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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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それから私は、法律関係を調べて義理の姉弟が結婚できることを知った。

とても嬉しかったが、柊の気持ちはどうなんだろう?

そこはかとなく聞いてみると、柊は私の事を好きだと言ってくれた。

でもそれは、家族として…弟という立場で姉の私の事が好きだと言った。

それから私は、柊にどうやって異性として好きになってもらえるか考えた。

だが、どう考えても私に出来そうな事は無かった。

そこで私は、親友である怜華に相談した。

その時、怜華と約束をした。


「お互いのどちらかが柊と結婚したら、一緒に暮らそう」


と、約束した。

それから私は、柊に対する気持ちを募らせていき、やがて夢に柊が出るようになっていた。

夢に出てくる柊は、普段の優しい柊とは違い、少し…いや、かなり意地悪になっていた。

私を弄ってくる柊は、楽しそうに、嬉しそうにしている。

そして、私も柊に意地悪される事に嬉しく感じてしまっていた。

最初は戸惑っていた私だったが、次第に慣れてしまった。

それからは、柊に意地悪されている妄想などをしてしまう程だ。

私は昔の事を思い出しながら、目の前の柊を見る。

普段通りの柊に見えるが、雰囲気が違う。

今の柊は、どちらかと言うと意地悪をしてくる柊だ。


「…私が柊を好きになった理由は、冷たかった私に優しくしてくれたから」


私がそう言うと、目の前の柊が笑う。


「姉さん。でも姉さんは俺に痛い事をされたいと願っているんだよね?」


柊の言葉に、私は口を閉じる。

確かにそうだ。

でも、今は柊と遊んでいるつもりはない。

私は更に強くなりたい。


「柊、私はここに修行に来たの。また今度襲って欲しい」


私がそう言うと、柊はキョトンとした後笑う。

私は何で柊に笑われているのだろう?

そう思っていると、


「姉さん、姉さんはそれ以上自身の力を強くする事が出来ないよ」


柊がそう言った。

私は愕然とする。


「私は…これ以上強くなれないの?」

「うん。姉さんの力、スキルによる強化はこれ以上強く出来ない」


私はそう言われてショックを受ける。


「でも、1つだけ方法があるよ」


柊の言葉に、私は、


「…どうすれば良いの?」


そう聞く。

すると、柊は笑いながら、


「それは、姉さんの願いで決まるんだ」

「願い?」

「そう願い。姉さんはどうなりたいかそれを意識すれば良いんだ」


柊にそう言われて、私は考える。

どうなりたいか…。

私は強くなりたい。

でも、それは出来ないと柊は言った。

ならどうすれば私は、柊の、皆の為に強くなれる?

そう思っていると、柊が近づいてくる。


「姉さんの願いは、こうして欲しいんじゃないの?」


柊がそう言った瞬間、どこからか怜華の鎖の様な物が出てきて、私は拘束される。


「…ん!」


私が声を上げると、更に鎖は私をキツく縛ってくる。

見ると、体の凹凸を強調する様に鎖が動いている。

私はこれが柊にされていると思うと、嬉しく思い、それと同時に興奮してくる…。


「どう姉さん?気持ち良い?」


柊がそう言うと、鎖が更に蠢く。

服の上からと言っても鎖が体の上を這われると、少し痛く気持ち良い。


「…ッ!んッ!ハァハァ」


息が乱れてくる…。

見ると、菱縄縛りをされている…。

これは亀甲縛りに似ているが、私からしたらこれは別だと考えている。

ちなみに、菱縄縛りは私の中で柊に縛られたいランキング2位だ。

1位は…内緒。

いつか柊にしてもらいたい。


「ねえ、姉さん。どう?気持ち良い?」


柊が私に顔を近づけて聞いてくる。

その瞬間、私は見てしまった。

柊の目が赤く光っているのを!


「…お前は、誰?」


私がそう聞くと、柊の偽者が笑いながら、


「誰って、姉さんの弟の柊だよ」


そう言ってくる。


「…違う。柊はそんな目の色をしていない」


私はそう言って、暴走スキルを発動する。

体に激痛が奔り、力がみなぎってくる!


「チッ!このまま捕まえておこうと思ったのに」


柊がそう言って、私から離れる。


「…柊の姿で、よくも私を辱めたな!」


私はそう言って、柊の偽者に駆け斬りかかる!


「おおっと…。危ないじゃないか姉さん」

「私の事を姉と呼んでいいのは、柊と春乃だけにしか許していない!」


私はそう言って、更に斬りかかる!

だが、私の連撃を簡単に躱していく偽者。

私のスキルは、体への負担が大きい分、長期戦に向いていない。

早くこの偽者を倒さないと、私が負けてしまうかもしれない!

だが、暴走スキルの所為で体の痛みがキツく、動きが鈍ってくる…。


「どうしたの姉さん?動きが悪くなってるよ」


私にそう言ってくる偽者。

これ以上速く動くには覚醒スキルしかない…。

私は暴走スキルを解除する。


「…ハァ…」


体の痛みに私は深く息を吐く。

そして息を整えて、


「…覚醒!!」


覚醒スキルを発動する!

体中に黒い痣が出てきて、力が溢れてくる。


「…これで決着だ!」


私はそう言って、剣を振るう!

流石に偽者も私の速さに追いつけないようだ。

このまま一気に畳み掛ける!

私がそう思った瞬間、


「甘いよ姉さん」


偽者がそう言って、鎖が出てくる!

それを見て、私は思った!

柊以外にあんなことされても、嬉しくない。

私の願いは…、


「私の願いは!柊に私の事知ってもらって、理解してもらう事!そして、私の全てを私と共有して欲しい!」


そう叫んだ瞬間、偽者の体に私と同じ様な黒い痣が出来てくる!


「何だ?力が溢れてくる…」


偽者も突然の事に驚いているようだ。

だが、私が斬りかかると、応戦してくる!

それは私と同じ速さと力強さ。

私と偽者の連撃が交差し、私と偽者の体を傷つけていく!

私は一度、後ろに下がり偽者と距離を置く。

少し考える。

どうして偽者が私と同じ様に覚醒スキルを使うのか。

そこで、ある事を思う。

あの時言った事が、偽者にも効果があるのなら、私は賭けに出てみよう。

私はそう思い、覚醒スキルを解除する。

途端に体中に奔る激痛!

意識を失いそうになるのを、何とか堪えると、


「がぁぁ…体中がぁぁ!」


偽者が絶叫する声が聞こえた。

見ると、私と同じ様に覚醒スキルを解除した時の激痛に体を蝕まれている様。

やはりそうだ。


「ぐ…うぅ」


そうしている内に偽者が倒れる。

私の願いは、柊に私の全てを共有して欲しいと言った。

それが、私の使ったスキルの効果も共有する事なんて思わなかった。

でも、これなら痛みに強い私の方が有利。

そう思いながら、私は痛みで意識を失った。


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