確認
あの後、すぐにメイド服は完成したようで、エルミールさんと妹さんが1階に下りてくる。
俺はなるべく自然な態度を取る。
「すみません。お待たせしました」
「メイド服ってそんなに早く出来る物なんですか?」
「いえ、そういう訳ではありません。レミーが、ある程度作って置いてくれるんです。後は色々と調節するだけにしてあるんです。そうですよね?」
エルミールさんがレミーさん?にそう言うと、
「その通りです!」
笑顔で答える。
「おいレミー!レスティンさんがたくさん商品買ってくれたぞ!」
ロミーさんが大きな声でそう言うと、
「本当ですか!?ありがとうございます!えっと…?あはは!自己紹介がまだでしたね。この店の商品を作っている、そこの変態の双子の妹のレミーと言います。よろしくお願いします」
「良い買い物をしました。ありがとうございます。俺はレスティンと言います」
お互いに遅い自己紹介をして、笑い合う。
その後、少し4人で世間話をした後、店を後にした。
エルミールさんの用事も終わり、今は城に戻るために歩いている。
「レスティンさん」
「何ですか?」
「この後城に戻った後、夕食が終わったら貴方の部屋に行きます。その時に私に聞きたい事を聞いて下さい」
「わかりました」
エルミールさんとそう話をして、城に戻る。
俺の頭には、エルミールさんの下着姿が離れない。
『…シュウ?』
『違うよ。異性として離れない訳じゃないから』
『…わかってるわよ。シュウは優しいもの。彼女の傷跡が気になるんでしょう?』
『うん』
『彼女にも、複雑な過去があるようね』
『そうだね』
俺はリーシャと話をして、前を歩いているエルミールさんの姿を見る。
彼女に一体何があったのだろう…。
そう思いながら、俺とエルミールさんは城に帰る。
その後、特に何かある訳でもなく城に着き、エルミールさんとは解散した。
俺は部屋に戻った後、少し早めの夕食を食べに食堂に行く。
食堂で夕食を食べた後、俺は部屋に戻り、買ってきた荷物を整理している。
ふむ…、意外とたくさん買ったな。
そう思いながら、
「リーシャ、人の姿に戻ってくれない?」
リーシャに声を掛ける。
「どうしたの?」
そう言いながら、リーシャが人の姿に戻る。
俺は買った服の一組をリーシャに渡す。
「いつもありがとう、リーシャ。良かったら着てね」
俺がそう言うと、リーシャは驚いた表情をする。
「私に?」
「うん」
リーシャの質問に答えると、リーシャは渡した服をぎゅっと抱きしめる。
「ありがとうシュウ」
「これからもよろしくね」
「えぇ!」
リーシャは俺が渡した服に顔をくっ付けたり、抱きしめたりしている。
喜んでもらえたようで良かった。
そう思っていると、
コンコン
扉がノックされる。
喜んでいたリーシャが、慌てて俺の腕になる。
リーシャがちゃんと腕になったのを確認して、更に魔素でリーシャを包み込む。
ベッドに置いて整理していた荷物を、リーシャの魔法で収納してもらう。
それから俺は、部屋の扉の鍵を開けて扉を開けようとする。
「すみません。お待たせしました」
そう言いながら扉を開けると、扉の前にはメイド服のエルミールさんが立っていた。
「いえ、大丈夫です。失礼します」
エルミールさんはそう言って部屋の中に入る。
「ベッドに座って下さい」
俺がそう言うと、エルミールさんは何も言わずベッドに腰掛ける。
俺は椅子を彼女の前に移動させて、そこに座る。
「それで…私に聞きたい事とは何ですか?」
「依頼に関係する事なんですけど…」
俺はそう言って一度言葉を区切る。
『何を聞けばいいのリーシャ?』
『私達に幻惑を使った男の名前…何だったかしら?』
『ヴィクトルさんの事?』
『それね。あの男の容姿と歳を聞いてみて』
『わかった』
俺はそう言って、リーシャはヴィクトルさんが怪しいと思ってるのかなと考える。
そう思いながらもエルミールさんに質問する。
「エルミールさん、その…ヴィクトルさんの容姿と年齢を知ってますか?」
「ヴィクトルのですか?年齢は詳しくは知らないですけど、60~70歳ぐらいだったはずですよ。容姿は少し太めのハゲです」
エルミールさんがそう答えるが、俺はおかしい事に気がつく。
「あの、俺に魔法を使ったヴィクトルさんですよ?」
「はい。だからそう言ってます」
おかしい…。
俺が知っているヴィクトルさんは30~40歳ぐらいで痩せ過ぎず太過ぎない姿、そして少し長めの茶髪だったはずだ。
どういうことだ?
『やはりそうね…』
エルミールさんも言葉に、リーシャがそう言う。
『どういう事?』
『まだ確信してないから教えられないわ。あの男の経歴とか聞いてみて』
『わかった』
『ん~…』
リーシャが何か考えているようで、少し唸っている。
「エルミールさん…」
「貴方は、ヴィクトルの事を怪しんでいるのですか?」
エルミールさんが俺の言葉を遮ってそう聞いてくる。
「…そう…ですね」
「そうですか…」
少し気まずい…。
エルミールさんも黙ってしまった…。
「あの…大丈夫ですか?」
「…はい。続けて下さい」
「ヴィクトルさんは魔法を研究していると言ってましたが、その前は何をしていたか知っていますか?」
「あの人は魔法研究しか興味ないと言って、サンレアン王国でずっと魔法研究をしていたようです」
「もしかして、城の上層部にも行けたりしますか?」
「はい。知り合いも多く、よく来ていました。ここ2週間程、来なかったのですが…」
つまり、2週間前にヴィクトルさんに何かあったという事か…。
「実は…」
俺がそう思っていると、エルミールさんが口を開く。
「私も少しヴィクトルの事を怪しいと思っていました。彼が2週間も城に来ないこと自体がおかしかったのです。そして、最近は逆に毎日城に来る。今までと違うのです。彼はキッチリとした人なので、こんなに間隔を崩す事なんてありえないんです」
エルミールさんも、長年の経験からかヴィクトルさんの事を疑っているのか…。
だが、エルミールさんがここまで言うって事はヴィクトルさんはサンレアン王国にとって良い人だったのかもしれない。
俺がそう思っていると、
『シュウ、その男が内通者の1人よ』
リーシャが俺に、そう言った。
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