目覚め
ブックマーク登録者数が400人を突破しました!
いつも読んでくれる皆様、ありがとうございます!
これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。
あれから城に戻った時には、2人は眠りかけていたので、城のメイドさんに2人を任せて宿に戻った。
勿論ルリィと一緒に。
俺が城に戻った時にはもう、ルリィは城にあった用意されていた材料をすべて使い切り、回復薬を完成させていた。
そして、翌日。
そろそろ先輩達やティアがいつ目覚めてもおかしくないので、リーシャとルリィに城に行きたいと言うと、
「良いわよ」
「ご主人様に付いていきます!」
2人共そう言って一緒に来てくれる。
昨日と同じ、リーシャは俺の腕になってくれていて、ルリィは俺の隣を歩いている。
3人で城に着くと、皆慌ただしく動いている。
どうしたんだろう?
そう思っていると、
「おはようございます。シュウさん」
後ろから声を掛けられる。
エルミールさんの声だ。
「おはようございます。エルミールさん」
俺が後ろに振り返りながら挨拶を返すと、彼女が立っている。
「昨日はありがとうございます」
「いえいえ、楽しい時間が過ごせました。こちらこそありがとうございます」
俺とエルミールさんが互いに頭を下げながらお礼を言っていると、
「どうしたんですか?皆さん忙しそうですが…」
隣にいたルリィがエルミールさんに質問する。
「ティアリス様とティシール様がお目覚めになったのです」
「そうなんですか!良かった…」
俺がそう言うと、エルミールさんが、
「お会いになりますか?」
俺に聞いてくる。
「行きます」
エルミールさんの質問にそう答えると、エルミールさんが微笑み、
「では付いて来て下さい」
そう言って歩いて行ってしまう。
俺達はエルミールさんに付いて行き、前に4人がサンレアン家の4人が集まっていた部屋に案内された。
エルミールさんが部屋をノックすると、中から声が聞こえた。
「失礼します」
エルミールさんが扉を開けて中に入っていく。
俺とルリィも一緒に入ると、家族4人が仲良く話している。
「失礼します。ティアリス様、ティシール様、お体は大丈夫です?か」
俺がそう言うと、
「シュウさん、良かった」
ティアが嬉しそうに微笑んでいる。
どうやら体に異常はないようだ。
ただ…。
「……」
国王様が凄く睨んでくる。
当たり前だ、家族水入らずを邪魔しているからな…。
「それじゃ、後は家族でゆっくりして下さい!失礼しました!」
俺は4人にそう言って、慌てて部屋を出る。
俺は部屋を出て、一礼してから治療室に向けて歩き出す。
一礼して頭を上げた時に、ヴァレッド様がにこやかに笑っている顔が見えた。
俺はそのまま治療室に歩いていく。
そして、治療室に入った瞬間、体が固まる。
ちらほらと、勇者達が起きているのだ。
俺が入って行くと、皆俺の事を見て思案顔になる。
おそらく俺の事を考えているのだろう。
俺はなるべく目立たない様に、先輩の側に行く。
どうやら、まだ先輩は目覚めてないようだ。
「ルリィ…」
俺は俺の傍に居たルリィに小さい声で呼ぶ。
「どうしましたご主人様?」
ルリィも俺に顔を近づけてそう聞いてくる。
「ここにいない方が良いかも。少し食堂に行ってて」
「…わかりました。お待ちしてますね」
俺が周りを気にしながらそう言うと、ルリィも察しそう言って治療室から出た。
今は皆、体の怠さにあまり動けないようだ。
すると、
「ん…」
先輩の声が聞こえた。
俺が先輩の顔を覗き込むと、僅かに先輩の目が開いている。
「…先輩」
俺が声をかけた瞬間、
「…拘束」
先輩から鎖が出てくる!
「へ?」
『え?』
俺とリーシャは突然の事に間抜けな声を出してしまう。
そんな反応をしている間に俺の体を鎖が巻き付いてくる!
「うわっ!」
鎖に巻き付かれて動けなくなった俺は、先輩が横になっているベッドに倒れ込む!
「せ、せんぱ…ン!?」
俺が倒れた瞬間、先輩の唇が俺の唇に重なる!
『シ、シュウ!?』
リーシャが声を出すが、あまりの展開に頭が回らないようだ。
「チュル…チュ…ンゥ…」
俺が理解する前に先輩の舌が、俺の口の中に侵入してくる!
とても情熱的なキスだ…。
どんどん過激になってくる先輩のキスに頭が熱暴走してくる…。
そして、先輩の手が俺の服の中に入ってきた!?
だが、
『ダメ!転移!!』
この状況に頭が追い付いたリーシャが転移魔法で、少し離れた所に転移する。
だが、鎖がなお俺の事を捕まえようと伸びてくる!
俺も慌てて魔素を霧散させて、先輩の魔法を掻き消す。
「柊…ちゃん」
魔法が消えた事で、先輩が起き上がるが、その目はドロドロと濁っている。
「柊ちゃんが逃げた…。捕まえないと…」
先輩がそう呟いた瞬間、さらに鎖が大量に出てくる!
俺は捕まらない様に、鎖を躱していくが、どんどん追い詰められていく…。
『リーシャ!もう少し離れた所に転移して!』
『そうね!転移!』
俺がリーシャに頼むと、リーシャも魔法を使って転移する。
今転移した所は、治療室の出入り口辺りだ。
だが、
「おにい…ちゃん」
今度は後ろから声が聞こえる。
慌てて後ろを見ると、春乃が俺に飛びかかっている!!
『転移!』
更にリーシャが転移魔法で移動するが、鎖と春乃がどこまでも追いかけてくる…。
すると、
「何事ですか!」
エルミールさんさんが大きな声を出してこちらに向かってくる。
これで少しは落ち着くだろう、と思ったが、
「…何ですかこれは?」
エルミールさんが、俺の事を見ながらそう聞いてくる。
「邪魔しないで下さい。たとえ夢の中でも、私の邪魔をするなら殺します」
治療室から出てきた先輩が、エルミールさんに鎖を伸ばす!
俺は魔素を纏って、先輩の鎖よりも速く、エルミールさんに駆け寄り抱きしめて避難する。
だが、
「柊ちゃんが、女の人に…私以外の女に触れた…。…殺す」
更に苛烈に動いていく鎖!
仕方ない…。
俺はそう思い、城の魔素を全て霧散させる!
すると、先輩の魔法は解除され落ち着く。
「大丈夫ですか?エルミールさん」
「は、はい。ありがとうございます」
俺がエルミールさんを下ろしながら聞くと、エルミールさんはお礼を言いながら下りる。
彼女に怪我がなくて良かった…。
だが、
「…殺す殺す殺す殺す」
エルミールさんを睨みつけながら、ブツブツと怖い事を言っている先輩。
先輩をどうしよう…。
そして、
『シュウを奪おうとした?あの女?それ相応の罰を与えないといけないわね』
リーシャをどうしよう…。
そう思いながら、小さくため息をついてしまった。
読んで下さってありがとうございます!
評価して下さった方、ありがとうございます!
感想を書いて下さった方、ありがとうございます!
ブックマークして下さった方、ありがとうございます!
評価、感想、ブックマークして下さると嬉しいです!
誤字脱字などありましたら、連絡して下さい。
よろしくお願いします。




