結婚
俺がそう言うと、
『わかったわ。転移』
リーシャが転移魔法でダンジョン、カイエンヌ洞窟の前まで移動する。
今は誰もいない。
「ここで…全てが変わったんだな」
俺がそう呟くと、リーシャが人の姿に戻る。
「行きましょ?シュウ」
リーシャが俺の腕を引っ張る。
俺とリーシャは互いの手を握り、ダンジョンの中に入る。
色々な事があったな。
このダンジョンの底に落とされて、重傷だった俺をリーシャが助けてくれたんだよな…。
俺がそう思っていると、
「ねぇシュウ」
隣にいるリーシャが声を掛けてくる。
「どうしたのリーシャ?」
「この洞窟、実はダンジョンなんかじゃ無かったのよ」
「どういうこと?」
俺がそう聞くと、
「元々この洞窟、入ってすぐ行き止まりだったの」
リーシャはそう言った。
「え?でも今こうして奥へと歩いてるけど…」
「その…」
リーシャが何やら言い難そうにしている。
だが、
「この洞窟、私が拡げちゃったの!」
リーシャが大きい声でそう言うと、洞窟内に響く。
拡げたってどういう事だろう?
俺はそう思って、リーシャに、
「どうしてそんな事を?」
そう聞いてみる。
「その、私が隠居してたのはシュウも知ってるわよね?」
「前にそんな事言ってたね」
「それで良い場所を探してたのよ。そうしたら良い感じの洞窟を見つけたんだけど、狭かったから拡げたの。それで奥に住んでいたら、いつの間にかダンジョンになってて、魔物も住み始めちゃうし」
そう言ってリーシャが止まる。
おそらく、リーシャは自分がここに住まなければ、俺が怪我をすることは無かったとか思っているのだろう。
だが、
「俺はここでリーシャに出会えたんだ。だから、このダンジョンに嫌な記憶なんてないし、俺はリーシャにお礼を言いたいよ」
俺がそう言うと、リーシャが驚いた表情をする。
「シュウは、何で怒らないの?私が洞窟を拡げちゃったからとか思わないの?」
「そんな事思わないよ」
リーシャの言う事に、俺は苦笑いをしながらそう言う。
リーシャは俺の言葉に、疑問を感じてるのか俺の顔を覗き込んでくる。
「俺はリーシャに出会えてなかったら、城に引きこもってたかもしれない。でも、ここでリーシャに出会えて、この世界の色々なモノを見れる事が出来たんだ。リーシャには、感謝しかないよ」
俺がそう言うと、リーシャは黙って俺の左腕に抱き付いてくる。
リーシャの柔らかい感触に、ドキドキしながら洞窟の奥へ歩いていく。
やがて、俺が落ちた縦穴に着いた。
橋が出来ている。
俺が落ちてから、ダンジョン攻略の為に作られたんだな。
そう思いながら、橋の真ん中に立ち下を見る。
最初にここを見た時は、緊張していてドキドキしていたけど、今は左腕を包んでいる柔らかさにドキドキしているな。
そう思って、苦笑してしまう。
だが、この安心感はリーシャがいてくれるおかげと、少しは自分が成長していると思いたい。
今なら、ここから落ちる事になっても、リーシャの力に頼らなくても何とかなるだろう。
すると、
「ねぇシュウ?」
リーシャが声を掛けてくる。
「どうし…うわっ!」
その瞬間!
リーシャが俺を引っ張り、2人共橋から落ちる!
そして、リーシャが俺に抱き付いてくる。
「ありがとう…シュウ」
俺に抱き付きながら、リーシャがそう言う。
お礼を言いたいのは、俺の方なのに…。
俺はそう思いながら、リーシャを抱きしめる。
どんどん落ちていく。
前の様に、奈落に落ちていくが俺は、不安なんてない。
リーシャがいれば、何でもできる。
俺だけの力でも、このくらいは出来る。
俺はそう思って、魔素を操り空中で方向転換し、足で魔素を踏み締めながら、ゆっくりと下に歩き出す。
やがて、俺が落ちた泉が見えてきた。
すると、
「おかえりなさいませ、ご主人様」
俺の姿をしたリーシャの契約獣が扉の前に立っていた。
俺は、ゆっくりとそこに下り立つ。
何だろう?
目の前にいる自分が、少し幼く見える。
俺が自分の姿を見ていると、リーシャが俺から離れる。
「ご苦労様」
リーシャが契約獣にそう言うと、契約獣をまじまじと見つめる。
「どうかしましたか?」
「…何でも無いわ。戻りなさい」
契約獣がリーシャにそう聞くと、リーシャは首を振って契約獣にそう言う。
すると、俺の姿から前に見た鏡の姿に戻る。
そして、消えてしまった。
「戻したの?」
俺がそう聞くと、
「ここにある荷物を守らせていたからね」
リーシャがそう言って、扉を開ける。
中は、人がいなかったにも関わらず綺麗だ。
埃もない。
「換気と掃除をしてくれてたみたいね」
リーシャがそう言って、部屋に置いてある荷物をどんどん魔法で片付けていく。
「何か手伝う事ある?」
俺が片付けているリーシャにそう言うと、
「大丈夫よ。少し待ってて」
部屋の中の物を1つだけ残して外に出て行くリーシャ。
「…」
俺は部屋に残されているベッドを見る。
これはもう…そう言う事だろう。
少しして、扉が開きリーシャが戻って来た。
「何してたの?」
俺がそう聞くと、
「外の泉から水を少し貰っていくのよ」
リーシャはそう言って、水筒の様な物を俺に見せる。
あの泉の効果は凄いからな…。
俺がそう思っていると、リーシャが俺の傍に来る。
「その…リーシャ?」
俺が声を掛けると、リーシャが俺に抱き付いてくる。
俺もリーシャを抱き締め、息を整える。
「リーシャ、これからも…ずっと俺の傍に居て下さい。結婚して下さい」
俺は、何とか噛まずにそう言うと、リーシャの抱き付いてくる力が増す。
「はい。これからも…ずっと、ずっとシュウと一緒に生きていきたいわ」
リーシャの言葉に、俺は少しリーシャを離す。
「これ…受け取って欲しいんだ」
俺は、サンレアン王国の宝飾店で買った指輪をリーシャに渡す。
リーシャは指輪を受け取り、
「シュウの国では、結婚指輪はどこにはめるの?」
俺にそう聞いてくる。
「確か…左手の薬指だったはず」
俺がそう言うと、リーシャが左手の薬指に指輪を着けて、左手を大事そうに胸に抱く。
受け取って貰って良かった…。
俺はそう思い、ベッドに腰掛ける。
すると、
「シュウの指輪は?」
リーシャが俺の左手を見てそう聞いてくる。
「俺はこれからも戦いに出るから、無くさない様にここに…」
そう言って胸元を開ける。
そこには、リーシャと同じ指輪が下がっている。
「戦ってる途中で、壊れたり無くさない様に、ここにしたんだ」
俺がそう言うと、リーシャが俺の肌に触れてくる。
「…シュウ」
リーシャの唇が俺の唇に触れて、優しいキスをする。
「ごめんなさい…シュウ」
リーシャがそう言うと、俺はリーシャに倒される!
「リ、リーシャ?」
俺がそう言うと、彼女はすでに服を消して裸になっていた…。
「我慢できないわ」
そう言われて、俺はリーシャに様々な意味で貪られた。
凄く…積極的なリーシャだった。
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