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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
131/430

視認

サンレアン王国に保管されている、古代魔法が使える対大戦用兵器。

それを使うには、大人3人が5年かけて魔力を注がなければ発動する事がないと言われている。

それを使う程なのかとザールは思ったが、サンレアン王国に勇者がいる事を思い出し納得する。

勇者を護るためなら聖槍を使うのも躊躇わないという訳か…。

ザールがそう思っていると、瞳が濁っている…怜華が手を上げる。


「私の魔法でも広範囲に有効なんですけど…」


その言葉を聞いたティシールは顔をしかめる。


「勇者レイカ、貴女の魔法は使うと周りの皆が被害に合う可能性がある。その事を忘れていないか?」

「私は早くダンジョン攻略をしたいのです。早く終わるなら周りがどうなろうと関係ありません」


ティシールにそう返す怜華。

そして、彼女の言葉に頷く秋沙と春乃。

すると、


「良いんですか怜華先輩、秋沙先輩に春乃?葉山先輩が今の先輩達の発言を聞いたら嫌われちゃいますよ?」


真海が笑いながらそう言う。


「私は大人しく待機するわ」


真海の発言に言ったことを即座に撤回する怜華。

ティシールは真海をチラッと見る。

真海はティシールの視線に気づき、胸を張る。

ティシールだけでなく、サンレアン王国の人間はほとんど勇者達の長的存在の怜華には言い返す事をしない。

そして、柊を救うために躍起になっている怜華は周りの事など眼中になく、物事を進めようとする。

そんな怜華に、皆困惑して対応することができなかったが、彼女と同じ立場の真海が怜華、秋沙、春乃の3人を柊の名前を出して止めに入る。

城の皆は、そのことに関して真海にとても感謝している。

おそらく勇者達の中で1番の信頼と感謝をされているのは怜華ではなく真海だ。

その後も話し合いは続き、夜まで話し合いは続いた。

話し合いは終わり、ザール達は案内された部屋で豪華な部屋に驚いている。


「こんな広い部屋凄いですね~」

「こらヤニック、走り回るのは止めなさい」


部屋に入ってヤニックが興奮して室内を走り回り、それを見たアルベールが止める。

ザールは荷物を置き、今後の戦いに備えて明日からの事を考える。

魔波の戦いで、どれだけ魔物を自陣に近寄らせないかが勝利に繋がる。

ザールは置いてある竜焔剣を見る。

最大火力で攻撃すれば、魔波の三分の一は燃やし尽くす事が出来るだろう…、だが問題はその後の戦いに支障が出ることだ。

魔力が尽きれば、自身は動けなくなる。

自分と一緒に広範囲攻撃をする人、西騎士団団長の子供と聖槍を使う王女様と話す必要があるな。

アルベールの実力は把握しているから必要はない。

明日の事を思い、ザールはうるさいヤニックの声を聞きながら眠りに着いた。

翌朝、ザールが起きると、隣のベッドにヤニックがまだ寝ている。

更に奥のベッドを見ると、アルベールの姿が見えない。

ザールは身支度を済ませて部屋を出る。

城のメイドに聞くと、訓練場という所に行ったらしい。

メイドに案内されて城を出ると、アルベールの姿が見える。

そして、騎士団団長の2人もアルベールと何やら話している。

ザールは3人に近づく。


「おや?おはようございますザール」


近づいてきたザールにアルベールが気づき、挨拶をする。

すると、騎士団団長の2人も、


「おはようございます」

「お…おはようございます」


ザールに挨拶をしてくる。


「おはよう。何をしていたんだ?」


ザールがそう聞くと、


「今、セレステルさんの魔法についてお話していたんですよ」


アルベールが微笑みながらそう答える。


「俺も聞きたい、どんな魔法を使うんだ?」


ザールがそう言うと、セレステルはビクビクしながらも、


「わ…私が使える魔法は、火、水、雷、氷の4種類です」

「ほう…子供なのにそれほどの魔法が…レベルはどれくらいなんだ?」


ザールがそう聞くと、ビクビクしているセレステルが、


「ぜ…全魔法Ⅳです」


そう言った。


「Ⅳだと!?」


ザールが驚いてそう言うと、セレステルがビクッとする。


「す、すまない。大声を出してしまう程驚いたんだ」

「い…いえ」


ザールが頭を下げると、セレステルが首を振るう。

その後、4人はお互いの魔法を少し見せて戦力の確認をした。

その際にセレステルの体の変化にザールとアルベールが驚いていた。

セレステルが自身のこの現象を説明した時、アルベールの表情が少し変化したのにザールだけが気がついた。

それからしばらくし訓練場を離れて、城下町に色々買い物をしに行くザール一行。


「アルベール、あのセレステルという子の現象を見た時、お前の表情が変わったぞ?何か心当たりがあるのか?」


ザールは歩きながら隣を歩くアルベールにそう聞く。


「まぁ、そうですね。2つの可能性があります。」

「2つ?」


ザールがそう言うと、アルベールが頷く。


「1つは、単純にそう言う病気だということ。そう言う病があるとは聞いた事があるので可能性はあります。そして2つ目、彼女が大きくなった時に感じたのですが…」


そう言って話を区切るアルベール。


「何を感じたんだ?」

「…精霊の気配です」

「…だが、あの子は魔法を使っても人の姿だったぞ」

「はい…。ですから彼女は精霊と人間の間に生まれた子供ではないかと思います」

「そう言う事か。だが、それなら何故あの子の事を見て表情を変えた?」

「そうなると彼女は…、いつか人ではなく精霊になってしまいます」

「…酷な話だな」

「…はい」


そんな話をしながらザール達は城下町を歩く。

それから数日、サンレアン王国は魔波に対してどんどん準備を進めていき、今出来る最大の防衛強化をした。

ザール達や勇者達は、魔波に対して疲れない程度に互いを高め合い、魔波に対して準備をしていく。

そして遂に、サンレアン王国から魔波が視認出来た。

こちらに向かってくる普段から見る魔物に、珍しい魔物。

地面を歩く魔物に飛んでいる魔物。

そして、魔物に紛れて人が浮いているのをザールが確認する。

ザールは悟った。

今回の魔波は、どうやら仕組まれた魔波だという事に…。


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