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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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エルミール

ブックマーク登録者数300件突破しました。

皆様ありがとうございます!

今後もよろしくお願いします。

ティアが部屋に入って来る。


「どうしたの?」


俺がそう言うと、俺の右腕…リーシャを見る。


「実は…リリアーナ様とお話がしたくて」


モジモジしながらそう言うティア。

すると、人の姿に戻るリーシャ。


「私と?」

「はい!私の部屋でお話しませんか?良い茶葉もありますので是非!」

「そ、そうね。じゃあお邪魔するわ。シュウ、行ってきても良いかしら?」


ティアの勢いにリーシャが押されていたが、笑いながらそう言う。


「うん。楽しんできてね。あっ、明日の準備をしちゃうから俺の荷物を出しておいてくれる?」

「良いわよ」


たまにはリーシャも女の子同士の会話も必要だろう。

俺がそう言うと、リーシャは魔法で仕舞ってくれていた俺の荷物をベッドに置いて、ティアと2人で部屋を出て行く。

俺は2人を見送ると扉を閉めて、荷物が置かれていないベッドに横になる。

1人になるのは久しぶりだな…、リーシャがずっと一緒にいてくれたから変な落ち着かなさがあるな。

このまま寝てしまいたくなるが、そうは言ってられない。

俺はベッドから起きると、1人黙々と荷物の整理を始める…。

そうしていると、


コンコン


またもや扉がノックされる。


「はぁ~い」


俺はそう返事をしながら、扉に近づき鍵を開けて扉を開ける。

すると、


「夜分遅くに申し訳ありません」


エルミールさんが軽く頭を下げた状態で立っていた。


「どうしたんですかエルミールさん?」


俺は突然頭を下げてくるエルミールさんに聞く。

すると、


「入っても良いでしょうか?」


エルミールさんが部屋の中を見ながらそう言ってくる。


「あぁ、どうぞ」

「失礼します」


エルミールさんはそう言って、部屋の中に入る。

俺は扉を閉めて荷物を置いてあるベッドに座る。

それからさっきまで俺が横になっていたベッドにエルミールさんを座らせる。


「それで、エルミールさんはどうしたんですか?」

「今日の事でお話が」

「今日の事?」


エルミールさんの言葉に俺は今日の事を思い出す。

色々大変だったけど、これでヴァランス帝国が変われば良いな…。

そう思っていると、


「落ち着いている所申し訳ないんですが、今日のヴァランス帝国の城での事です」


エルミールさんが、呆れた様子でそう言ってくる。


「何かエルミールさんが気になる事があったんですか?」


俺がそう言うと、エルミールさんが俺の右腕を見てぎょっとする。


「右腕が…」

「右腕?」


俺は自分の右腕を見る。

今は魔拳も作り出していないから、完全に右腕は無い。

そういえば…、人前ではリーシャが居てくれたから俺の右腕は普通にあるように見えていたはずだ。

つまり、エルミールさんは普通に見えていた俺の右腕が、無くなった様に感じるよな。


「すみません。隠していたつもりではなかったんですが、実は俺、右腕無いんですよ」


俺がそう言うと、驚いた表情をしながら、


「そうだったんですか…。では義手という事ですか」

「そんな感じです」

「普通に動いていましたよね」

「特別な右腕なので」


俺がそう言うと、エルミールさんは、


「そうなんですか」


そう言って、黙ってしまう。

すると、エルミールさんは立ち上がる。


「どうし…」


俺がエルミールさんに質問しようとした瞬間、エルミールさんがメイド服を脱ぎ始めた!


「ちょっ!?エルミールさん!」


俺が大声でそう言うと、脱げかけている状態で止まるエルミールさん。


「何ですか?」

「何やってるんですか!」


俺がそう言うと、


「シュウさんが秘密を教えてくれたので、私も秘密を明かそうかと…。ヴァランス帝国で見せてしまいましたが」

「エルミールさんの秘密?」

「はい。本当は見せられるものではないんですが…」


よく見ると、エルミールさんは少し震えている。


「エルミールさん、無理しないで下さい」

「いえ、大丈夫です」


そう言ってエルミールさんのメイド服が床に落ちる。

彼女の姿は、前に服屋で見た様に肌が傷だらけだった。


「醜い…姿ですよね?」

「え?」

「私は…昔はメイドではなかったんです」

「前の職業の事ですか?」

「はい…まぁ、中途半端だったんですけど…」


これから真面目な話をするんだろうが…、エルミールさんの下着姿で落ち着かない…。


「エルミールさん?とりあえず服を着ませんか?」

「このままでお願いします」

「……はい」

「私は家族全員が暗殺者の家系でした」

「暗殺者?エルミールさんが?」

「はい…まぁ、私が小さい頃の話です」


それはつまり、エルミールさんの家族は…。

俺がそう思っていると、エルミールさんが続ける。


「当時は私はまだ暗殺者としての技術を学んでいる状態でした。この傷はその時に出来た傷です。刃物で斬り、薬物で焼ける…。まだ、誰も殺していない状態でした。そして、私が誰かを殺す前に、私の家族が殺されました。私は家族が逃がしてくれて生き延びる事が出来ましたが、私は行く当てもなく、ただ道に座っている事しか出来なかった。道行く人が、私の体を見て、醜い、汚いと言っているのを今でも思い出せます。そんな私を拾って下さったのが、そこを通りがかったティシール様とコレット様です。私は何でも…、それこそ暗殺でも何でもする予定でした。ですが、コレット様もティシール様もそんな事はしなくていい。メイドでもしていなさいと言いました。それから、私は今日の今日までメイドを続けてこれたのです。ですが、習慣とは恐ろしいものです。いまだに私は昔のように短剣などを服に隠しています。こんな汚い姿になった原因であるにもかかわらず…」


エルミールさんはそう言って、顔を伏せる。


「…俺にはエルミールさんの過去に何かを言うのは間違っていると思うんですが、これだけは言わせて下さい」


俺がそう言うと、エルミールさんが顔を上げる。


「エルミールさんの体は汚くも醜くも無いですよ。それは、エルミールさん自身の努力で傷ついたものです。それを否定しないで下さい。貴女の技術のお陰で救われた人だっていると思います」

「ではシュウさん。貴方は私を抱けますか?もちろん抱きしめるという意味ではなく、性的に情熱を持って、私を孕ませようと思いますか?」

「ブッ!」


エルミールさんがとんでもない事を言ってくる。


「それは、とても魅力的な話ですが…俺には嫁がいるので…」

「愛人でも構いません」


俺がそう言って断ろうとすると、言い切る前に遮られてしまう…。


「…すみません。変な事を聞きました。ですが、ありがとうございます。気持ちが楽になりました」


エルミールさんはそう言って、下着姿のままベッドに座る。

気まずいがある事を思いだす!


「そうだエルミールさん!」

「何ですか?抱きますか?」

「抱きません!足開かないで下さい!…これ、良かったら受け取って下さい」


俺はそう言って、ベッドに置いてある荷物の1つを手に取り、エルミールさんに手渡す。


「開けても良いですか?」

「どうぞ」


エルミールさんが聞いて俺が許可すると、エルミールさんが袋を開ける。


「これは…」


エルミールさんが取り出したのは、前に行った服屋で買った服。


読んで下さってありがとうございます!

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誤字脱字などありましたら、連絡して下さい。

よろしくお願いします

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