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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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魔法剣

俺は立っているエルネットさんに、


「どうしたんですか?」


そう聞くと、


「食材集めに一緒に行く」


エルネットさんが歩きながら俺に言ってくる。

そして、俺の隣に来る。


「さ、行く」


そう言って、俺の腕を掴んで歩き始めるエルネットさん。

そのまま2人肩を並べて森を出る。

やがて、水牛が生息している草原に着いた。

見ると、7頭ほど水牛が見える。


「水牛を狩りに来たんですか?」

「様子見。今日は他の動物か、いれば魔物を狩る」


そう言ってエルネットさんは、俺の腕を掴んだまま歩き出す。


「エルネットさん?どうして俺の腕を掴んでるんですか?」


俺はエルネットさんにそう言うが、


「……」


エルネットさんは、何も返してくれない。

結局、そのまま2人で歩いていると、豚がいた。

ただし、デカい…。

普通の豚の何倍もある…、そして、角が生えている。


「あの豚、知ってる?」

「あれは、鬼豚。肉は硬い…。でも贅沢は言ってられない」


エルネットさんはそう言って、俺の腕を掴んでいる手を離すと、鬼豚に向かって駆ける!

すると、鬼豚もエルネットさんに気づいて、脚で地面を何度も踏みしめている。

おそらく、地面を固めているのだろう。

そして、鬼豚がエルネットさんに向かって駆けた!

大きい体なのに速いな…。

俺がそう思っていると、エルネットさんが精霊を呼び出す。


「風の精よ、荒れ狂い風を起こせ、我が敵を切り刻め」


エルネットさんがそう言った瞬間、精霊から風の刃が出る。

そして、鬼豚に当たるのだが、斬れていない。

相当硬いんだな…。

俺がそう思っていると、エルネットさんが更に詠唱する。


「風の精よ、嵐で埋め尽くし、全てを壊せ」


そう言った瞬間、鬼豚を囲う様に竜巻が発生する。

見ると、鬼豚に何回も斬撃がぶつかっている。

どうやらあの竜巻の風全てが、風の刃のようだ。

だが、それでも鬼豚の体には、浅い切り傷しか出来ていない。


『リーシャ、俺達も見てるだけじゃなくて行くよ!』

『いつでも大丈夫よ!』

『とりあえず火魔法をお願い』

『わかったわ』


俺はリーシャにそう言って、エルネットさんに加勢するために魔素を纏って鬼豚の所へ駆ける!


『炎珠』


リーシャが魔法を使ってくれて、右手から炎が出てくる。

俺は魔素を操って魔法を形を変えて、炎の剣を作り出す。

そして、鬼豚も俺に気づいて、俺に突進してくる!

俺は突進してくる鬼豚に炎の剣を振り下ろす!

すると、鬼豚の体が焼き斬れる。

地響きを立てながら地面に倒れる鬼豚。


「まずは一頭」


俺がそう呟くと、エルネットさんが俺の元に来る。


「前より強くなってる」


俺の所に来たエルネットさんがそう言ってくる。


「そうですか?」

「うん。何それ?」


エルネットさんは俺が持っている炎の剣を指差す。


「これは…」


そういえばこれって何て言うんだろう?

俺がそう思っていると、


『魔法剣で良いんじゃないかしら?』


リーシャがそう言ってくる。


『魔法剣?魔剣じゃなくて?』

『魔剣は別物よ。シュウと私のこの技は魔法剣と名付けましょう?』


リーシャが俺にそう聞いてくる。


『そうだね』


俺はエルネットさんに炎の剣が見えやすい様に、剣を目の前に移動させる。


「燃えてる。なのに形が崩れない…どうして?」


エルネットさんが剣を見ながらそう聞いてくる。


「魔法を操って剣の形にしてるんです。だから、燃えた状態でもこの形を維持してるんですよ」


俺がそう言うと、エルネットさんが精霊を呼び出す。


「これできる?」


エルネットさんが精霊に聞くと、精霊が剣の周りをクルクル回る。

そして、エルネットさんの目の前に行く。


「出来ない?そんなことない。やればできる」


エルネットさんが精霊と話しをしている。

精霊がプルプルしている。

何だろう、少し可愛いと思ってしまった…。

そんな事を思っていると、またも別の鬼豚がこちらに向かって突進してきている。

いつの間に…。

俺がそんな事を思っていると、エルネットさんが俺の前に立つ。


「エルネットさん?」


俺がそう言った瞬間、エルネットさんが精霊術を使う。


「風の精よ、風を起こし、剣を成せ」


エルネットさんが詠唱すると、彼女の手に風が発生する。

そして、剣の形になろうとして掻き消えてしまった。

マズい!!

俺はとっさにエルネットさんを左手で引き寄せて、彼女を俺の傍に来させて炎の剣を振るう!

剣から炎の斬撃が飛び、鬼豚に当たるが、傷ついていない。

鬼豚は炎の斬撃で失速し、一度止まる。

その間に、俺は魔素を操り炎の剣を大剣に変える。

片手剣くらいの大きさじゃあの程度の威力だが、これならどうだ!

俺はそう思いながら、炎の大剣を振り下ろす!

先程とは違う、威力の高い斬撃が鬼豚を襲う。

鬼豚は燃え絶叫しながらも、まだ俺に向かって突進して来ようとする。


『シュウ、風魔法を使うわよ。そっちの方が斬れやすいと思うわ』

『わかった。お願い』


俺はそう言って、一度炎の大剣を掻き消す。


嵐舞らんぶ


リーシャが魔法を使うと、右手から風が巻き起こる!

それと同時に鬼豚が俺に向かって突進してくる!

俺は先程と同じように剣の形に作ると、風の剣を振るう。

すると、炎の剣よりも速く鋭い斬撃が飛び、突進して来ていた鬼豚を簡単に両断する。

俺が、簡単に鬼豚が斬れた事に呆然としていると、エルネットさんが精霊術で、鬼豚を運んでくれる。


「とりあえず二頭で様子見。一旦帰ろ?」


俺はエルネットさんにそう言われて、魔素を霧散させる。

それから俺とエルネットさんは互いに一頭ずつ鬼豚をエルフの村まで運んだ。

エルフの村に着くと、何やら皆騒いでいる。

皆、ルリィが用意してもらった家から出てくる。

俺は鬼豚を置いて、ルリィがいるであろう家に入ると、


「この料理上手い!」

「今度作り方を教えて下さい」

「おいし~い!」


ルリィが作っている料理を、村の皆がつまみ食いをしていた…。

すると、


「あっ!ご主人様!助けて下さい!」


ルリィが俺に助けを求めてくる。


「どうしたの?」


俺の後ろからエルネットさんが家の中に入ってくる。

そして、中の様子を見て、


「……」


無言で精霊を呼び出す。

その後、エルネットさんがエルフの皆に物理的なお説教でエルフの皆はそれぞれの仕事に戻った。


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