怜華VS魔女王ヴィネ
「「ふふふ」」
戦場に2人の優雅な笑い声が聞こえる。
勇者怜華と魔女王ヴィネの声だ。
彼女達が笑い合っているのには、今の2人の戦い方にあった。
2人共、魔法を使って互いを拘束しようとしている。
2人は魔法を使い続けて、怜華は鎖を、ヴィネは草木の根をどんどん増やしていく。
「貴女の魔法、凄まじい執念を感じるわ。そこまで一体何を捕まえたいの?」
ヴィネが怜華の魔法を見てそう問う。
ヴィネにそう言われた怜華は、自分の魔法を見て、更に自身の手を見る。
「当り前だわ。…私は彼を逃してしまった。もしかしたら…もう捕まえられないかもしれない状況なの。でも、もし彼が見つかったら、もう一生放す気もないし、離れる気も無い。ずっと…ずっとずっと彼は私の傍に居てもらうのよ。彼にはもうどこにも行かせない様に、私はこの魔法で私と彼を繋ぎたいのよ。貴女にはわかるかしら?大切な人が自分の傍からいなくなってしまった気持ち」
怜華がそう言うと、ヴィネは理解できないと言った表情をする。
「いなくなってしまったなら、新しいのを用意すればいいのよ。1つにこだわる必要がわからないわ」
どうやら、怜華とヴィネの考えは真逆のようだ。
怜華は、聞いた私が馬鹿だったわ…と思いながら、ため息をつく。
「拘束」
怜華は魔法を使い、更に鎖を増やしていく。
そして、鎖をヴィネに向かわせながら、自分も走り出す。
「根縛」
ヴィネも対抗して、地面から草木の根を出していく。
ヴィネが、自分に向かってくる怜華を根で捕まえようとする。
怜華は自分に向かってくる根を、剣で斬り払っていく。
そして、一気に怜華はヴィネに近づく!
「聖剣」
怜華がそう呟くと、怜華の握っている剣が光り輝く。
怜華のスキル、聖剣化だ。
彼女のもつどんな武器でも、彼女のスキルを使えば魔族に大きなダメージを負わせる事が出来る聖剣にする事が出来る。
「それはっ!!」
ヴィネも怜華が握っている剣が何かわかったようで、慌てて逃げようとするが、
「させないわよ!拘束!」
怜華が魔法を使うと、彼女の体から鎖が出てくる!
それはヴィネも予測が出来ず、あっけなく鎖に捕まってしまう。
「な、何で体から鎖が!?」
ヴィネが、怜華に向かってそう言うと、怜華は笑いながら、
「体に重りを付けて動けば、鍛えられるかもと思ったのよ。見事に戦闘にも役立つし、一石二鳥ね」
そう言った。
そして鎖を更に増やしていき、ヴィネの体をグルグルに鎖を縛っていく。
「くっ…動けない…。私は筋力があまり無いんだから、こんなに縛り上げなくても良いんじゃないかしら?」
鎖に縛られて、地面に倒れたヴィネが上を向きながら、そう言ってくる。
「信じられないわ。…でも、そうね」
怜華はそう言って、地面に倒れているヴィネの胸の部分に触れる。
「ふふ…。拘束」
怜華が魔法を使った瞬間、ヴィネの体に変化が起きる!
「な、なにこれ…。魔力が…」
「私が今拘束したのは、貴女の魔力よ」
怜華の拘束魔法は、様々なモノを拘束する。
人であっても、魔力であっても。
だが、ある制限があり、それは人を拘束するのは普通で良いのだが、特定の人物の魔力などになると、その人物に触れなければならない。
だから怜華は、まず人を拘束する事を心掛けている。
「私を捕まえて、どうするつもり?」
ヴィネが怜華に問う。
「私は特に何もする気はないわ。貴女になんて興味無いもの。サンレアン王国に渡してお終いよ」
ヴィネの問いに怜華がそう答えると、怜華はヴィネを縛っている鎖に手を伸ばし、鎖を掴んで歩き出す。
「イタタ!ちょっと…引きずらないで…」
怜華はヴィネを引きずって、勇者達の所に戻る。
怜華が戻ると、勇者達は真海の回復魔法で治癒されていた。
「ふぐっ…」
怜華はヴィネを放り投げ、すでに戦って終わり、真海の回復魔法で回復している秋沙と春乃を見つける。
「大丈夫2人共?」
怜華が2人に声をかけると、2人は疲れている表情をしながら怜華の方を向く。
「…怜華。そっちは…終わった様ね」
「怜姉ちゃんは凄いね…。私は逃げられちゃった…」
2人は、怜華の鎖で縛られたヴィネを見て、安心した様な顔をする。
すると、
「ふぅ~…流石に疲れました」
3人の元に、皆の治癒を済ませて戻ってくる真海。
「お疲れ様、結城さん」
怜華が真海にそう言うと、真海は地面に倒れているヴィネを見て、苦笑いをする。
「先輩はいつも通り何でも1人で完璧にできちゃいますね」
真海がそう言うと、怜華は首を振る。
「私はまだまだ全然よ。これからも3人の力を貸してちょうだい」
怜華がそう3人に言うと、秋沙、春乃、真海は互いに顔を見合わせる。
そして、
「当たり前…親友だもの」
「一緒に頑張ろうね!怜姉ちゃん!」
「サポートは任せて下さい!皆で協力して頑張りましょう!」
3人は怜華にそう言う。
そう言われた怜華は微笑み、秋沙と春乃と真海も笑い合った。
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