匂い
城を離れた後、俺は宿屋に来ていた。
もちろんルリィを迎えに来たのだ。
だが、
「定食3つ出来上がりました!」
「あいよ!」
ルリィは食堂で料理を作っていた…。
どうやら俺が来たことに気が付かないようで、今もフライパンの様な物を振っている。
仕方ない…。
俺は席に着いて、メニューを開く。
ルリィが作っているのは、今日のおすすめ定食というものか…。
「すみません!」
俺が手を上げて、声を出すと、
「は~い!ちょっと待ってね」
「ご主人様の声が!」
ほぼ同時に、そう声が聞こえる。
どうやらルリィに気づかれたようだ。
「ルリィちゃん!手を止めちゃダメだよ!」
「え!は、はい!すみません!」
俺の声で手を止めてしまったルリィがそう言われていた。
『あの子は何でもできるようになってるわね?』
リーシャがそう言う。
『確かにそうだね。でもお店の人に任される程って凄い事だよね』
『そうね』
俺がリーシャと話していると、お店の人がやって来る。
「お決まりでしょうか?」
「おすすめ定食でお願いします」
「はい。お待ちくださいね」
それから少し待ってから、料理が運ばれてきて俺は料理を食べると、凄く美味しかった。
食べ終わってからも、お客さんが入ってくるのを見て、俺は一度宿屋を出る。
『どうしよっか?どこかで時間を潰さないといけなそうだよ』
『そうね…。でも買い物する物もないしどうしましょうか?』
俺とリーシャは仕方なく、城下町を見ていくことにした。
だが、ある程度はこの町を見ているので、基本的に変わったところなんて無い。
すると、異常に商人が多い気がする。
「すみません」
俺は1人の商人に話しかける。
「なんだい?」
「なんか商人の人達が多い気がするんですけど、何かあったんですか?」
「あぁ、魔波の警報が出たからね。安全な国に避難しに来たんだ。サンレアン王国にはティシール様と聖槍があるから、一番安全なんだよ」
「そうでしたか。ありがとうございました」
「今度うちの商品買ってくれよ~!」
俺は商人の人にお礼を言って、離れる。
『警報が出るって、結構危険なの?』
『警報が出てから2週間以内に魔波が発生するから、国から移動する商人や冒険者は、町や国の外には出なくなるのよ』
『そう言う事か。さっきあの人が言ってた聖槍って何か知ってる?』
『対大戦用の兵器って所ね。古代魔法が使えるのよ。ただし使うには、それなりの資格が必要よ。しかも大量の魔力が必要になるから、魔力を貯めるのに最低威力でも1年は必要ね。
リーシャの説明に、俺はある事を思い出す。
ティアのステータスカードを見た時に、聖槍が使えそうなスキルがあったはずだ。
という事は、ティアも魔波の時は戦いに参加するはずだ。
出来れば俺も参加したい…。
多分だが、王女のティアが戦いに参加するなら、先輩達勇者も参加する気がする。
そう思いながら、俺はサンレアン王国を見て回った。
ある程度の時間が過ぎたので、宿屋に戻るとお客は減っており、厨房にルリィの姿は無かった。
俺はルリィの泊まっている部屋に行くと、荷物を整理しているルリィが出迎えてくれた。
一旦部屋に入る。
部屋の中に入った瞬間、ルリィが抱き付いてくる。
「ご主人様~…あれ?」
だが、抱き付いてきた瞬間ルリィは俺の体に顔面を押し付ける。
「どうしたのルリィ?」
「スンスン…何でしょうか?リーシャ様、人の姿に戻ってもらえますか?」
「どうしたのよ」
ルリィの言葉に、リーシャが人の姿に戻る。
すると、
「きゃ!」
リーシャの体に顔面を押し付けるルリィ。
「スンスン…」
ルリィがリーシャから離れる。
そして、また俺の体に顔を押し付けてくる。
そして、
「ご主人様からリーシャ様以外の女の人の匂いがします」
爆弾を投下した。
「そうなのよ。見てよ、シュウの首」
リーシャが俺の顔を上に向かせる。
「私がちょっと目を離した隙に、他の女に付けられてるのよ」
「…リーシャ様?ご主人様の服の下見ましたか?」
リーシャの言葉に、首を傾げながらルリィがそう言う。
「「服の下?」」
ルリィの言葉に、俺とリーシャは声を揃えて聞き返す。
「はい。その…ご主人様の体からも、女性の…匂いがします」
ルリィがそう言った瞬間、リーシャが俺の服を脱がす!
すると、俺のあちこちに首と同じ跡が付いていた…。
これってつまり…。
俺はある事を思いだす。
「早朝に起きて、たっぷりと」
エルミールさんの言葉は、首以外の体の事も言っていたのか!!
俺がそう思った瞬間、
「シュウ?知っていたの?」
リーシャが低い声で俺に聞いてくる。
「知らない知らない!本当に今知ったんだよ!」
俺がそう言うと、リーシャが一歩近づく。
「シュウ?」
「リーシャ…信じて」
これは…お説教で済めば良いけど…。
俺がそう思っていると、
「…クンクン」
俺の右膝辺りの匂いを嗅ぎ始めるルリィ。
「リーシャ様。多分ご主人様は何もしてませんよ」
「…どういう事?」
「ご主人様の膝から女性の匂いがします。多分ご主人様の膝辺りを跨いでいたんでしょう」
「そこまでわかるの?」
「予想ですけど。それにご主人様がリーシャ様を裏切るとは思えません」
ルリィが俺を見て、そう言ってくれる。
「…そうね。シュウが裏切るような事しないわよね」
リーシャが俺から少し離れる。
ホッ…、良かった。
俺が安心していると、
「でも、ご主人様からリーシャ様や私の匂いがしないのも嫌です」
ルリィがそう言う。
「そうね。私もそう思うわ」
ルリィの言葉に、リーシャが同調する。
「今日はここに泊まりましょう。今からご主人様の匂いをリーシャ様と私の匂いにします」
「今日は特別よ。本当なら私の匂いしか付けたくないんだから」
そう言いながら、俺に近づいてくる2人。
じりじりと…。
それからは、俺はリーシャの魔法で拘束されてしまいベッドに横にされて、両隣からリーシャとルリィがキスしてきたり抱き付いてきたり、もみくちゃにされた。
最初は恥ずかしそうにしていたリーシャも途中からノリノリで、ルリィはリーシャに遠慮してか少し引きながら俺に抱き付いてくる。
そのまま俺達は3人川の字…というか、少し太い1の字で眠りに着いた。
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