マーク
服を見て驚いているエルミールさん。
「俺が選んだ物だから、気に入らないかもしれないんですけど…」
「い、いえ。でもどうして」
「エルミールさんにはお世話になりましたから」
「そ、そうですか」
エルミールさんはそう言うと、服を見つめる。
「大丈夫でしたか?」
「はい。今着ても良いでしょうか?」
「はい。もちろん」
俺がそう言うと、エルミールさんが袋の中を見て、
「あっ…」
小さく声を出す。
「どうしたんですか?」
「いえ、シュウさんの趣味なんですか?」
「へ?」
「いえ、何でもありません。着替えます」
そう言うと、エルミールさんは立ち上がり、下着を外した!?
「エルミールさん何で脱いでいるんですか!」
俺は慌てて目を瞑り、後ろを向きながらエルミールさんに抗議する。
「はい?着替えるんだから当然です」
何も気にしていないのか、そう言うエルミールさん。
後ろから軽い布が床に落ちる音がした後、布が擦れる音がし始める。
エルミールさんってこんなに無防備だったっけ?
俺がそんな事を思っていると、
「着れました。こちらを向いて下さい」
後ろからエルミールさんがそう言ってくる。
ゆっくりと向くと、そこには私服を着慣れていないから恥ずかしいのか、少し顔を赤く染めているエルミールさんが立っている。
「良かった。凄く綺麗ですよ」
「…何でしょう。とても恥ずかしいです」
そう言ってモジモジするエルミールさん。
「似合ってて良かったです。俺そういうのあまり買う事なかったので」
「シュウさん選んだのですか?」
「そうだけど。何かおかしい?」
エルミールさんがそう聞いてくるが、どういう事だろう。
そう思っていると、
「これです」
エルミールさんがそう言って、スカートを上げる。
するとそこには、さっきまで着けていた下着ではなく、少しエロイ下着が見えた。
その瞬間、俺の頭には服屋で出会ったロミーさんの良い笑顔が浮かんだ…。
あの男、いつか潰して外見通りにしてやる…。
俺はそう思いながら、
「それは、服と一緒に付いて来たんですね」
エルミールさんにサラリと嘘を言う。
俺がそう言うと、
「…そうですか」
少し残念そうに言うエルミールさん。
その後、エルミールさんは俺の隣に座って、サンレアン王国の事をずっと話してくれた。
この人は本当にサンレアン王国が好きなんだなと思わせる程、エルミールさんはサンレアン王国を語ってきた。
そして、
「貴方に話せて良かったです。今後は貴方に肌を見せる事が出来ます。触れて下さい」
俺にそう言って俺の目の前に腕を見せてくるエルミールさん。
俺が彼女の腕に触れると、エルミールさんは恥ずかしそうな顔をする。
その後、いつの間にかエルミールさんは寝てしまった。
俺はエルミールさんに布団を掛けようとして、エルミールさんの寝顔を見る。
とても穏やかな寝顔をしている。
俺は彼女に布団を掛けた後、荷物整理を再開する。
やがて、荷物の整理が終わり、俺もベッドに横になる。
こんなにリーシャが帰ってこないって事は、ティアの部屋で寝るのかもしれないな…。
俺はそう思いながら、目を瞑りいつの間にか寝てしまった…。
翌朝、俺が目を覚ますと隣のベッドで眠っていたエルミールさんの姿が見えない。
おそらく既に仕事に出ているのだろう。
俺もそろそろ行こうかなと思ったところで、
コンコン
「シュウいる?」
扉がノックされてリーシャの声が聞こえる。
「いるよ~」
俺がそう言うと、扉が開きリーシャがいそいそと部屋に入ってくる。
「どうしたの?」
「城の人達に見られな…」
リーシャが、止まる。
ピタッと止まる。
「どうしたのリーシャ?」
俺がそう言うと、
「…部屋から女の匂いがするわ」
俺の事を睨みつけながらそう言うリーシャ。
「エルミールさんが来てたんだよ」
俺がそう言うと、リーシャが俺の目の前まで歩いてくる。
「何をしていたのシュウ?」
「話したり服を渡したりしてたんだ」
下着の事とかは言わない方が良いだろう…。
俺がそう言うと、リーシャがしゃがむ。
どうしたんだろう?
そう思っていると、
「これは…何?」
リーシャが立ち上がり、手に持っている物を見せてくる…。
それは…、エルミールさんが最初に穿いていた下着だった…。
「そ、それは…」
「それと」
俺が言い訳を言おうとすると、リーシャがそれを遮って俺に近づいてくる…。
「コレハ?」
リーシャが俺の首を指差す…。
俺は慌ててベッドから下りて、鏡を荷物の中から探す!
「ハイシュウ。コレヲサガシテルンデショ?」
リーシャの言葉がロボットの様な声で俺に鏡を渡しながらそう言う。
「あ、ありがとう…ございます」
俺はリーシャにお礼を言って、鏡で自分の首を見る。
するとそこには、2つの赤くなっている跡。
これって…いわゆるキスマークと言うモノですかね?
だとすると犯人は…俺の部屋にいたエルミールさんただ1人…。
あはは…お茶目さんなんだから…。
「シュウ?イイワヨネ?」
「…はい」
その後、俺はリーシャに散々お説教された。
お説教が終わり、リーシャが俺に触れて右腕になった。
それを確認して、俺は部屋から出て、城門に向かう。
依頼は済んだし、ヴェルーズに帰って羽を休めて普通の依頼を受けようかな…。
そんな事を思いながら城を出ると、外にティアとコレットさん、エルミールさんが待っていた。
「行くんですね?」
「はい。俺はヴェルーズに基本いますので、何かあったら呼んで下さいね」
「お母様が…魔波が済んだら早急に家を建てると言っていました」
「わかりました。ありがとうございます」
ティアとそう話していると、
「もう帰るの?」
コレットさんが、不機嫌そうに俺に言ってくる。
「また来ますよ。そうだ!」
俺がコレットさんにそう言って、荷物から袋を2つ出す。
それをティアとコレットさんに渡す。
「これは?」
「何これ?」
そう聞いてくる2人に、
「2人からしたら良い物じゃないかもしれないですが、俺が選んだ服です」
俺はそう言う。
すると、驚いた表情をする2人。
「良いんですか?」
「良ければ受け取って下さい。俺が選んだ物なんで、色とか気に入らなかったら着なくても大丈夫ですから」
「着るわよ。ちゃんとね」
俺がティアにそう言うと、コレットさんがそう言ってくる。
良かった…。
それから…、
「お世話になりました」
エルミールさんにそう言う。
「ご馳走様でした」
「…いつの間にしたんですか?」
「早朝に起きて、たっぷりと…。安心してください、唇には触れていません。それは貴方からして頂きたいので」
「…エルミールさん色々吹っ切れてませんか?」
「当然です」
俺とエルミールさんの会話に?マークを浮かべるティアとコレットさん。
その後、俺は3人に挨拶をして城を離れた。
「何の話をしていたのエルミール?」
「シュウさんの首を見ましたか?」
「そう言えば、虫に刺されてしまった様な跡がありましたね」
「あれは私が付けました。彼は自分の物だと主張する方法だと聞きました」
「「どういう事!?」」
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