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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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獣人とエルフ

息切れしながら扉を開け放って立っているエルネットさん。


「お久しぶりです。エルネットさん」


俺がそう言うと、エルネットさんがカツカツ足音を立てながらこちらに来る。


「…久しぶり」


俺にそう言うと、リザベルトさんの所に行き、


「水牛が狩れた」


リザベルトさんにそう報告する。

すると、


「水牛!?」


俺の隣にいたルリィが大きな声を出す。

その声にリザベルトさんとエルネットさんが俺達の方を見てくる。


「…誰?」


エルネットさんが俺に聞いてくる。

すると、


「あっ…、私はルリィと言います」


ルリィが自己紹介をして頭を下げる。


「…何でここにいる?」


エルネットさんがルリィにそう聞く。


「?…私はご主人様の行くところに付いて行きます」


エルネットさんの質問の意味が分からなかったのか、一回首を傾げた後そう言った。


「「ご主人様??」」


リザベルトさんとエルネットさんが声を揃えて俺を見ながら聞いてくる。


「えーと、ルリィがそう言ってるだけで、彼女は別に奴隷とかではないんですよ」


俺がそう言うと、隣にいるルリィが、


「何を言ってるんですかご主人様!私はご主人様の1番のメイドであり、奴隷なのです!」


胸を張ってそう言ってくる。

俺はルリィの耳に顔を近づけ、


「ルリィ、エルフの人達は少し前に奴隷問題で色々あったんだ。ここでは奴隷って言葉は言わないで欲しい」


小さな声でルリィに伝えると、ルリィはやってしまった…、という顔になり、


「…はい」


そう返事をしてくれた。

すると、エルネットさんがルリィの目の前に来る。

そして、


「シュウの最初の奴隷は私。だから私が1番で貴女が2番」


ルリィに向かってそう言い放った。

そう言われたルリィは、俺の顔を見てくる。

その顔は、とても驚いている表情でありながら、俺に真実を聞いているような顔だ。


「あの、エルネットさん?俺は確かに君を奴隷として買ったけど、もう解放したから俺の奴隷を名乗らなくて良いんですよ?」


俺がそう言うと、エルネットさんが俺の目の前に来て、


「じゃあ彼女が1番?」


俺にそう聞いてくる。


「1番とか関係ないですよ」


俺がそう言うと、ルリィが何故か俺の前に立ち、エルネットさんと向き合う。


「一緒に行動していない人が1番を名乗ってはいけませんよ。元奴隷さん?」


まさかのルリィがエルネットさんに喧嘩を売る。


「貴女も奴隷じゃないと言われてますよ、獣さん?」


そして、ルリィの喧嘩を買うエルネットさん。

何だろう…、バチバチ聞こえるような気がする…。


「シュウ君?それであの子は本当にずっと一緒に行動しているの?」


リザベルトさんがルリィの事を見ながら、俺に聞いてくる。


「基本的にはそうですね。でも彼女はあまり戦闘は向かないんで、戦う時は待ってもらいますね」


俺がそう言うと、リザベルトさんが、


「ふぅ~ん」


そう反応する。

それからしばらく、ルリィとエルネットさんの言い争いが続いた。

そして、


「狐の癖に」

「森に籠ってる癖に」


完全に仲が悪くなってしまった…。


「ルリィ?エルネットさん?2人共仲直りしてくれない?」


俺がそう言っても、2人はチラッと互いを見て、


「「ふんっ!」」


顔を逸らす。

すると、俺の隣にリザベルトさんが来て、


「エルネットがこんなに感情表現するの珍しいわ。意外に仲良くなるかもしれないわよ」


俺に小さな声でそう言ってくる。

今の2人を見る限り、全くそうなるようには見えないが…。

その後、俺はフェリアンさんに頼まれて村に来たことを伝え、エルフの村の魔波に対しての作戦や、備蓄されている食糧を確認した。

やはり前回の事もあり、食糧不足が目立つ。

戦闘になったら俺も参戦するし、リーシャもいてくれるから何とかなる…と思う。


「やっぱり食糧問題ね」

「はい。エルネットさん、水牛はまだいましたか?」

「いたけど、ある程度残さないと生態系が崩れて、狩る事が出来なくなる」

「そうですか…」


どうすれば…。

そう思っていると、ルリィが俺の袖を引っ張ってくる。


「どうしたのルリィ?」


俺がそう聞くと、


「私、食材があれば保存食作れますよ。それと、これに入れておけば完璧に保存が効きます」


ルリィはそう言いながら、持っていた鞄から葉を出す。


「これは?」

「この葉は、不腐草ふふそうって言います。元々薬に使うんですけど、食べ物を包んでも腐る事がないんです」


俺の質問に、ルリィが説明してくれる。

なら後は食糧…、しかも保存食限定じゃなくても良いんなら、色々な食材を狩りに行けたり、買う事だって出来る。


「…狐の癖に優秀」


ルリィの事を見ながら、そう呟くエルネットさん。

それから話し合い、ルリィに保存食を作ってもらう事になった。

材料は俺が担当する。

それと、エルネットさんもたまに材料調達に参加してくれると言った。

エルネットさんとリザベルトさんは基本的に村や森の防衛強化をしてもらう事になった。

早速行動に出ようとした所、リザベルトさんが、


「シュウ君の事は皆知っているけど、ルリィちゃんの事は知らないから、まずは村の皆に挨拶しないとね」


そう言った。

確かにそうだし、エルフの人達が獣人に良い感情を持っていないのも、少しだけだが見た。

このままじゃルリィ1人、村に置いて出かけるのも気が引ける。

という事で、今は村の人達とルリィの顔合わせをしている。

皆、獣人のルリィを最初見た時は何とも言えない表情をしていたが、俺の仲間である事とルリィが食糧問題の解決に重要な人物だと話すと、皆安心をした表情になった。

後、エルフの子供達は初めて見る獣人に興味深々でルリィに懐いている。

村の皆と挨拶をして終わると、ルリィには専用の調理場を用意してくれるとリザベルトさんが言ってくれた。

その後、村の皆が大きな家の中を片付けて、どんどん村にある食材を中に入れていく。

ルリィは様々な食材に目を輝かせながら見ている。

そして、ルリィは意気揚々と家の中に入っていく。

俺はルリィの姿を見送った後、リザベルトさんとエルネットさんに食材の調達をしてくると伝えて、村を出る。

森を歩いて行き、そろそろ森を抜けようとしたところで、


「待って」


後ろから声を掛けられる。

後ろを向くと、エルネットさんが立っていた。


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