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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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服屋

2階から下りてきた人は、エルミールさんに気がつくと、


「エルミールさん!メイド服の新調ですか!」


エルミールさんに駆け寄ってそう言う。


「はい。いつも通りでお願いします」

「もっと可愛くしましょう!そうしましょう!」

「いえ、私は今のままで十分ですから…」


エルミールさんが2階に連れて行かれる。

取り残された俺とお店の人…。

気まずいが思い切って話し掛ける。


「すみません。お勧めの服とかありますか?」


俺がそう言うと、


「あぁ!これなんかどう?」


お店の人が見せてきたのは、完全な女性下着だった。

しかも結構きわどい…。


「エルミールさんに似合うと思うから作ってみた奴なんだが」

「殺されますよ」

「彼氏なら下着の1つや2つ買ってやりな」


そう言って、俺にぐいぐい渡そうとしてくる!


「そ、それより聞いても良いですか!?」


俺は話を逸らそうと、気になっていることを話そうとする。


「ん?何?」

「失礼だとは思うんですけど、女性ですか?それとも男性なんですか?」

「あ~…よく言われるよ。男だよ」

「エルミールさんを連れていった方は?」

「女だよ。双子の妹」


なんか少しだけ安心した…。


「それで?君は何か買うのかい?」

「え?あぁ、そうですね。じゃあ…」

「この下着だな!」


お店の人が再度きわどい下着を俺も目の前に出してくる。


「違いますってば!!」

「男なら愛してる女にこんな格好してもらいたいだろ!」


お店の人がそう言った瞬間、


『シュウの為なら…。恥ずかしいけど私は着けるわよ?』


リーシャが反応してそう言う。


『違うよリーシャ!リーシャはそのままで良いから!』

『本当?』

『うんうん!』


リーシャにそう言って、俺はお店の人に、


「可愛い服を何着か欲しいんですけど、良いですか?」

「どうぞどうぞ」


俺はお店の人に許可を貰い、店内を見ていく。

だが、こういうのはあまり俺にセンスは無いからな…。

俺がそう思ってると、2階から声が聞こえてくる。


「エルミールさんはもっと可愛くメイド服を着た方が良いですよ!」

「いえ、私は可愛いとは無縁なので…」

「そんな事ないですよ!」

「私の姿を見てそう言ってくれるのは、レミーさんだけです」

「エルミールさんはもう少し笑顔が欲しいですね」

「笑顔…」

「あっ、腕を上げて下さい!…エルミールさんは何でいつも胸を潰す様にしてるんですか?」

「少しとはいえ膨らんでいると武器を入れられませんからね」

「ふむふむ。少し大きくなりましたね~。前の癖が直らないんですか?」

「道理で最近苦しいと感じていたんですか…。そうですね…。そうやって教えられましたから」


凄く聞いてはいけない話をしているようだ。

俺はなるべく気にしない様に、服を選んでいく。

すると、


「これなんてどうですか?」


お店の人がまた俺に進めてくる。


「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。俺は…レスティンと言います」

「あぁ、そうだった。俺はロミーだ。よろしく」

「よろしくお願いします」


俺はロミーさんの持って来た服を見る。

ふむ…。

ロミーさんはちょっと変態のようだが、センスだけはある。

俺は更に服を見ていく。

すると、


「エルミールさん?一緒に来ていた方とはどのような関係なんですか?」

「関係ですか?」

「エルミールさんの良い人ってやつですか?」

「そういうのではないです。仕事仲間みたいな者です」

「でも、彼といる時のエルミールさん、少し色気が出てましたよ?」

「そんなものはありません。私の人生はコレット様に捧げています」

「ん~…、女としての幸せは要らないって事ですか?」

「必要ありません」


俺の話かな?

少し気になる…。

そう思っていると、


「お!」


似合いそうな服を見つけた。


「ロミーさん、これ下さい」


俺がそう声を掛けると、ロミーさんが俺の元に来る。

その手にはまたもや下着…。


「これ預かってもらえませんか?まだ選びたいので」

「あいよ~」


選んだ服をロミーさんに渡して、俺はまた服を探していく。

こうして見ていくと、日常生活で着ていく物と戦闘で防具の下に着る物とか色々あるんだな…。

そうして見ていくと、エプロンを見つけた。

ルリィに良いかも。

そう思いながら、ルリィに似合いそうな物を見つけてロミーさんに預ける。

それからしばらく店内を見ていき、結局結構な量を買ってしまった。

でも、これで喜んでくれるなら嬉しいな。

まだエルミールさんが2階から帰ってこないので、今はロミーさんと話している。


「これなんてどう?なかなかの出来だ。触り心地も抜群でとてもエロい」

「そういうのはいいですから」


何でこの人は、下着をこんなにも薦めてくるんだろう?

すると、


「もう少しで出来上がりますからね」

「急がなくても大丈夫ですよ」

「あっ!そうだ!」


エルミールさんとロミーさんの妹さんの声が聞こえていたかと思っていると、階段を下りる音がして妹さんが1階に下りてきた。

すると、人差し指を口に当てて、


「シィ~…」


俺の元に来て、手を掴まれる。

何だろう?

そう思いながら、彼女に引っ張られて静かに階段を上がる。

階段を上がりきると、工房の様な所で作りかけの服などが置いてある。

すると、妹さんが工房のある所を指さす。

その先を見ると、下着姿のエルミールさんが見えた…。

だが、彼女の姿に俺は息を飲む。

彼女の肌には、切り傷や火傷の痕でいっぱいだ。

新しく出来た傷はあまり見えないが、古傷だとしてもとても痛そうに見える。

どうしてあんなに…。

俺がそう思ってると、妹さんが俺の手をまた引っ張る。

1階に下りるようで、上がってきた時の様に静かに下りていく。

妹さんと一緒に1階に下りると、彼女が真剣な表情で俺を見て、


「エルミールさんの姿…どうでしたか?」


俺にそう聞いてくる。

俺はさっき見た彼女の姿を思い出す。


「どうして、あんなに彼女は傷ついているのかと思いました」

「それは、エルミールさん本人から聞いて下さい。…エルミールさんを受け入れてあげて下さい。貴方ならできるかもしれないですから」


妹さんはそう言って駆け足で2階に上がって行ってしまった。


「さぁエルミールさん!もう完成ですからね!」


妹さんの明るい声が聞こえる。


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