西騎士団団長、そして出発
いつも通りの朝…とはいかず、今日は朝から来訪者が部屋に来ている。
「すみませんシュウ、朝早くから来てしまって…」
「大丈夫だよ、どうしたのティア?」
「今日、ダンジョンに行くことになったと聞いて…シュウも行くんですか?」
「うん、俺も強くなりたいからね」
「でも、ダンジョンは危険でシュウにはまだ早いと思います…」
「大丈夫だよ。レデリックさんと、会った事はないけど西騎士団団長が護衛で一緒に付いてきてくれるらしいから」
「セレスが?だ、大丈夫ですかね?」
「セレスさんって名前なの?」
「本名は違いますけど、そうですよ。行くのは洞窟なんですよね?」
「そうらしいですよ」
「不安ですね、あの子は魔法が凄いんですけど…洞窟内でセレスの魔法が使用されると考えると…」
ティアの顔が不安そうだ。
「大丈夫だよ!勇者なんだから!…俺以外は」
「私は勇者様も心配ですけどシュウの方が心配なんですよ」
ティアは優しいな…
「ありがとうティア、でも俺は何もしないなんて事はできないんだ」
そう言うとティアは諦めたような呆れているような顔をする。
「仕方ないですね。必ず帰ってきてくださいよシュウ」
「はい」
その後、ティアは仕事があるらしく部屋から出ていった。
なんか先輩とティアには余計な心配をさせてるなぁ。
今度、お礼したいな。
そう考えながら支度をし、荷物を持って部屋を出る。
今日はダンジョンに移動している間に携帯食料を食べるらしく朝食は無かった。
城門にいる騎士の人に挨拶をして地図を渡された。
それから王国の東門が集合場所な為、地図を見ながら城下町を歩いている。
意外と賑やかだ。出店なども多く出店している、あのお店の商品美味しそうだ。
そうしているうちに集合場所に着いた。
ほぼ、全員集まっている。
「シュウ・ハヤマです」
「確認できました、お気をつけて」
人数をチェックしている騎士の人に挨拶をしてしばらくした後、鎧を装備している騎士団の人達の中からレデリックさんが前に出てくる。
「これからここから東にある洞窟ダンジョンに出発する!その前に彼女を紹介する!西騎士団団長セレステル・レオノールだ!セレス、勇者様達に挨拶を」
レデリックさんが隣にいる可愛い女の子に声をかけ、背中を押して前に出す。
あの子が西騎士団団長なのか?小学校高学年か中学生ぐらいだぞ。
「み…皆さん、初めまして。に、西騎士団団長セレステル・レオノールです…。今日は…その…よろしくお願いします…」
スッゴイビクビクしてる!なんか服もぶかぶかだし本当に大丈夫なのかな?
「セレス、それじゃ勇者様達が不安になるだろ?」
「だ…だって、こんなに人がいる前でなんて…恥ずかしくて」
「はぁ~、いつまで経っても恥ずかしがり屋は改善しないな。皆、すまないな!これでも実力はしっかりしているから安心してくれ!それでは出発する!」
そうして俺達は馬車に乗せられてサンレアン国を出発した。
「柊ちゃん、酔ってない?大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です…」
「………」
「………ふーん」
「……チッ」
「あははは……、これはまた…大変ですね…」
何でこんな事になったんだ…
嫌がらせか?嫌がらせなのか?何で生徒会メンバーの馬車に乗る事になってるの?
誰か助けて!空気が重いよ…
先輩が親切に俺の事を気にかけてくれるけどそれが原因で姉さんも春乃もこっちを睨みつけてるし、獅子原も不機嫌だ。この空気に苦笑いしている結城さん、助けてくれないかな…。
「怜華、柊の事はほっといていい」
「怜姉ちゃん、そんなのの相手しないでご飯食べよ?」
「そうですよ怜華さん!移動している間に食べちゃいましょう」
「っ!…いただきま~す!」
皆、渡された携帯食料を食べ始める。
俺も食べよう…包みを剥くとスライスされた乾燥肉を硬そうなパンで挟んである。
1口噛むと見た目通り硬い…、なんとか噛み千切るが口の中の水分が無くなる。
皆も、何とも言えない顔をしている。不味くはないが硬いからな…。
「柊ちゃん、はいお水」
「あ、ありがとうございます」
「怜華、柊に構いすぎ」
早く着かないかな~…。
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