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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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遅れてしまい申し訳ありません。

翌日、俺とリーシャは起きると2人で笑い合う。

なんていうか、幸せだからだ。

その後、俺とリーシャは服を着て、最後の荷物のベッドをリーシャが片付ける。

それからすぐに、リーシャの転移魔法で俺とリーシャはエルフの森の側に転移した。

森の外は、魔物の死体や、荒れている草原が見える。


「凄い光景だね」

「そうね。でも今回の魔波は、被害が無かったから良かったわ。普通だったら死人が何人いてもおかしい事じゃないわ」

「そうなんだ」

「しかも魔王達が絡んでたのよ。サンレアン王国が無事だったのは勇者達のおかげでもあるわね」


そう考えると、まだ良い方だったのか?

でも、ザールさんの大剣を奪われたんだ、完全に良い方だとは言えないな。

そう思っていると、リーシャが俺に触れてくる。


「あまり深く考えちゃダメよ。誰も死ななかっただけ良いと思いなさい」

「…わかったよ」


俺がそう言うと、リーシャが右腕になった。

それを確認して、エルフの森に入っていく。

すると、何やら騒がしい。

まだ少し村までは距離があるのに、ここまで歌が聞こえる。

美しい声だ。

その美声を聞きながら歩いて行き、やがてエルフの村に着いた。

そこは既に宴会場になっている。

保存食として作った物まで引っ張り出したのか、そこら中に散乱している。

すると、


「あ~!ご主人様ぁ~」


ルリィが俺に向かって走ってくる。


「おっと!」


ルリィはそのまま俺に飛び込んで来たから、慌てて押さえる。


「うぅ~。ご主人様の匂いですぅ~」


俺の体に顔を押しつけてそう言うルリィ。

だが、


「う?クンクン…」


ルリィは突然俺の体の匂いを嗅いでいく。

そして、


「なんですか?この匂いは?」

「ちょっとルリィ!?」


俺の股に顔を押し付けて匂いを嗅ぐルリィ。

俺は慌てて、ルリィを引きはがす。

そして気が付いた。

ルリィの顔が赤く染まり、目がトロンとしている。

もしかして…。

俺はそう思いながら、ルリィの顔に自分の顔を近づける。


「…ルリィ…。お酒飲んだ?」

「飲んでませ~ん!」


俺がそう言うと、ルリィは、大きな声でそう言う。

だが、ルリィはあまり言葉を伸ばしたりしない。

これはどう見ても…、酔っぱらっている。

そう思った瞬間、


「あら~?シュウ君~!こっちよこっちよ~!」


人混みの中からリザベルトさんが、手をブンブン振りながら俺に声を掛けてくる。

仕方なく、俺はピッタリとくっ付いているルリィを連れて、リザベルトさんの元に行く。

すると、彼女の隣に酒瓶を抱いて寝ているエルネットさんがいた。


「リザベルトさん、これはどういう事ですか?」

「何って、宴会よ!魔波が終わって平和が訪れたのよ!祝わないと損じゃない!」

「…んぅ」


リザベルトさんが大声でそう言うと、寝ているエルネットさんが微かに動く。


「この騒がしさで寝ていられるなんて…」


俺は、寝ているエルネットさんを見ながらそう言う。


「可愛いでしょ?」


リザベルトさんがそう言ってくる。。


「そうですね」

「…」


俺がそう言うと、エルネットさんが動く。


「どうシュウ君?この村に住む気はない?」

「この村にですか?」


俺が聞き返すと、


「そうそう!良いんじゃないかしら?皆も喜んでくれると思うわよ~♪ルリィちゃんも馴染んでるし」


リザベルトさんがルリィを見ながらそう言う。

ルリィは、エルフの人達に呼ばれて何かを飲んでいる…。


「馴染み過ぎじゃないですか?エルフと獣人って仲悪いって聞いてたんですけど」

「皆、ルリィちゃんなら森での殺しをしないっていう掟を守ってくれそうだから、気を許してるのよ」


リザベルトさんがルリィと騒いでいる皆の事を微笑みながら見ている。


「ルリィちゃん!じゃんじゃん飲みな!」

「は~い!!」


そろそろ止めないと、明日に響きそうだ…。

俺がそう思い、立ち上がろうとすると、


『大丈夫よシュウ。回復魔法で二日酔いは治せるから』


リーシャがそう言った。

それなら良いかなと思い、座り直す。


「リザベルトさん達は、森から出ることをしないんですか?」

「どういう事?」

「森ではなく、国や町で住む気はないんですか?フェリアンさんは町に住んでるじゃないですか」


俺がそう言うと、リザベルトさんはエルネットの頭を撫でながら上を見上げる。


「この森は先祖や仲間が護り残したモノ。そう簡単には捨てられないわ」

「…すみません。何も知らないで不躾な事を言いました」


俺が謝ると、リザベルトさんは首を振る。


「シュウ君の事だから、私達の事を考えて言ってくれたのでしょう?」

「まぁ、はい。エルフの皆には人と共存していって貰いたいと思います」

「どうして?」

「過去に色々あって、人間が嫌いなのはわかります。でも、より安全に暮らしていくには、人との共存が一番かと。それに、良い国という事は俺が保証します」

「そうね。今後の事も考えて、しっかりと検討してみるわ」

「ありがとうございます」

「こちらこそよ」


俺とリザベルトさんがそう言って笑い合っていると、


「ん…」


エルネットさんが目を開けて、起き上がる。


「おはようございます。エルネットさん」

「ん…シュウも飲む」


そう言って、エルネットさんが抱き付いていた瓶を俺に渡してくる。


「すみません。俺は未成年なんで」


俺がそう言うと、2人はキョトンとした顔をしている。


「シュウは15歳なの?」

「いえ」

「じゃあ、飲めるわよ~!エルネット!飲ませてあげなさ~い」

「ん」


俺がそう答えると、リザベルトさんが俺を羽交い絞めにしてくる!


「ちょ!?」


そして、それを確認したエルネットさんが酒瓶に口をつけ、お酒を口に含むと俺に迫ってくる!


「ま、待って!」


俺がそう言うが、リザベルトさんが俺を逃がさないとおもいっきり抱き付き、俺を動けなくしてくる。

そして、目の前にはエルネットさんの綺麗な顔が。

エルフってお酒は口移しなのか!?


「覚悟して、エルネットのお酒を飲みなさい!次は私ね~!」


後ろからそう言ってくるリザベルトさん!

エルネットさんの顔が近づき、彼女の良い匂いとお酒の匂いがする。

後数センチで、くっ付いてしまう瞬間!


「何してるんですかぁ~!!」


そう声が聞こえた瞬間、俺とエルネットさんの間を何かが通過する!

おそるおそる見ると、ルリィが自分で作り、愛用している包丁が地面に刺さっていた。


「ご主人様に手を出さないで下さいぃ~!」


そう言いながら、こっちに走ってくるルリィ。

だが、


「邪魔。許さない」


エルネットさんがルリィの前に立つ。

その後、ルリィとエルネットさんの戦いが始まり、それを見ていたエルフの皆がそれに白熱した応援をしながら、宴会は続いた。

俺は、それを見ながらリザベルトさんと少しだけお酒を飲んだ。

大人な味がした。

ちなみに、リーシャも見つからない様にお酒を飲んでいたが、普通に美味しいって言いながら、お酒を飲んでいた。


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