャを護らないと。

リーシャのパートナーとして、恥を晒さない様にしないといけない。

ルリィは戦闘が苦手だから、彼女には炊事洗濯などを任せてしまっている…。

ルリィは笑顔で大丈夫ですと言ってるけど、偶に寂しそうな表情をする。

その表情を見る度に、俺はどうすれば良いのか考える…、ルリィの不安を取り除けるように頑張らないと。

アルにはお世話になりっぱなしだ…、今度何かお礼をしたいけど、アルの好きそうな物って何だろう?

お酒を飲んでいる所も見ないし、嗜好品とか宝飾品とかも興味無さそうだ…。

今度さりげなく聞いてみよう。

怜華さんは少し見ない間に、色々とさらけ出しているというか、スキンシップが増えた気がする。

目のやり場に困る事も増えてきて少し大変だが、それでも嬉しいと思ってしまう俺は女々しいな…。

怜華さんが俺の事を異性として好きなのは知らなかったが、これからはその事についても向き合わないと…。

姉さんも怜華さんよりも、少し見ない間に変わり過ぎた気がする。

怜華さんや春乃は、前からこんな感じだと言っていたが、俺は今だに嘘なんではないかと思ってしまう…。

ビシッとしている姉さんが、俺に痛くされたがっているなんて思いもしなかったし…。

今後どう姉さんと会えばいいんだろうか…。

春乃は前は少し冷たかったのが、小さい頃の様に接してくれるのが嬉しい。

だけど、偶に俺の事を光が消えた瞳でジーと見てくるのだけは未だに慣れない…。

あと、気配を消してこっそり見てくるのも出来れば止めて欲しい…。

真海ちゃんは皆の期待に応えようとして頑張り過ぎてしまって暴走してしまったが、これからは大丈夫だろう。

彼女の負担は一緒に解決出来たら良いな…。

ティアは皆に優しい良い人だ。

国民の事を真剣に考えて、城で働いている人の事もしっかりと見ている。

コレットさんも、普段はキツイ言い方をしているが本当は優しい人で、エルミールさんの事を大事に考えている、

エルミールさんも、コレットさんの事を命に代えても護り通してみせると言っている。

それだけ彼女の中でコレットさんが大事なのかがわかる。

リザベルトさんとエルネットさんは、家族を失っても折れる事なく互いに助け合いながら頑張っている。

ザールさんは厳つい表情の時が多いが、あの人は仲間をとても大切にしている。

俺もあの人を見習わないといけない。

ヤニックはどんな事があっても諦めない強い意志を持っている。

何回負けても、勝つまで諦めない精神を彼は持っている。

ザールさんとヤニックの2人が、俺の精神面での理想の人だ。

アルベールさんは未だに行方が分からないが、無事でいることを願うしかない。

あの人がいると、何だか落ち着く。

言い方は悪いが、祖父母と接している様な安心感があの人は持っている。

レデリックさんとセレステルさんも、サンレアン王国の平和を維持しようと、日々頑張っている。

皆頑張っているんだ、俺は皆より実力的にも精神面でも劣っているんだ。

皆より更に努力しないと、置いて行かれてしまう!

皆を護るために、もっと強くならないと!

どんな相手だろうと、勝つための力を手に入れないと!

俺はそう思いながら立ち上がる。

目を瞑り、地面踏み締める。

地面に混ざっている魔素を感じて、地面ごと動かすイメージをする。

魔法では無いが、より属性魔法に近い現象を作り出す。


岩壁いわかべ


地面ごと魔素を動かして大きな壁を作り出す。

レクシシュ様が俺にこう言ってくれた。


「魔素を操るなら、この世界の全てを掌握してみるのじゃ。意識を集中して魔素と魔素を含んでいるモノを見極めてみせい」


レクシシュ様の言葉に感謝する。

今までは魔素を操る事しか考えて無かった故の見落とし。

それに気づかせてくれた。

書類整理、いつでも引き受けないとな。

俺はそう思いながら、この空間の全てを破壊する。






「シュウの成長具合はどうじゃ?」


レクシシュがセエレに問うと、


「順調に」


穏やかな表情をしながらそう答えるセエレ。


「そうか」


セエレの言葉に、お菓子を口に放り込みながらそう言うレクシシュ。

やがて、口に入れたお菓子を咀嚼すると、


「ふむ、わしは愛だとか恋だとかあまり知らぬが、お主も相当じゃな。あの男のどこが良いんじゃ?」


セエレにそう質問する。

すると、質問されたセエレはクスクス笑いながら、


「今は酷いですが、昔は格好良かったのですよ。でも…」


そう言い、レクシシュの方を向き、


「今も昔も少し頼りない所やダメな所が、母性本能を刺激されてしまいますね」


ニコッと笑いながらそう言う。


「わからんのう」


レクシシュはセエレの言葉にそう返して、お菓子を口に放り込んだ。


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