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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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転移?

何だろう?

私は疑問に思う。

周りが真っ暗だから、視界の変化に気づきはするけど、正確にはわからない…。

視界の確認のために目だけ動かすと、異常に視野が広い事に気がつく。

何故なら、今私が見ている光景は、自分の首に剣を当てて私を脅しているそっくりさんが見えるから…。

端的に言うと、第三者目線の様になっている。

流石にこの変化に、私は少し酔ってしまう。

視界がどこまでも動いてしまう所為で、変な風に見えているのだ。

少し様子見で、時間を掛けないとこの目に慣れそうにない…。

私がそう思っていると、


「どうしたの黙り込んじゃって?」


そっくりさんが私に聞いてくる。

ここは、目を慣らすために時間を稼がないと…。

私はそう思い、


「私の欲しい力の事を考えてるの。もし言ったら、それを叶えてくれるの?」


背後のそっくりさんにそう言う。

なるべく時間を稼げるように…。


「勿論だよ。貴女の欲しいと望んだ力を与えてあげる」


うぅ…、やっぱりどう見ても変な感じ…。

目が回りそうだよ…。


「そうすれば、お兄ちゃんを独占する事だってできるよ」


そういえばMPがほとんど切れてるのに、何でこんなにこの力?が使えるんだろう?


「ねぇ聞いてる?」

「えっ?何?」


そっくりさんが私に何か話してた気がするが、どうでも良くて無視していたら、声を掛けられてしまい聞き返す事になってしまった…。


「だから、お兄ちゃんを独占する事も出来るって言ったの!私に頼めば!」

「耳元で大きな声出さないでよ」


私は耳元で大きな声で話してくるそっくりさんにそう言う。


「貴女、今の自分の状況を理解してるの?」


首に当たっている刃に、力が入るのが分かる。


「…わかってるよ」

「このまま無理矢理貴女に力をあげるのだってできるんだよ?でも、私の親切心で貴女に決めさせてあげようとしてるのに」


そろそろ慣れてきた。

今は周りが暗いから分かり辛いけど、普通の景色でこの力を使えば相当便利だ。

だけど、この目を手に入れた代わりに、加速魔法が使えなくなっている…。

それに風魔法も発動しようとしても、効果が無い。

どうしよう…、本当にお兄ちゃんを監視する力は手に入ったけど、この状況を打破する手が無くなっちゃった…。

ここで死んじゃったら、お兄ちゃん監視どころではなくなる。

そう言えば、私はこう思ったはずだ。

瞬間移動とどんなモノでも見える力…と。

そして、この目の力が手に入ったんだ。

なら瞬間移動的な力も、使えるんではないだろうか?

私はそう思い、また考える。

前に少し見ただけだが、リリアーナさんが瞬間移動をしていたし、私もその効果は知っている。

一緒に移動する人や物に触れていれば良いのかな?


「さ?そろそろ決まった?」


私にそう聞いてくるそっくりさん。

私は首に当たっている刃を意識しながら、リリアーナさんの様に、


「…転移」


そう呟くと、首に当たっていた剣が消える。

だが、私の位置は変わっていない…。


「け、剣が消えた!」


背後から驚いている声が聞こえる。

それと同時に、私は剣を出現させてそっくりさんに斬りかかる!


「あ、あぶなっ!」


だが、少し掠った程度で避けられてしまった…。

今が絶好のチャンスだ!

そう思い、更に斬りかかろうとするが、加速魔法や風魔法が使う事が出来ず、さっきの不意打ち以外は全て避けられてしまう!


「私の剣をどこにやったの!」


私の攻撃を避けながらそう聞いてくるそっくりさん。


「知らないよ!私は魔法を使っただけだもん!」


私はそう返しながら、攻撃していくがやはり普段の運動能力では掠る事すらしない。


「避けないで!」

「無茶言わないでよ!」


私がそう言うと、そっくりさんが言い返してくる。

私は目の力を使い、目線を変える!

今私が見える光景は、私とそっくりさんが戦っているのを少し離れた所から見えている。

どこか隙は無いかな?

そう思いながら剣を振るうと、


「かはっ!」


お腹に激痛が奔る!

隙があったのは、私のようだ…。


「剣が無くても、加速魔法で拳を加速すれば重い一撃になるんだよ」


そっくりさんが私にそう説明してくる…。

私はお腹を押さえて、地面に膝を付いてしまう。


「もう油断しない…、徹底的に殴って、もう無理矢理にでも私の力を受け取ってもらう」


そっくりさんがそう言うと、背中に更に重い一撃が入る!


「ぐっ…」

「叫んでもいいんだよ?」


私は声が出せずに、首を振るう。

すると、今度は頭に衝撃が!

頭を殴られて、その勢いに少し吹き飛ばされる…。

私は地面に倒れて、意識が遠のいてくる…。

私は力を振り絞り、目の力を使う。

まるで私を馬鹿にしているかのように、加速魔法を使っているのにゆっくりと私に近づいてくるそっくりさん。

舐められている…。

私はそう思うと、頭に血が上る…。


「…剣よ」


私がそう呟くと、手に剣を出現させる。

だが、両手に剣が出てきた…。

あれ?どういう事?

私はそう思いながら、そっくりさんの様子を見る。

まだ私が、剣を出しているのに気づいていないようだ。

どうして2つの…あれ?

私は剣を2つ見て、ある事に気がつく。

1つは私の剣だけど、もう1つは似ているけど私の剣ではない。

もしかして、私が消したそっくりさんの剣かな?

でも、どうして私の手元に?


「終わりよ」


そう声が聞こえて、そんなのどうでもいい!

私は最後の力を振り絞って、瞬発的に動き剣を突き出す!


「甘いよ」


私の渾身の攻撃をスルッと回避する!

これを逃したら、もう勝ち目はない!

当たれ!当たれ!

私がそう思った瞬間、手に持っていた剣がまた消える!


「…な、何?」


そう声が聞こえてそっくりさんを見ると、そっくりさんの胸に剣が2本共突き刺さっている!


「ど、どうして…」


そっくりさんはそう言って倒れる。

私も何が起きたのかわからず、呆然とするが、体はもう限界を超えているため、その場で私も倒れ込む。

よく分からなかったけど…、これで良かったんだ。

お兄ちゃんを監視する力だけでも手に入ったから良かった。

もう1つの力はまだよく分からないけど、後でアルネウスさんやリリアーナさんに聞いてみよう…。

私はそう思いながら、意識を手放した。

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