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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
156/430

指示

頭が…痛いです。

アルの言葉に皆が呆然としていると、


「あれ?オレなんか変な事言ったか?」


アルが皆の反応を見て困惑し始める。


「どういう事なのアル?」


俺がアルにそう聞くと、


「このまま魔神が復活しちまったら、戦力不足だと思ったからな。この4人を強くしようと思ってな」


アルはそう言って生徒会メンバーの先輩、姉さん、春乃、結城さんの順番で視線を移していく。


「まぁ、他にも強くなりそうな奴らがいるが…」


アルはそう呟く。


「強くなったら…リリアーナさんに勝てますか?」


春乃がリーシャの事をチラリと見ながらアルにそう言う。


「んあ?リーシャにか?どうだろうな?それはお前たちの努力次第だろうな」


春乃の質問にそう答えるアル。

すると、


「負けるつもりはないわよ…。でも私はもうあなた達とは戦いたくないわ」


リーシャが春乃にそう言う。


「勝ち逃げするんですか?」


リーシャの言葉に、春乃が絡む。

そう言われたリーシャは首を振るう。


「そういう訳ではないわ。ただ、私はシュウの大切な人達であるあなた達を傷つけたくないわ」


リーシャがそう言って、先輩達の傍に行く。


「ごめんなさい。でもシュウの事を大切に想っている者同士仲良くしたいわ。それに…」


リーシャはそう言って、先輩達に顔を寄せる。


「シュウ…昔の…教え…わ。…かわり…まで…シュウの…を教える…」


リーシャが先輩達にそう言った瞬間、3人の目がカッと開き、リーシャの肩を掴む。

何の話をしていたんだろう?

俺の名前が少し聞こえた気がするんだが…。

俺がそう思っていると、


「とりあえず、今はサンレアンに戻るぞ!」


アルが皆にそう言う。

それからまた皆が俺にくっ付いてリーシャの転移魔法でサンレアン王国に帰った。

城の外に転移したので、門番の人に驚かれたが、大丈夫だろう。

その後、リーシャと先輩達は何やら話すことが出来たと言って、どこかへ行ってしまった。

すると、


「シュウ、少し付き合ってくれないか?」


アルが俺にそう言ってくる。


「どうしたの?」

「お前の知り合いの冒険者に会いたいんだ。ドラゴン殺しとその仲間にな」


ドラゴン殺しとその仲間…、つまりザールさんとヤニックか。


「2人に伝えたい事があってな。仲介してくれ。オレは面識がないからな」

「わかった。じゃあ一緒に冒険者ギルドに行こう」

「私も行きます!ご主人様!」

「良いよ。一緒に行こうね」


俺はそう言って歩き出す。

アルとルリィも俺と一緒に歩き始める。

城を出て、町を歩いて行き、冒険者ギルドに辿り着く。

俺とアルとルリィが入って行くと、サンレアン王国の冒険者達が今日の仕事を探している。

俺は受付嬢の所に行き、


「すみません。ザールさんに会いたいんですけど…」


そう言う。

受付嬢は笑顔で応対してくれて、ザールさんの部屋に入る許可をもらう事が出来た。

俺は受付嬢にお礼を言って、アルとルリィの所に戻り、3人でザールさんの部屋に行く。

ザールさんの部屋の扉を叩くと、


「どうぞ」


ザールさんでもヤニックでもない声が聞こえた。

俺は、


「失礼します」


そう言って扉を開ける。

すると、ベッドの上に座っているザールさんと彼の側にヤニックが立っており、2人と話している男性が部屋に入る俺達の事を見てくる。


「シュウさんもお見舞いですか?」


男性はフェリアンさんだった。


「フェリアンさんはどうしてここに?」

「私はザールとヤニック…それとアルベールの様子を見るために来たのですけどね」


フェリアンさんがそう言うと、ザールさんとヤニックの2人が表情を暗くする。


「その事で話がある」


アルがそう言って俺の隣に来る。

3人はアルの姿を見て、一度視線を下に移してびっくりして上に戻す。

アルは凄いからな…。

俺が3人の様子を見てそう思っていると、


「シュウさん?こちらの方は?」


フェリアンさんが俺に説明を求めてくる。

だが、アルの事を正直に話す事は出来ず、


「彼女は俺の師匠で、何でも知っている凄い人です」


3人にアルの事をそう説明する。


「いきなりで悪いんだが、お前」


アルがザールさんの事を指差す。

ザールさんはアルに指差され、確認するように自分で自分の事を指差している。


「そうお前だ、冒険者ザール。ドラゴン殺しと呼ばれている最強の冒険者。ドラゴンの体の一部を使った大剣を使っていたが、それを奪われた」


アルがザールさんにそう言うと、ザールさんが顔をしかめる。


「今、ロンアルビという獣人の国にドラゴンが出て、皆困っている。お前はそこに行け」


アルはザールさんにそう言うと、


「無理だ…。今の俺にドラゴンは…」

「無理じゃ無い。お前はそこでドラゴンを倒す事が出来る。完全に。そして、前持っていた大剣より更に強い武器が手に入る。そのおかげでお前は求めていた者達を見つける事が出来る」


ザールさんの言葉を遮って、アルはそう言う。


「どうしてそんな事がわかる?」


ザールさんがそう言うと、アルはニカッと笑い、


「スキルの力だ!」


そう言いきった。

皆が呆然とする中、俺は慌てて、


「すみません。彼女は珍しいスキルで、人の未来を見る事が出来るんです。だから、彼女を信じて…」

「大丈夫だ」


アルの事を信じて下さいと言おうとしたら、ザールさんが笑って俺の言葉を遮る。


「信じよう。ロンアルビに行けば良いのか?」

「いや、お前の持っていた大剣を作った鍛冶師の所で、使いやすい武器を買え。それからドラゴン退治だ」


ザールさんがアルに質問すると、アルがそう答える。


「それからお前!」


アルがアルの胸を見て鼻の下を長くするヤニックに声を掛ける。


「ッ!はい!」


アルの勢いに押され、ヤニックはビシッと姿勢を正す。


「お前は精霊の森に行け。そこで今お前が会いたい奴を迎えに行くんだ」

「精霊の森ですか?」


アルがヤニックにそう言うと、ヤニックがアルに聞き返す。


「そうだ。お前も準備が出来たらさっさと出発しろ!」

「は、はい!」


アルの指示に勢いよく返事をするヤニック。

その後、ヤニックは買い物に行ってきます!と言って部屋を出て行った。

アルとルリィもすでに部屋を出ている。

俺はフェリアンさんに呼び止められて、まだ部屋にいるが。


「彼女は信用しても良いんですよね?」

「はい!俺はアルの事を信じてます」


フェリアンさんが俺に質問してくる。

俺はその質問に、食い込み気味にそう答えると、


「わかりました」


フェリアンさんが少し微笑みながらそう言った。


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