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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
158/430

真実

あの後、俺は皆をベッドに座らせて話を聞く事にした。


「それで春乃は何で天井にいたの?」

「お兄ちゃんを監視するためだよ。家だったら部屋に監視カメラ付けてたから、ここまで大胆に動けなかったけど」


…家に監視カメラ??


「…どこに付けてたんだ?」

「お兄ちゃんの部屋とトイレとお風呂場」

「待って春乃…。頭が追い付かない」


俺がパニックになりながら、今度は姉さんに質問する。


「姉さんは何でベッドの下にいたの?」

「…ギシギシし出したら、下にいる私が潰されて痛気持ち良くなると思って」

「もう訳わからない…」


どういう事なの?

俺は最後の希望、先輩に、


「先輩は何でここに?」


そう聞いた。

すると、先輩は俺に笑顔を向けて、


「夜這い!」


そう言い切った。

どうして皆こんな事し始めたんだ?

俺が生きていた事を嬉しく思ってくれるのは嬉しいが、監視とか夜這いとかは度が超えていると思う。

これは…、しっかりと話をしないといけないな。

俺はそう思い、先輩達の向かい側に座る。


「色々と話したい事があるんだけど…良いかな?」


俺が3人にそう言うと、3人はキラキラした目を俺に向けてくる。


「まず姉さんと春乃。2人共、俺の事を嫌いだったんじゃなかった?」


俺がそう言うと、先輩がほれ見ろっと言いたそうな表情を2人に向ける。

2人は慌てて、


「「そんな事ない!」」


俺にそう言ってきた。


「だって、家でも学校でもあまり話さなかったし、冷たかったというか…」


俺がそう言うと、


「違うの!お兄ちゃんが嫌いだった訳じゃないんだよ!」


春乃が俺にそう言ってくる。


「…柊は、私と春乃の事をどう思っている?」


姉さんが俺にそう聞いてくる。


「2人の事は家族だし、大切に思ってるよ」


俺がそう言うと、2人の顔が曇る。

俺、何か悪い事言ってしまったのだろうか?

俺がそう思っていると、


「…私達は、柊に1人の女として見て欲しかった。だから、少し距離を置いて、家族でも…血が繋がっていない女なんだって思って欲しかった」


姉さんがそう言う。


「何でそこまで?」

「結婚したかったから…」


俺が質問すると、春乃が答える。


「でも、俺達は血は繋がってなくても、家族じゃないか」

「お兄ちゃん知ってる?元の世界では義理の兄妹で結婚できるんだよ?」


春乃が俺にそう言うと、姉さんを見る。


「だから、お姉ちゃんと決めたの。少し距離を置いてお兄ちゃんに女として見てもらえるように頑張ろうって」

「それで、あんな冷たかったのか」

「辛かったけど…将来幸せになれるなら、今は我慢しようと思ったの」


俺が2人を見ていると、先輩がため息をつく。


「私は2人にそんな事しない方が良いわよって言ったのだけれど、聞かなくて」


先輩が2人を見ながらそう言ってくる。


「柊ちゃん、2人を嫌いにならないでね。2人も柊ちゃんに好かれたくて暴走しちゃったのよ」

「ま、まぁ嫌いにはなりませんよ」


少し驚いているが、2人に嫌われてなくて良かった。


「でも、監視カメラはやり過ぎじゃないか?」

「ッ!?」


俺が春乃にそう言うと、春乃がビクッとする。


「違うのお兄ちゃん。私はただお兄ちゃんの生活を監視したかっただけなの」

「…言い訳してない気がするんだけど?」

「だって、お兄ちゃんと会話してない所為でお兄ちゃん成分が足りなかったの」

「ちなみに俺の部屋とお風呂、トイレに付けたって言ってたけど、もしかして?」

「お兄ちゃんの生活模様は、しっかりと保存してあるよ!安心して!」


最悪だ…。

もうこれから先、春乃と普通に接していけるか不安だ…。

何を安心しろっていうんだ…。

俺はなるべく深く考えないようにして、姉さんに、


「もう一度聞くけど、姉さんはどうしてベッドの下にいたの?」


そう聞く。

すると、


「…柊が寝たら、私が潰されて気持ち良くなると思ったから」


何故か、顔を赤く染めた姉さんがそう言ってくる。


「潰されたら、痛いだけだよ」

「…柊に痛くされたら、嬉しい」

「……」


もしかして姉さんって…。

俺が姉さんの事を見ていると、先輩が、


「柊ちゃんの考えている通りよ。秋沙は柊ちゃんに痛くされたり、苦痛を与えてもらうのが嬉しいのよ」


そう言った。

つまり、姉さんはMだったという事か?


「…こんな私、嫌い?」

「いや、姉さんは姉さんだよ。少し驚いてるだけだよ」


姉さんが不安そうな表情で聞いてくるからそう答えたが、実際は凄くパニック状態だ。

いつも完璧で凛としている姉さんがMだったのは、意外すぎる。

だが、今はまだ話の途中だ。

俺は先輩を見る。


「先輩は何で夜這いなんてしたんですか?」

「既成事実があれば、柊ちゃんと結婚できると思ったのよ」

「…先輩はそんな事する人ではなかったんですけど…」


俺がそう言うと、先輩は何故か胸を張って、


「子供が欲しいわ!愛の結晶!私と柊ちゃんの!ふふふ…」


そう言って微笑む。

先輩も何だか少し見ない間に、色々と変わり過ぎているような気がする。


「…柊、怜華は昔からこんな感じだった」


俺が少し戸惑っていると、姉さんがそう言う。

そして、


「怜華は、最初から柊と結婚する気しかなかった。そして、ある約束をした」


姉さんが俺の事を見て、それから先輩を見る。


「約束?」

「…そう。それは、怜華が柊と結婚したら、私と春乃も柊と暮らす事。しかも…夫婦の様に」

「それってどういう事?」

「…単純な話。私と怜華、春乃が外で働いて柊を養い、柊には私達を愛してくれるようにする。勿論夫婦の営みもしっかりしてもらう」

「…色々と問題があるけど、それじゃあ姉さん達は未婚じゃないか」

「…柊以外考えてないから特に問題なし」

「そ、それに浮気というか重婚みたいになっちゃうし」

「…ばれないなら大丈夫」


駄目だ…、この3人は俺の理解を超えている…。

その後も、3人と話をしたが、基本的に俺の理解を超えてくる答えしか帰ってこなかった…。

だが、時々リーシャが頷いたのを見て、リーシャにはわかるのか…。

と、思ってしまった。

しかし、良い事もあった。

先輩は元々俺に優しく接していてくれていたから、ある程度は好かれているんだと思っていたが、姉さんと春乃に関しては完全に嫌われていると思っていた。

それが実は違い、2人もある程度は俺の事を認めていてくれたんだとわかった事だ。

その後、気がついたら夜中になっていたので、3人を部屋に帰そうすると、春乃は天井へ、姉さんはベッドの下へ、先輩はベッドの中へ行く。

俺とリーシャで3人を自分の部屋に何とか帰して、ベッドに入る。


「良かったわね、シュウ」

「何が?」

「お義姉さんや、義妹さんに嫌われてなくて」

「…うん」


俺とリーシャはそう話して、眠りに着いた。

…ベッドの中が良い匂いがしたのは気のせいだ…。


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