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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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大魔王ガレス

ザールは人の姿を見たが、作戦通り竜焔剣に魔力を注ぐ。

アルベールも、


「清き水よ、我が敵の元へ広がれ」


既に魔法の詠唱をして、いつでも魔法を使えるようにしている。

そして、少し離れた所でセレステルも、魔法の準備をしている。


「おぉ!あれが…」

「まさに、聖なる槍…」


ザールの後ろにいた騎士達が声を出す。

ザールが後ろにいる騎士を見ると、騎士達は更に後ろの方を見ている。

そちらを見ると、少し高い位置に王女ティアリスが立っていた。

彼女の手には、光り輝いた聖槍が握られている。

聖槍シグニール、古代魔法を放つ事が出来る大戦用の兵器だ。

シグニールは雷、聖の基本魔法と、古代魔法の天魔法を合成した魔法が使える。


「聖なる光を、全て拒絶し、天より神の裁き与える、全てを覆いて降り注げ」


ティアリスが詠唱し始めると、彼女の持っている聖槍が更に光り輝く。

その状態で、しばらく待つ。

やがて、全員の魔法範囲内に魔物が侵入する。


「放てえぇぇっ!!!」


ティシールの合図が戦場に響き渡る!


灼熱竜焔舞しゃくねつりゅうえんぶ!!」

氷針獄ひょうしんごく!!」

天照雷陣てんしょうらいじん!」

神聖覇天雷光しんせいはてんらいこう!」


ザール、アルベール、セレステル、ティアリスが一斉に攻撃繰り出す!

ザールの握っている大剣から、膨大な竜の形をした炎が魔物の軍勢に飛び込んで、魔物は次々と燃やし尽くされていく!

アルベールの魔法で、魔物は足元から飛び出てきた鋭い氷に突き刺されていく!

セレステルの魔法で、空を飛んでいた魔物に雷が落ちていき、魔物が消し飛んでいく!

そして、ティアリスの聖槍での魔法で、先に攻撃した3人の魔法で生き残っていた魔物が雲よりも上から降り注ぐ光に、叫び声を上げずに消し飛んでいく。

先の3人より遥かな威力なはずなのに、どの魔法よりも静かだ。

そして、4人の魔法を受けた魔物の軍勢はほとんどが消し飛び、魔波というよりも単純な魔物討伐になってしまった。

その光景を見たサンレアン王国側の皆は、歓喜の声を上げる。

全員が魔波の恐怖が過ぎ去ったと思ったが、その場にいたザールとティシールだけが異変に気がつく。

見ると、魔物の中に人がこちらに近づいているのが見える。

ザールはその事に気が付き、更に剣を構える。

その瞬間、


「初めまして、貴方が先程炎を扱っていた人ですか?」


後ろからそう声が聞こえた。

ザールは慌てて後ろを向くが、そこには誰もいない。


「こっちですよ?」


今度は前から声が聞こえてそちらを向くと、ザールが握っている竜焔剣の刃に触れている男がいた。

慌ててザールが大剣を振るうと、その男は一瞬で消える。

そして、少し離れた所に現れる男。

そして気づく、あの男が魔族だという事を。

頭から生えている角が証拠だ。


「なんだお前は?」


ザールがそう言うと、周りにいた騎士達も異変に気づく。


「私はイスティムと言います。貴方達人間がいう魔王ですね」

「魔王…何で魔波に混じってここにいる?」


ザールがそう言うと、魔王イスティムが笑いながら、


「今回の魔波は私達が仕組んだことですよ。後はあの方に聞いて下さい。私にはやる事があるので」


そう言うと、またもや消える。

どういうことだ?

そんな事を思っていると、


「ザール、今のは!?」

「師匠!」


ザールの元にアルベールとヤニックがくる。

すると、ザール達の元へ歩いてくる魔族が1人。

ザールが剣を構えると、2人も臨戦態勢になる。


「お前がドラゴンの力を宿している剣の持ち主か?」


魔族がそうザールに質問した瞬間、


「き…貴様は!」


ザールの隣にいたアルベールが声を出す。

すると魔族は、


「なんだ?お前なんて知らない」


そう言ってアルベールの事など眼中に無いような態度を取る。

その態度を見たアルベールが、


「貴様が精霊の森に来た時!貴様が連れて行ったアキベカをどうした!!」


怒りの感情のまま、魔族の男にそう言う。

魔族の男はアルベールの怒号を聞いて、少し考えた後思い出したかのような仕草をする。


「…おぉ!あの時の男か。連れて行った男なら、既に死んでここにいる」


魔族の男がそう言って、左手を前に出す。

そして、


「氷槍」


氷魔法を無詠唱で使う。

魔族の男から槍なんて生易しいものではない氷山の一角を持って来たような氷の塊が男の左手から飛び出してくる!

ザールが慌てて、竜焔剣に魔力を注ぎ剣を振るう!


「炎斬!!」


炎の斬撃が氷にぶつかり、氷を溶かしていくが、間に合わない!

氷の塊がザール達に迫ってくる!


「水激滝!」


アルベールが水魔法で迫ってくる氷を水で押し返す!

やがて、氷が止まりザール達は落ち着く。


「昔に比べて強くなったな。だが水、氷魔法はもう必要ないのだよ」


アルベールは、魔族の男が、氷魔法を使っていることに疑問を抱く。

前に会った時に、彼自身が土と闇魔法しか使えないと言っていたのだ。

そして、あの男は自分の質問に魔法を使う時にここにいると言った…。

どういう事だ?

そう思っていると、


「俺は、火魔法の頂点と言われているドラゴンの力、そして、その力を宿しているその剣が必要なのだ」


魔族の男がザールの持つ竜焔剣を指差しながらそう言う。


「俺がそう簡単に渡すと思わないんだな」


ザールがそう言うと、魔族の男は笑いながら、


「なら、いつのもように奪うのみ!」


そう言って、左手を前に出す。

だが、


「師匠とアルベールさんに何してんだぁ!!」


魔族の男の後ろに、一瞬で駆けて来たヤニック。

そして、その速さのまま抜刀!


「両断!!」


ヤニックが魔族を斬ろうとするが、突然土が盛り上がり魔族の男の体を覆う。

そして、ヤニックの刀が土に当たり弾かれる。


「俺に傷をつける事は出来ない」


そう言って、左手から風を生み出してヤニックを吹き飛ばす!


「うわあぁぁ!!」


ヤニックが頭から地面に落ちる寸前に、彼の落ちるところに水が吹き上がり、ヤニックは地面との激突を免れる。


「大丈夫ですかヤニック?」


どうやら水でヤニックを助けたのはアルベールの魔法だったようだ。


「俺に勝てると思うなよ。俺は大魔王ガレス!!この世界を支配する大魔王だ!!」


ザール達やここにいる全ての人間に聞こえる様に大魔王ガレスは大声でそう言った。


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