開始
突然現れた扉に驚いていると、
「おし、じゃあオレ達は帰るから後はよろしく頼む」
アルがそう言う。
「待て待て!久方ぶりの再会じゃろ!もっとゆっくりしていけば良いのじゃ!」
「あ~、まぁそうなんだけどよ。どうせレクシシュの事だ。書類整理とかやらせるつもりだろ」
アルがレクシシュ様にそう言うと、
「ギクッ!?」
体をビクッとさせるレクシシュ様。
凄くわかりやすい…。
そして、アルもレクシシュ様の事をよく分かっているようだ。
「そ、そんな事せんよ?お茶でも飲んでからでも良いではないか?」
「「…」」
そう言うレクシシュ様の事を、ジト目でみるリーシャとアル。
「レクシシュ様、無理にお留めになられない方が良いですよ」
白い女性がそう言うと、
「いや、別に良いんだがよ。どうするリーシャ?」
「…まぁ良いんじゃない?久しぶりに会ったんだし」
アルとリーシャがそう話す。
「おぉ!よし!セエレよ!今日の仕事は終わりじゃ!」
リーシャとアルの言葉に喜び、机の上に広がっていた書類をまき散らすレクシシュ様…。
白い女性が目が笑っていない微笑みをレクシシュ様に向けるが、当の本人は全く気が付いていない…。
それからは早かった。
レクシシュ様が指を鳴らせば扉やお茶、茶菓子が出てくる。
専用の部屋まで作って、今は5人で話しながらお茶を飲んでいる。
「それで?どうするんじゃ?」
「何が??」
「これから魔神との戦いが起きるのだろう?勝算はあるのか?」
「リーシャとオレ、それにシュウがいるし、今回の勇者は強そうだから大丈夫だろ」
今はレクシシュ様とアルがこれから起きる魔神との戦いの話をしている。
「ふむ…リーシャとアルに関しては何も言う事がないのぅ。それに見ていたが、勇者達もそこそこ戦えそうだしのぅ…。それで、シュウとやらは、どういう気持ちなんじゃ?」
「は、はい!俺も皆の足を引っ張らないで、むしろ皆を引っ張れるようになりたいです」
俺がそう言うと、レクシシュ様がお菓子を口に放り込みながら、俺の事を凝視する…。
「もぐもぐ…。シュウの主な力は、魔素を思うままに形作るのか」
レクシシュ様の言った事に、俺は驚く。
「そんなに驚く事じゃないぞ。オレだってそれくらいなら出来るしな」
俺が驚いていると、アルがそう言ってくる。
「その戦い方は幅が広いのじゃ!しっかりと修行すれば、より強くなれるじゃろ。1つの属性に固執しないのが利点じゃからな!」
俺にそう言ってくるレクシシュ様。
神様のお墨付きだ、ここで成長しないと…。
俺がそう思っていると、リーシャが白い女性に話しかけている。
「貴女は、どうしてあの幼女の側に居るの?」
「レクシシュ様には、色々と助けてもらいまして、それにある約束をしたんですよ」
「そうなの…。大変でしょあの幼女の世話するの」
「…そうですね。最初に会った時は偉大な方と思いましたが、今は子供のお世話をしているのと同じに感じます」
話し方からして、どうやらあの人もリーシャやアルと一緒で苦労しているようだ…。
俺はレクシシュ様を見る。
外見は子供だけど、偉大な神様なんだ。
そんなに大変なのだろうか?
俺がそう思っていると、
「さて、じゃあオレ達は帰るぞ。レクシシュ、後は頼んだ」
アルがそう言いながら、立ち上がる。
すると、
「もう帰るのかのぅ…。もう少し居ても良いんじゃないかのぅ…」
レクシシュ様が机に突っ伏しながらそう言う。
「ダメよ。あんたと違って私達は忙しいんだから」
レクシシュ様にそう言いながら、リーシャも立ち上がる。
「じゃあシュウ、私達は帰るけど、ここで頑張ってね」
「頑張れよ」
俺にそう言ってくるリーシャとアル。
「ありがとう2人共。頑張るよ」
俺が2人にお礼を言うと、2人は俺に手を振って転移魔法で行ってしまった。
「さて、じゃあわし等も仕事を再開するかのぅ…」
「私達と言うよりも、レクシシュ様がするんですけどね」
「仕事したくないのぅ~」
そう言いながら、部屋を移動していく。
俺も2人に付いて行き、元の部屋に戻る。
「レクシシュ様、それと…」
俺がそう言うと、白い女性が慌てて、
「そう言えば自己紹介がまだでしたね!セエレと言います。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げてきた。
俺も慌てて、
「こちらこそ遅れました。シュウと言います。こちらこそよろしくお願いします」
そう言ってセエレさんに頭を下げる。
それからすぐに、レクシシュ様が書類になにやら書いている。
「では、行ってきます」
「頑張るんじゃぞ~」
「お気をつけて」
俺はレクシシュ様とセエレさんに挨拶してから、レクシシュ様に作ってもらった部屋の扉を開ける。
「…」
扉を開けた先は、草原が広がっていた…。
遠くに見えるのは、山だろう。
扉の先は、1つの世界が出来上がっていた。
俺は扉を開けたまま、レクシシュ様の方を向く。
「あの、これって…」
俺がそう言うと、
「ん?まだ足りんか?もっと広い方が良いのか?」
レクシシュ様が指を鳴らそうとするのを、慌てて止める。
「大丈夫です!こんなに広いというか、予想外過ぎてびっくりしてるだけなんです!」
「そうか?これくらい普通じゃろ」
「レクシシュ様の普通は、普通ではないです」
俺の言葉にレクシシュ様がそう言うと、呆れながらセエレさんがそうツッコむ。
「ありがとうございます。思いっきりやってきます!」
俺はそう言って扉の向こうの世界に、足を踏み出す。
土の感触を踏み締めて、扉を閉める。
風も気持ち良く、太陽もある。
「改めて凄いな…」
俺はそう呟いて、魔視を発動する。
魔素の状態も特に変わる事も無く、試しに久しぶりに魔素のボールを作ってみる。
特に問題も無く、上手く魔素を操る事が出来る。
少し扉から離れた方が良いな。
俺はそう思いながら、魔素を纏い一気に駆け出す!
それから少し走った所で、俺は走りながら、
「魔翔剣」
魔素を操り、剣の刃を作り出す。
その状態のまま、更に俺は魔翔剣のしっかりとした柄もある剣を作り出す。
前までなら、俺の実力不足でここまで魔素を操る事は出来なかった。
少しずつだが、俺も強くなってきている。
だが、まだ足りない。
皆を護れるくらい力を付けないと…。
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