表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初代勇者を腕に  作者: 雪羅
14/430

魔王

長くなってしまいました。

お姉さんは何を言っているんだ?みたいなきょとん顔をしている。

え?俺なんか変な事言ったかな?


「何言ってるの?さっきからあなたの後ろを歩いてたじゃない」


俺の後ろを歩いてたのは、大人なあなたと違って子供なセレステルさんだけだったはずだ。

そういえば、セレステルさんどこ行ったんだ?


「セレステル、セレステル・レオノールよ!」

「え?」


お姉さんが少し怒りながら名乗ったが俺には理解ができなかった。


「セレステルさんはもっと小さい子なんですけど?」

「色々あるのよ!さ、早く行くわよ」


そういえば、皆を待たせていた。

列に戻り、セレステルさんの隣を歩く。


「本当にセレステルさんなんですか?」

「本当よ、ある病気で魔法を使用しようとすると体や精神に影響が出るのよ。おかげで普段と今じゃ全然違うから初対面の人には毎回困惑されて大変よ!服だってぶかぶかじゃないとこうなった時に服破けるし…はぁ~…」


今までも色々あったようで深いため息を吐くセレステルさん。


「お、お疲れ様です」

「ほんと、お疲れよ…とりあえず今後ともよろしくね」

「は、はい。よろしくです」


隣にいるセレステルさんが微笑みながら言ってくる。

美人が笑うと絵になるよね。先輩とか笑うと皆が笑顔になるからな~。

そんなこんなでセレステルさんの変貌に驚きつつ、更にダンジョンを潜っていく。

途中またゴブリンとの戦闘があったが最初よりかはマシになった。

セレステルさんに自分の戦闘はどうですか?と聞くと、


「まだまだよ!そんなんじゃすぐに死ぬわ!」


と、ダメ出しされてしまった…。

それからは魔物と戦闘をすることがなく1時間。

隣を歩くセレステルさんに、魔法での戦い方を教えてもらっているとセレステルさんに変化が、


「はぁふぅ~~」


と声を出しつつ体が小さくなっていく。

背が縮みあんなに大きかった胸も小さくなっていく。


「あ…あの、大きな態度で…ごめんなさい」

「大丈夫ですよ」

「…あの姿は…恥ずかしいです」


確かレデリックさんがセレステルさんの事を恥ずかしがり屋と言っていたな。

そんな子があんな姿になってしまったら恥ずかしいだろうなぁ。

そう思っていると前の方で騒がしくなってきた。


「何かあったんですかね?」

「わ…わかんないけど戦闘になるかも…」


セレステルさんと話していると前とは比較にならない程の爆発音、衝撃が肌に当たる。

皆が緊張や恐怖で騒ぎ始めて来ると、前から騎士の人が慌てて走ってきた。


「伝令!レデリック団長からです!魔族と遭遇し戦闘に!勇者様方を守りつつ活路を開け!とのことです」

「わかったわ!あなたは持ち場に戻りなさい!」

「は!」

「皆聞いていた通り、速やかにダンジョンから脱出するわ!私に付いてきて!」


いつの間にかまた大人になっているセレステルさんは騎士に指示を出すと踵を返して俺たちを誘導し始める。

周りの人たちはセレステルさんに付いていく。

俺もセレステルさんに付いていこうと歩き出したその時、前方から結城さんと先輩がこちらに歩いてくる。

だが、見ると結城さんが先輩に肩を貸しているようで2人の歩くスピードが遅い。

俺は結城さんと先輩の元へ走り、


「どうしたんですか!?」


自分でも驚くほど、大きな声を出す。


「ダンジョンを歩いてたら前から男の人が歩いてきたと思ったら突然襲われたんです。生徒会のメンバーとレデリックさんが戦ったんですけど先輩はMP切れで当分戦えなくなってしまって動けなかった先輩が危なかったので先に来てしまいました…」


そう言う結城さんも辛そうだ。

多分、結城さんのMPも限界に近いのだろう。


「柊…ちゃん」

「先輩!」


先輩が声を出すがいつもと違って声に覇気がない。


「柊ちゃん…早く逃げて」


今は先輩が早く逃げないといけないのに…。

そんな事を思っているとまた、爆発音がする。

そして気づく。

結城さんは生徒会・・・メンバーとレデリックさんが戦っていると言った。

つまり、姉さんと春乃が危ない。


「先輩と結城さんは逃げてください!」


俺はそう言うと2人が戦っているであろう方向に走る。

逃げようとしている人達の波をくぐり抜けて走ると、徐々に戦闘音が大きくなってくる。

そして戦闘のせいで広くなったであろう場所に着いた。

見ると、姉さんと春乃とレデリックさんが睨みつけているのは、1人の大男だ。

だが、人とは違い角が生えている。

大男が俺に気がつくと、


「ん?何か来たと思ったらまた人間かよ~」


と、そう言ってやる気なさげに頭を掻く。

その発言に姉さんたちが俺に気付くと皆驚いているようだ。


「柊!」

「なんでお兄ちゃんが…」

「君は確か平民の?」


状況を見るとこちらが劣勢のようだ。

そういえば、獅子原はどこだ?

よく目を凝らすと壁の所で気絶しているらしい。

おい!生徒会でハーレム築いている癖に、何で真っ先にノックアウトされるんだよ!

主人公らしく覚醒とかして恰好良く戦って勝てよ!


「レデリックさん!相手に勝てないんですか!?」

「そうしたかったんだが相手が悪い!」


レデリックさん程の人が勝てないとなると、ここにいるメンバーでは勝てないだろう。


「俺様に勝てる人間なんかいねえよ!がはははははは」


大男は相当強いのか、物凄い自信だ。


「おいガキ!俺様は魔王バルバラム・ダンタロトだ!人間に負ける訳がねぇ!」


大男は俺を指さしながら大声で言い放った。

魔王っておいおい!いきなり過ぎだろう!


「君!彼女たちを連れて逃げなさい!」


レデリックさんが俺に言い放つと魔王に向かっていき、魔王は笑いながら大斧を出す。

レデリックさんと魔王の大斧が衝突するが、大斧はレデリックさんのハルバードを容易く弾いた。

俺は姉さんたちの傍に走って行くと2人は疲れていそうだが、MP切れではなさそうだ。


「姉さん!春乃!2人はどんな魔法が使える?」


俺が質問すると、2人は顔を見合わせる。


「私たち、2人とも風魔法が一番使えるけど…」


春乃が言う。

俺は一か八かである作戦を考えた。


「2人ともあそこに行って強めの風魔法の準備をしていて!」

「「わ、わかった」」


初めて出す俺の大声に2人は驚きながらも行動してくれた。

その間に俺は獅子原を背負い2人が準備している所まで運ぼうとするが、重くてなかなか進まない。

やっとの思いで2人の所にたどり着き、チャンスを待つ。

レデリックさんが必死に攻撃するが魔王の体に当たっても弾かれている。

どんだけ硬いんだよ…。

そんな事を思っているうちに、チャンスがついに来た!

レデリックさんが大きく距離を置く。


「レデリックさん!!こっちです!!」


俺が大声で呼ぶと、レデリックさんと魔王がこちらに気付く。

だが、レデリックさんの方がこちらに近くすぐに来れる。

レデリックさんが走ってこっちに向かってくる。

魔王も来るが距離が違う。

レデリックさんが着いた瞬間、俺と姉さんと春乃が同時に魔法を使う。


「火よ!!!」

「「大嵐!!」」


火の強風が魔王を襲う。


「クソ!!熱い!風も、うっとおしい!!」


魔王が一度立ち止まる。

魔王ならこの程度じゃダメかと思ったが意外にも効果はありそうだ。


「レデリックさん!魔法で道を塞いでください!」

「わ、わかった!」


俺がそう言うとレデリックさんが通路の天井にハルバードを刺して、


「破ッ!!」


と叫ぶと、爆発が起こり天井が崩れ岩などで道を塞いだ。


「今のうちに逃げましょう!姉さんと春乃も走って!あまり時間はないから!レデリックさん!コイツをお願いします」


俺はそう言ってレデリックさんに獅子原を押し付けて、姉さんと春乃の後ろを走った。


読んでくださってありがとうございます!

感想など書いてもらえると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ