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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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報酬は?

少し短いです。

ティシール様の質問に俺は、


「この依頼の前金は既にもらっています。結構な額でしたからそれで十分です」


俺がそう言うと、座っているティアが立ち上がる。


「シュウ?この依頼は国の今後に関わる程大きい事なのです。それはわかってますか?」


ティアが俺の目の前に来てそう言う。


「わ、わかってます」


俺はティアを見ながらそう言うと、


「いいえ、わかってません」


ティアは俺の事を残念な人を見る目で見てくる。

どういう事?

俺が戸惑っていると、


「いいか?もし明日の事が成功したら、お前はこの国の救世主的な存在になる訳だ」


ティシール様がそう言ってくる。


「そんな大袈裟な…」

「働きなら、今はいないが勇者よりこの国に貢献している。そんなお前に何も感謝の気持ちを渡さないのは、私達が変に思われる」

「…はぁ」


勇者より働いていると言われても、実感がない…。


「金を払うのは当たり前だ。その他に大きな形が残る物を渡さないと、サンレアン王国の恥になる」


そうは言われても、何か欲しい物があるってわけじゃないし…。

俺がそう思っていると、


「別にティアとコレットのどちらかとの結婚でも良いんだぞ。2人共でも構わない」


ティシール様がとんでもない事を言ってくる…。


「俺には心に決めた女性がいるので…」

「別に一夫多妻でも構わない。ヴァレッドは私一筋だと言って増やさないが、私は別にかまわないと思っている」


俺が断ろうとすると、ティシール様が最後まで言わせない様に、俺の言葉に被せてくる。


「私は結婚なんて嫌よ」


コレットさんが一言言う。

良いぞ!もっと言ってくれ!

俺がそう思うと、


「何で私が2番や3番に甘んじないといけないの?その女性と別れるんなら考えてあげても良いけど」


コレットさんが更に続ける。

その言葉に、


「コレット、そういう言い方は失礼ですよ」


ティアがコレットさんにそう言う。


「コレットはまだ子供だ。許してやれティア」


ティシール様がコレットさんに油を注ぐ。


「子供じゃない!」


このままじゃ親子喧嘩が始まってしまいそうだ…。

俺は助けを求めようと、ヴァレッド様を見る。

すると、目を逸らすヴァレッド様…。

国王様でも嫁と娘達には勝てないんだな…。

俺がヴァレッド様に同情していると、


『ねえシュウ?』


リーシャが声を掛けてきた。


『何?』

『この城に自由に行き来できる通行権みたいなものがあれば良いんじゃない?シュウは勇者の手伝いをしたいんだから、ここに来ることも増えるだろうし』

『確かにそうだね!形に残るし、城に自由に入れることって大きいことだと思う。ありがとうリーシャ。言ってみるよ』


俺は、リーシャにお礼を言って言い争いをしている3人に声を掛ける。


「あの、決めました」

「「「誰と!!」」」


結婚前提に話が進んでないかな?


「その、この城に自由に入れる権利が欲しいなと思いまして」


俺がそう言うと、3人は呆然としている。

別に変な事は言ってないよね…。

俺がそう思っていると、


「それだけじゃダメだ」


ティシール様がそう言う。


「何でですか?」

「確かに城に自由に入れる権利は大きい。だが、目に見える物ではない」

「目に見える様に紙にするとかはどうですか?」

「ペラペラの紙などあってないようなものだ」


じゃあ、どうすればいいんだ…。

そう思った瞬間、俺に良い考えが閃く。


「家が欲しいです」

「家?」

「はい。俺は冒険者なので宿屋暮らしなんですが、家が欲しいなと思っていたんですよ。目に見える大きいものですから、意見も合います」

「確かにそうだが…。私の娘はいらないのか?」

「そういう訳ではないのですが…。俺はただの冒険者です。そんな人がティアリス様やコレット様と婚姻することがあったら、サンレアン王国の国民から不満の声が出ます。俺は、少しだけですが色々な国を見てきました。だけど、ここに比べればどの国も貧富の差が激しかったり、空気が悪いんです。俺はサンレアン王国の空気をああいう風にはしたくないんです」


俺がそう言うと、ティシール様は諦めたように溜息を吐いて、


「わかった。家と城に入れる権利、報酬金を約束する」

「え?あの、家と権利はどちらかで良いんですけど…」


俺がそう言うと、先程よりも深い溜息を吐くティシール様。


「そういう訳にはいかない。全部やる。黙って受け取れ」

「…わかりました」


多分、俺が断っても意味ないんだろうな…。

そう思いながら、俺は返事をする。

すると、


「それで、どんな家が欲しいんだ?場所とか」


ティシール様が更に質問してくる。


「普通の家で十分です。場所は…ヴェルーズかその近くで良いです」

「何でヴェルーズなんだ?」

「あそこの冒険者ギルドで仕事をしていますし、慣れ親しんだ人達がいるので。無理そうですか?」

「いや、大丈夫だ」

「ありがとうございます」


それからしばらく、俺は明日の事で説明をして話し合いをする。

その後どうにか話し合いは終わり、今は部屋でリーシャと話し合いをしている。


『明日は忙しいわね』

『そうだね。しかも、ヴィクトルの事を片づけた後、ヴェルーズの近くの森に行って隠れている奴隷商人を捕まえた後、ヴァランス帝国の王に会いに行かないといけないし。リーシャにも魔法を使わせる事になる。ごめんね』

『そんな事気にしていないわ。シュウの力になりたいもの』

『ありがとう。俺も何かリーシャの力になりたいな。何かして欲しい事ない?』

『…そんなのいっぱいあるわよ。でも、今は良いわ。明日の用事を済ませてお家を貰ったら、色々してもらうわ』

『そんなにして欲しい事あるの?』

『あるわよ。楽しみにしていてね』

『う、うん』


リーシャとそんな話をしている内に俺は眠くなり、俺はリーシャにおやすみと言って、意識がぼんやりしてくる。

明日は忙しくなりそうだ…、頑張らないとな…。

俺はそう思いながら、眠りについた。


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