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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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種明かし

翌朝、俺が目を覚ますと既にリーシャは起きていた。


「おはようリーシャ」

「おはようシュウ。今日は忙しいわよ」

「そうだね。頑張らないと」


リーシャと軽く挨拶をして、すぐに準備をし始める。

既にリーシャは、俺の腕になっていてくれている。

それから準備も終わり、俺は自分の部屋を出る。

城内はいつも通りに見えるが、この後、この国の今後に関わる程の事が起きるとは、誰も想像していないだろう。

そう思いながら、俺はエルミールさんを探す。

彼女に会って、俺が城を出るのを知ってもらわないと、ティシール様達が準備が出来なくなる。

そうして少し城内を探していると、見つける事が出来た。


「エルミールさん!」


俺が声を掛けると、エルミールさんが俺に気が付く。


「おはようございます。…シュウさん」

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」

「よろしくお願いします。今から最低限の騎士を残して集めます。場所は私が案内しますので気にしないで下さい」

「わかりました。お願いします。俺は先に魔法を使っておきます」

「はい。大広間にお願いします」


俺はエルミールさんに言われた通り、大広間までやって来た。

ここは、俺達が勇者として召喚された広い場所。

ここならある程度の人数を入れる事が出来る。


『リーシャ、お願いします!』

『任されたわ!蜃気鏡』


リーシャが魔法を使うが、俺には部屋の変化がわからない…。


『何か変わったの?』

『変わったわよ。ただ、わかりにくいけどね』

『なるほど。でもこれなら大丈夫だね。エルミールさんに報告して出発しよう』

『そうね!』


俺はリーシャにそう言って、大広間を出る。

城内を歩き、先程エルミールさんと会った場所に行くと、エルミールさんが立って待っていた。


「準備は出来ました。これから出るのでお願いします」

「わかりました。お気をつけて」


エルミールさんにそう言われて、俺は城を出発する。

昨日説明してもらって歩いた道を歩いて行く。

やがて、左側に屋敷が見えてきた。

昨日と変わらず、まだ朝だというのに騒がしい…。

俺は敷地に入り、屋敷に近づく。

俺は扉をノックするが、誰も反応しない…。

そう言えば、皆それぞれの部屋に籠って研究しているんだった…。

それじゃあノックしても意味ないじゃないか。

俺はそう思って、扉を開ける。

中は相変わらず、物音と叫び声が凄まじい…。


「老けた~!!アァァァァ!!!」

「これでどうだ~!!…ギャアァ!!」


俺が前を横切る扉の向こうから、大きな声が聞こえる。

そうして昨日ぶりの扉の前に着く。


『シュウ、いつも通りよ』

『うん』


俺は扉をノックする。

その瞬間、魔素の反応を見ようと魔視を使用する。

やはり、黒い魔素が確認できた。

これなら2人同時に捕まえる事が出来る。

俺がそう思っていると、扉が開く。


「おや?また君か?どうしたんだい?今日は魔法は大丈夫そうだし」

「朝早くにすみません。エルミールさんに呼んで来いと言われて」

「なるほど。彼女の目で見られたら行くしかないよね。今日は何の様なのかね?聞いてたりしているかい?」

「いえ、俺は聞いてません」

「そうかい。少し待っていてくれ。準備するから」

「わかりました」


扉が一度閉まる。

それからしばらくして、ヴィクトルが扉を開けて出てきた。


「待たせてすみません。行きましょうか」

「はい」


そう言って2人で屋敷を出る。

ヴィクトルは特に怪しんでいないのか、俺によく話しかけてくる。


「君はどんな魔法が使えるんだい?」

「俺は火ですよ…」

「それだけなのかい?エルミール君が頼る程なのだからもっと凄いのかと思ったよ」

「…そんな事ないですよ。俺はただの冒険者です」


そんな事を話している内に、城にたどり着く。


「お疲れ様」

「おはようございます。ヴィクトルさん」


城門にいる門番に挨拶をしている。

門番の人も笑顔で答えている所を見ると、本物のヴィクトルさんは信頼されていたのだろう。

俺はそう思いながら、城内に入る。

見ると、仕事をしているメイドさんや執事が見えるが、いつもよりはるかに少ない。

変に怪しまれなければいいけど…。

そう思いながら、俺は、


「エルミールさんは大広間に来て欲しいと言っていましたよ」


ヴィクトルを見ながら、そう言う。

すると、


「わかったよ。ありがとうね。ここからは1人で行けるから大丈夫だよ」


そう言って、先に歩いて行くヴィクトル。

俺は、彼が見えなくなるまでそこに立ち尽くし、見えなくなると彼の後を追う様に歩き出す。

そして、ヴィクトルは大広間に辿り着く。

俺は今、廊下の隅で彼の動きを監視している。

ヴィクトルが大広間の扉に手を掛けて開けて中に入っていく。

俺はそれを確認してから、歩き出す。

中では、エルミールさんが待機していて、嘘の用事について話をしている事だろう。

そして、俺も大広間の扉を開ける。

中は、エルミールさんとヴィクトルが向かい合っている。

そして、中に入って来た俺に2人が気づく。


「おや?どうしたんだい?」

「…ヴィクトルさん、俺がここに来た理由は知ってますか?」

「知ってますよ。紛れ込んでいる内通者を見つける事ですよね?」

「はい。俺は貴方が怪しいと思っています」


俺がそう言うと、彼の表情に変化が。

まるで、俺を馬鹿にしているような顔をする。


「僕が怪しい?そんな事ありませんよ。サンレアン王国で魔法研究をして何十年だと思っているのですか?」

「貴方は姿を変える魔法、幻覚魔法が使えますよね?」

「確かに使えますが、姿を変えているとでも?どうやってそれを証明するのですか?」

「それは、こうやってですよ!」


俺はそう言うと、ヴィクトルの体に付いている魔素を霧散させる!

すると、エルミールさんが驚いている。

俺から見たら何の変化も無いが、彼女からはヴィクトルさんだと思っていた人がいきなり別人になったのだ。


「!?魔法がかき消された!」


男も驚いている。


「…どうやって…。どうやって魔法を…」


何か呟いているが、俺は気にせず続ける。


「それが貴方の本当の姿です。本物のヴィクトルさんはどうしましたか?」

「…ふふ…。殺したに決まってるだろ」


男が俺を睨みながらそう言う。

やはりそうか…。


「それにお前とこの女を殺しちまえば、まだ間に合う!2人とも殺してこの女の姿になっちまえば、もっと情報を集める事が出来るだろう!残念だったな!」


男が更に大笑いしながら俺に言ってくる。


「そうですね。俺とエルミールさんだけでしたらね」


俺がそう言った瞬間、


『砕けよ』


リーシャが魔法を解除する。

大広間の景色にヒビが入り、崩れ落ちていく。

そこには、ヴァレッド様、ティシール様、ティアにコレットさん。

そして、本物のヴィクトルさんと交流があった人に、城で働いているメイドに執事。


「な…な…」


突然の環境の変化に唖然としている男に俺は、


「この人数ではどうですか?」


男にそう聞く。


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