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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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竜焔剣

ガレスが竜の炎を出すと、アルベールとヤニックが、顔をしかめる。

ザールの仲間だからわかる。

彼の強さも、そして彼が握っている大剣の力も。

だが、だからといって引き下がる訳にもいかない。

アルベールとヤニックは、気が抜けない相手だ、今の自分達の全力で戦おうと心に決め、剣を構える。


「この力を手に入れた俺に勝てると思っているのか?」


ガレスが笑いながら、2人に剣を向ける。


「加速!」


最初に動いたのはヤニックだ。

加速魔法で一気に加速してガレスに近づく!

だが、


「ふむ…、竜炎珠!」


ガレスが一瞬考えるような仕草をしたが、剣を振るうと、刀身から竜の姿をした炎が出てくる!

そして、炎の竜はヤニックの周りをグルグル回り始める。

炎はヤニックの周りをグルグル周りながらどんどん迫ってくる。


「ヤニック!」


アルベールがヤニックの事を呼ぶ。

ヤニックがアルベールを見ると、彼は下を指差している。

ヤニックはそれだけで、これからする事に準備する。

抜刀していた刀を鞘に納めて、腰を落とす。

ヤニックがそうした瞬間、


「氷獄!」


アルベールが魔法を使用した。

ヤニックの足元から、アルベールの魔法で氷が出てくる。

ヤニックはそれに乗り、上に飛ぶ!

この連携は、前に空を飛ぶ魔物を討伐する時にした事があったから出来た事だ。


「加速!」


炎がヤニックがいた場所を燃やし、氷を溶かしていく。

ヤニックは、足場の氷が溶け切る前に、ガレスの元に駆ける!

だが、ガレスはその光景を見ながら、ヤニックの行動に厭らしい笑みを浮かべている。

そして、


「竜火弾!」


火魔法で自身に向かって来ているヤニックに、魔法を使う。


「くっ…両断!」


ヤニックは自分に向かってくる火の玉斬り裂くが、その一瞬の隙に、ガレスがヤニックの前に移動する。

突然目の前に現れたガレスに、ヤニックは慌てて刀を振るうが、ガレスが竜焔剣で受け止める!


「砕け散れ!」


そして、竜焔剣を力一杯振るい、ヤニックの刀にぶつける!

すると、ヤニックの刀が砕ける!


「なっ!」


ヤニックは、刀が砕けてしまった事に絶望する。

戦場で武器が折れる。

そんな事が起きれば、確実に死ぬからだ。

ガレスが竜焔剣を笑いながら握る。

ヤニックに止めを刺そうとしているのだ。


「氷槍!」


だが、アルベールが魔法で邪魔をする。

その間に、ヤニックは一度距離を取る。


「チッ」


ガレスが舌打ちをして、地面に下りる。

ヤニックはアルベールの元に下り、


「ありがとうございます。アルベールさん」


アルベールにお礼を言う。


「大丈夫ですか、ヤニック?」


アルベールは目線をガレスから放さないで、ヤニックにそう言う。


「はい、ただ刀が…」


アルベールの質問にヤニックがそう言うと、アルベールが自身の刀をヤニックに渡す。


「これを使いなさい。私は剣を使います」


そう言って、アルベールは剣を出現させる。

アルベールの魂の剣は、氷がそのまま剣の形をしている。

魂の剣は、持ち主の心の本質を形にする。

シュウの剣が、持つ部分すら刃なのは自分はどうなっても良いという自己犠牲の考えから、その形になっている。

ヤニックの魂の剣は、普段のヤニックと同じでとても強そうな見た目だが、特別な力などは無い。

ただの一般の剣なのだ。


「ありがとうございますアルベールさん!」


ヤニックはアルベールの刀を構える。

ガレスがその光景を見てニヤリと笑う。

すると、ガレスの後ろから気配が!

ガレスが後ろを向くと、そこには体中ボロボロになっているザールが立っていた。


「返して…もらう!」


ザールがそう言って、魂の剣を出現させる。

だが、ザールの魂の剣は…錆びている。


「そんな剣で俺に勝てると思っているのか!」


ガレスがザールに斬りかかる!


「ぐっ…」


ガレスの連撃に、ザールが錆びた剣で受け止めていく。

だが、刀身から漏れ出している炎がザールの肌を焼いていく。


「師匠~!」


ガレスを後ろから奇襲するヤニック!

刀でガレスの背中を斬ろうとするが、


「竜炎!」


ガレスが魔法を使って、ヤニックの斬撃を竜の姿をした炎が受け止める。


「ハァァァ!!」


そして、さっきまで魔法で戦っていたアルベールが、接近戦を仕掛ける!


「ふん!精霊の分際で魔法を使わないとは!」


アルベールに向かって、そう言いながら竜焔剣を振るうガレス。

だが、アルベールの氷の剣は砕ける事なく、竜焔剣を受け止める!

しかも、アルベールの剣が当たった場所が凍っていく竜焔剣。


「面白い」


そう呟いて、アルベールとガレスが互いに剣で連撃を繰り出す。

アルベールの剣が当たり、どんどん凍っていく竜焔剣だ。

だが、それも竜焔剣の刀身から溢れている炎で溶けていく。


「…はぁ、流石にもう厭きたな。終いにしよう」


ガレスがそう言って後ろに下がる。

そして、


「全魔力を注げば、この魔法も使える!」


そう言いながら、竜焔剣を上に向ける。


「猛極爆竜焔!!!」


ガレスが魔法を使った瞬間!

空から巨大な竜が落ちてくる。

それは、この辺り全てを焼き尽くすであろう程の炎!

サンレアン王国の人達、勇者達、ザールとヤニックが、その炎に絶望する。

…終わる。

そう思った瞬間!


氷針獄水乱舞ひょうしんごくすいらんぶ!!」


アルベールが魔法を使う!

すると、彼の体が消える。

そして、地面から水が噴き出し、炎にぶつかる!

水と炎がぶつかり合っていく、するとどんどん水が凍っていく。

やがて、水は全て凍り炎と氷の戦いになる。

どんどん氷が溶けて、雨の様に水が空から降り注いでいく。

だが、それと同時に炎もどんどん小さくなっていく。

そうして少しして、氷も炎の竜も無くなる。

そこにいる人達は皆、炎が無くなった事に歓喜し、声を出す。

だが、ザールとヤニックは、目の前で地面に膝を付いているガレスに止めを刺そうとするが、異変に気づく。


「師匠!アルベールさんが!」

「アルベールなら大丈夫だ!あの男に注意しろ!」


ヤニックが声を出すが、ザールはガレスを見ている。

ガレスの体から、黒い靄が出てきている。


「なんだ、あれは…」


そう呟いた瞬間!

ガレスから出てきている靄が勢いよく噴き出し、どんどん広がっていく。

高さは下半身を覆うぐらいで、広さはどんどん広がり、後ろで休んでいた勇者達やサンレアン王国の負傷兵達まで広がる。


「なんだなんだ?」

「何だこれ?」


靄に浸かっている人達がそう声を出した瞬間!

靄に浸かっている皆から魔力が抜けていく!


「ぐっ…」


怜華や秋沙と春乃、真海も既に魔王との戦いで消耗している魔力を吸われていき、意識を失っていく。

どんどん魔力が吸われて、意識を失っていく人達。

ザールも、少しずつ魔力を吸われていくが、まだ意識を保っている。

ちなみにヤニックは既に白目で地面に倒れている。

やがて、ガレスがゆっくりと立ち上がる。

靄を介して、靄に浸かっている者達から魔力を吸っているのだ。


「危なかった…。魔力を全て使うのは良くないな」


そう言って、ザールに近づくガレス。

だが、ザールも既に魔力が底を尽きそうで、意識を保つだけで精一杯だ。

ガレスがザールの目の前に来るが、ザールは動く事が出来ない。

その様子を見て、ガレスは興味無い様子でザールの横を通り過ぎる。

魔力を吸われ尽くして、地面に倒れている者達の所を歩いていくガレス。

そして、立ち止まる。

ガレスが止まったのは、勇者達が倒れている所。

ガレスは、倒れている勇者達を見て考える。

どの勇者を連れて行こうかと…。

そして、面倒になったのか適当に怜華に手を伸ばそうとした瞬間!

ガレスの後ろから轟音が響く。


「先輩から…離れろ」


ガレスは後ろを見る。

そこには、自身の持っている竜焔剣の様な炎が燃え盛っている大剣を握り、自分の事を睨みつけている男が立っていた。

エルフの森から転移魔法で転移をしてきたシュウを。


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