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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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シュウVSザール

ザールさんとアルベールさんがこちらに帰って来る。

2人共、全力で戦っていたはずなのに、多少の息切れしかしていない。


「お疲れ様です」


俺がそう言うと、アルベールさんが、


「ザールにはなかなか敵いませんね。相変わらず魔力に底が無いようです」


笑いながらそう言う。


「俺は剣に少し魔力を流せば良いだけだからな」


ザールさんが大剣を見ながら呟く。

あの大剣は相当強いな…。

俺がそう思っていると、


「では、シュウ、君も始めるぞ」


ザールさんがそう言ってくる。


「大丈夫なんですか?さっきの戦いで消耗してないんですか?」

「大丈夫だ」

「じゃあ、行きましょう」


俺とザールさんは歩いて、アルベールさんとヤニックがいる場所から離れた所まで行く。

そこまで歩いていき、俺とザールさんはお互いに離れる。


「準備は良いか?」


ザールさんが大剣を構えながら俺に聞いてくる。


「良いですよ」


俺がそう言った瞬間!


「炎斬!!」


ザールさんは大剣を振り下ろして、炎を飛ばしてくる!

俺は慌てて、魔素を操り炎をかき消す。

だが、それを予測していたのか、ザールさんが俺の方へ駆けて来ている!


『リーシャ、火魔法をお願い』

『わかったわ。炎珠』


右手から炎が出始めた瞬間、俺は魔素を操りザールさんの大剣の様に形作る。


「それは!」


ザールさんが俺の持っている炎の大剣を見てそう言う。


「行きます!」


俺はそう言って大剣を振るう!

すると、炎の斬撃がザールさんに向かって飛んでいく。


「ッ!?炎斬!!」


俺の攻撃にザールさんは一瞬驚いていたが、すぐに対応してくる。

俺とザールさんの炎がぶつかり合い激しく燃え上がる。

俺はその炎に向かって駆ける。

俺は魔素を操り、今なお燃え上がっている炎をかき消す。

すると、炎が消えた向こう側からザールさんが既に次の攻撃に備えて、大剣を構えている。


竜炎破りゅうえんはぁぁ!!」


ザールさんは雄叫びを上げて、大剣を振るう!

すると、大剣の炎が竜の様な形になり、俺に向かってくる!

これほどの力、消すなんて邪道はしたくない!


「魔翔大剣!!」


俺は魔素で作った大剣の刃を4つ作り、それを俺の前に配置する。

そして、炎の竜が口を開けて俺に迫ってくるが、俺も竜に向かって駆ける!

走っている内に、魔素の大剣の切っ先を4つ全て竜に向け、切っ先を一点に集中させて四角錐を横にしたような状態を作る。

これで防いで見せる!!

炎の竜と、俺の作った大剣で攻撃を防ぐ。

イケる!

俺はそう思い、さらに加速する!

炎の竜はどんどん俺の防御に押されて消えていく。

そして、遂に竜が消えた。

そして見えるザールさんは、驚いた表情をしている。


「ハァァッ!!」


俺がザールさんに大剣を振り被った瞬間!


「回炎斬り!」


ザールさんは大剣に炎を纏わせて、横に振るう。

その瞬間、炎の壁が作られる!

俺の大剣による斬撃は、炎の壁によって防がれる。


『リーシャ、水魔法を!』


俺がそう言った瞬間、


水激滝すいげきろう!』


リーシャが魔法を使ってくれる!

炎の大剣が消えて、右手から大量の水が出てくる!

俺は魔素を操り、水の大剣を作り出す!

水の大剣で炎の壁に突き刺すと炎が消える。


「なっ!」


炎の中にいたザールさんが驚く。

これで…どうだ!

俺がそう思った瞬間、


瀑水ばくすい!」


大量の水が上から降ってきて、俺は水圧に耐えられず地面に倒される!

見ると、ザールさんも倒されている。

やがて、水が止むと、


「2人共やり過ぎですよ。殺し合ってるじゃないですか…」


呆れたようなアルベールさんの声が聞こえてくる。


「すみません」

「すまん」


俺とザールさんは声を合わせてそう言いながら、起き上がる。

どうやら、やり過ぎてしまったようだ…。


「でも、シュウさんは凄いですね」

「え?」

「ザールをあそこまで追い込むなんて、なかなか出来ませんよ」


アルベールさんがそう言って、濡れている俺に手を伸ばす。

俺はアルベールさんの手を掴んで立ち上がる。

それと同時にザールさんも立ち上がる。


「うむ、君はどんどん成長していくな。俺もいつかは追い越されるな」

「いつか…なんですかザール?」

「俺だって男の意地がある。そう簡単に追い越されない様に今後も努力するさ」

「なるほど。では離されない様に私も頑張りますかね」


そう言って笑い合うザールさんとアルベールさん。


「そういえばヤニックはどうした?」

「あぁ、ヤニックならザールとシュウさんの戦いを見て。…あんな感じです」


アルベールさんがそう言って、先程まで俺達の戦いを見ていた場所を指差す。

俺とザールさんはアルベールさんの指差した方を見ると、


「……」


何かショックを受けているのか、白目になっている。


「どうしたんだあれは?」

「おそらくシュウさんの成長に驚いて絶望しているんだと」

「なるほど…。それは仕方ないな」


俺達はヤニックの所へ歩いて行く。

俺達が来てもヤニックは静かだ。

その後、ヤニックは元に戻る事がなく、ザールさんが担いでヴェルーズに戻った。

今は、冒険者ギルドで情報収集をしている。


「じゃあ、魔波が起きたら俺達は基本的にはヴェルーズの防衛をすればいいんですか?」

「そうだ。だが数年に一度、変異的な魔波が発生するんだが、そうなると魔波が来ない村や国がある。そうすると、来ない所から応援が来たり、逆に応援に行ったりする」

「なるほど。それは、魔波の動き次第って事ですか」

「そうだ」


ザールさんが魔波について教えてくれる。


「そろそろ魔波は起きるだろう。今日見た感じだとそれほど時間に余裕はない」

「それはなぜですか?」

「町を出てから魔物に一体も遭遇する事がないなんて、わかりやすい例だ。長年の経験だな。だが問題は変異的な魔波が発生した時だ。あれは一度しか経験した事がないが、辛い戦いだった」


そう言うザールさんの表情は、嫌な事を思いだしたかのような表情だ。

そうしていると、


「すみません。シュウ様でいらっしゃいますか?」

「はい?」


声を掛けられる。

そちらを向くと、ギルドの受付嬢の恰好をした女性が俺を見ている。


「えっと、そうですけど…。何ですか?」


俺がそう言うと、女性は、


「ギルド長がお呼びになっています」


そう言った。


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