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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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サンレアン王国VS魔波の残党

勇者達が、それぞれ魔王と戦っている時、サンレアン王国の騎士団が魔波での残党と討伐していた。

その中でも特に動いているのは、騎士団団長の2人だ。


「破ァァ!」


今も、レデリックが魔物を爆裂魔法で粉砕する。

彼の爆裂魔法は相手や物に触れていないと魔法が使用できない、

魔法なのに近接攻撃しか出来ないのを、レデリックは当時残念に思っていた。

だが、騎士団に入り魔物を倒していくうちに、自身の力の強さを確認する事が出来た。

確かに、魔法での遠距離攻撃は魔物との戦闘では安全に戦う事が出来る。

だが、数が多いと撃ち漏らしなどが出て、近接戦になる事もあった。

その際にレデリックは、皆を護り次々に魔物を倒していった。

そして、いつしか騎士団の皆に赤き英雄なんて呼ばれるようになっていた。

それからすぐに、騎士団団長になったのだ。

団長になってからは、事務仕事が多く魔物を倒す事が少なくなっていたが、サンレアン王国で行った勇者召喚で、レデリックは勇者の護衛で、また前線に出る事が多くなった。

レデリックは勇者達をすぐ側で見てきたから分かる。

彼女達の実力は既に自分を超えていると…。


「破!」


だが、自分も数々の戦いをくぐり抜けてき騎士だ。

そう簡単に負ける訳にはいかない!

レデリックはそう思って、騎士団長になってから少なくなった鍛練を騎士団に入った当時以上にしている。

そのせいで、他の騎士団員に迷惑がられているが…。

それに…。

そう思いつつ、自分と同じ地位の彼女を見るレデリック。

視線の先には、


「ゴホゴホッ…、煙たいわね」


体が成長して、自身が使った火魔法で燃えている魔物の死体の側に立って咳をしているセレステル。

セレステルは元々孤児なのだ。

たまたま魔法が使える事と、その素質が優れている事がわかり騎士団に入団したのだ。

だが、彼女はその性格の所為で、騎士団団長という座に着くことは無いと思っていたのだ。

しかし、自身が所属している西騎士団の団員達が、堅苦しい騎士団のイメージを変えるためにと、セレステルを騎士団団長に持ち上げたのだ。

団員からの裏切りにより、注目されるのが苦手なセレステルが団長になったのだ。

そのおかげか、女性の騎士志望の人達が西騎士団に入団することになった。

そこで初めて、入団希望の女性たちはセレステルの体質を目の当たりにする。

最初は皆困惑していたが、数日一緒に過ごしていれば、皆も慣れてくる。

子供セレステルは、可愛く守ってあげたい妹的な存在だが、大人セレステルは皆を守ってくれるお姉さんなのだ。

そのギャップからか、彼女の側にいる女性騎士団員は同性愛に目覚めてしまう。

まさにセレステルは、魔性の女である。

彼女が咳き込んでいると、魔物が吹っ飛んで地面に叩き落ちてくる。


「腕が鈍ってきてるな」


そう言って地面に轟音を立てて着地した王妃ティシール。

彼女は飛んでいた魔物を落としていたのだ。

王妃ティシール・サンレアン。

彼女は王族にも関わらず、戦闘の最前線に出たがるという戦闘狂…ではなく、彼女は元々冒険者だったのだ。

ザールの様に、ティシールもまた名が知れた冒険者であった。

ザールはドラゴン殺しと呼ばれているが、ティシールは内臓潰しと呼ばれていた。

彼女の拳は、貫通する攻撃。

魔物を殴れば、鱗や皮膚は傷付かず、内側の内臓をグチャグチャにする。

そのおかげで、魔物を狩れば素材の質が良いと評判で、魔物討伐の依頼が殺到していた。

そして、昔の魔波で彼女がサンレアン王国に救援をしに行った時に、運命が変わった。

彼女の戦う姿に惚れた当時王子だったヴァレッドに見初められ求婚したのだ。

だが、彼女は王子の求婚を断る。


「私は戦ってこそ自分でいられる。王妃になんかになりたくはない」


そう言って王子の求婚を断ったが、ヴァレッドは更にティシールを気に入り、求婚していく。

その数なんと103回。

ちなみに初めて出会ってから3ヵ月しか経っていない。

そうして過ごしていくうちに、彼女が重い病に罹ってしまう。

今は病気は治り、元気に笑顔で魔物を落としたり内臓を破壊しているが、病気になった当時は立ち上がる事すら出来なかった。

そんな姿を見たヴァレッドは様々な文献を読み、霊峰サンテールに生えている薬草を取りにサンレアン王国を出発した。

ヴァレッドは王子だ、大金を出して冒険者などに依頼をする方が安全だと彼の父、前王が彼に言ったが、ヴァレッドは、


「自分で行かなければ、彼女を助けた事になんてならない!私は本気で彼女を愛している!行かせて下さい父上!」


そう言ったのだ。

普段大人しいヴァレッドが声を荒げて言った言葉に、前王は首を縦に振るしか出来なかった。

ヴァレッドが出発してから2週間後、ティシールはもう少しで自分は死ぬんだと思った時、しつこかったヴァレッドの事を思い出した。

自分の事を何でそんなに好きだと言ってくるのか分からなかったが、最近は全然自分の所に来ない事に気づき、寂しく思っていた。

その時、ティシールの部屋の扉がゆっくりと開く。

見るとそこには、服は破け片腕は曲がらない方向に曲がっているヴァレッドがいた。

彼が近づいてくると、ヴァレッドの顔が見えた。

切り傷だらけで、痣も出来ているヴァレッドの顔は、安心した表情をしていた。

彼は、無事な方の腕で大事そうに抱えている袋をティシールに渡す。

ティシールが、袋を開けるとそこには、大量の薬草が入っていた。


「…間に合って……良かっ…た」


ヴァレッドは、そう呟いて倒れた。

その後、ティシールはヴァレッドの持って来た薬草で病は治り、ティシールは自らサンレアン王国に行き、ヴァレッドにお礼を言った。

そして、


「結婚…して下さい」


ティシールの初めての求婚で、彼女は王妃になったのだ。

その後、娘が2人産まれ、今も元気に育っている。

大事な旦那と娘のいる国、護りたい国民を絶対に護ってみせると心に誓い、彼女は魔物を殴り殺していく。


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