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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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日常

翌朝、俺の拘束は外されており、リーシャとルリィは既に起きていた。

その後、俺達は宿屋のおばさんに挨拶をして、宿屋を後にする。

それから、リーシャの魔法でヴェルーズ近くまで転移する。

今はヴェルーズ近くの森を歩いている。


「全く魔物がいないね」

「魔波が近いですからね。ご主人様は当分どのようなご予定ですか?」

「普通に依頼を受けようと思ってたんだけど」

「それは無理よシュウ。今は魔物自体があまりいないもの」

「そうなのか…」


となると、依頼がない冒険者は今どうしてるんだ?

そんな事を思いながら、歩いている内に森を抜ける。

やがて、ヴェルーズに着いた。

見ると、どうやら冒険者は魔波に備えて、防具の手入れなどをしている。

俺とルリィは冒険者ギルドへ行き、扉を開けると、皆少しぐったりしている。

見渡すと、ザールさんとその一行もいた。

ザールさんとアルベールさんはいつも通りに見えるが、いつもうるさいヤニックが騒がしくない。

俺は3人の所へ行くと、ザールさんが俺に気づく。


「帰ってきたのか?」

「はい。ところで皆どうしたんですか?疲れている感じですが」

「あぁ、それは魔波の事を考えて、ザールが訓練したんですよ。ここにいる人達全員で」

「それでですか」

「もっとしたかったんだが、アルベールに止められてな」

「いつもうるさいヤニックが静かになる程ですからね」

「いつもうるさいって失礼だろうがぁ~」


俺がザールさんにそう言うと、ヤニックがだらけた様にそう言ってくる。


「確かにそうだな」

「ししょぉ~」

「あはは」


俺の発言に同意するザールさん。

ザールさんが同意したことによりヤニックが情けなく声を出して、その声を聞いてアルベールさんが笑う。

その後、俺はザールさん達と話し合い、明日から俺も訓練に参加することになった。

ヤニックが変なものを見る目で俺の事を見てきたが、俺個人としてはザールさんみたいに強い人から何かしらの技や知識を教えてもらえると考えるなら、良い事だと思うのだが…。

俺はその後、冒険者ギルドを出て、宿屋に向かい部屋を取る。

今は、リーシャも人の姿に戻っており、ルリィは何やらしている。


「ルリィ?何やってるの?」


俺がそう聞くと、ルリィは笑顔で、


「はい!今お薬を調合しています!」

「薬?回復薬みたいな物?」

「いえ、これはどちらかというとお腹を下した時とかです」

「そんな事もできる様になってたのね」

「私の様な獣人は薬草とかに詳しいんです」


そう言うと、ルリィは出来上がった薬を俺に見せてくる。

見ると、少しドロドロした液体が試験管のようなガラス瓶に入っている。


「これを水と一緒に飲むと良いんですよ」

「へ~、そうなんだ。あっ!そうだルリィ」


俺は荷物から服とエプロンを取り出して渡す。


「ご主人様?これは?」

「ルリィに似合うかなと思って買ってきたんだ」

「あ、ありがとうございます!嬉しいです!」


ルリィは俺にそう言うと、渡した服を持ってクルクル回る。

喜んでもらえて良かった。


「ご主人様!着てみても良いですか?」

「うん。どうぞ」


俺がそう言うと、ルリィはいきなり脱ぎだした!

俺はとっさに目を閉じる。

すると、


「獣人の尻尾ってそこから生えてるのね」

「はい!皆そうだと思いますよ!」

「少し触らせてもらっても良いかしら?」

「どうぞ!」


リーシャとルリィの会話が聞こえる。

そして、


「ん…」

「へ~、こういう風になってるのね」

「あ…少し、くすぐったいです」

「尻尾が生えてる所はこんなにツルツルなのに、尻尾は毛深いのね。フワフワよ」

「そ、そこは…敏感なので…」


こ、この部屋で一体何が起きているんだ?

目を開けたいと思うが、開けたら何が起きるかは大体察しがつく。

リーシャが俺が目を開けた事に気が付き、お説教…。

わかってるんだ…、わかってるんだけど目を開きたい!

ちょ、ちょっとだけなら。

俺はそう思って、少し目を開く。

そこには、ルリィの尻尾の付け根を触って観察しているリーシャが見えた。

ルリィは着替える為に下着姿で俺にお尻を向けている状態だった故に、よく見えた。

尻尾はお尻より少し上の腰の中心から生えているようだ。

その後、俺が目を開けたのは2人には気づかれなかった様で、特に何か言われる事も無くルリィの着替えた姿を見る事が出来た。

とても似合っていると言ったら、ピョンピョン跳ねて喜んでいたが、それを見たリーシャも、着替え始めて俺に感想を求めてきて、俺が褒めると、跳ねはしなかったが、顔を赤く染めながら喜んでいた。

それからは、宿屋で食事をして3人で部屋に帰り、就寝した。

もちろん、3人くっついて。

翌朝、俺は息苦しさに目を覚ます。

目を開けると、リーシャが俺の頭を抱いて寝ているようだ。

そのせいで息苦しいのか…。

そう思っていると、


「シュウ…何してるの…」


頭の上から声が聞こえる。

だが、普段の声とは少し違うような…、もしかして寝言?

そう思っていると、


「シュウは…あげないわよ」


また、リーシャが声を出す。

どんな夢を見ているのだろうか?

それからしばらくして、リーシャが目を覚ました。


「シュウ?」

「おはようリーシャ」


俺はリーシャの胸元から声をかける。

すると、何故かリーシャが俺の頭を更に強く抱きしめる。


「んんん~!?」


ムニュムニュしている…。

その後、俺が酸欠で暴れ始めた所でルリィが起きて、ルリィが俺の体に抱き付いて来て息が出来なくなり暴れる事も出来なくなった。

俺が意識を失いかけたところで、リーシャとルリィが俺を解放してくれた。


「死ぬかと思った…」


俺は宿屋を出て、冒険者ギルドを目指して歩きながら呟く。


『ごめんなさいシュウ。つい抱きしめちゃって』


右腕になっているリーシャが謝ってくる。


『大丈夫だよ』


ちなみにルリィは、何かする事があるらしく、起きてからすぐに着替えて出掛けて行った。


『訓練っていう話だけど、どんなことするのかな?』

『やっぱり戦うんじゃないの?』

『そうすると、リーシャが退屈じゃない?俺は有意義な時間になるけど』

『大丈夫よ。シュウの動きを見て私も色々戦い方を考えてるんだから』


そんな事を話しているうちに、冒険者ギルドに着いた。


『頑張ろうねリーシャ!』

『そうね』


俺はそう言って冒険者ギルドの扉を開いた。

そこには、ザールさん一行しかいなかった…。


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