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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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調査

エルミールさんとの話をしているうちに、執事の人達がいる部屋までやって来た。


「アルノエさんはいますか?」


エルミールさんが少し大きな声で言うと、


「はい!」


執事の中から返事が聞こえて、こちらに向かってくる男性。

緑色の髪に執事の恰好、この人がアルノエさんか…。


「朝早くお仕事の邪魔をしてすみません」

「いえいえ!何でしょうか?」


エルミールさんがそう言うと、アルノエさんが首をブンブン横に振っている。


「実は、アルノエさんと話がしたいという方がいまして」

「俺に…ですか?」

「はい。レスティンさん」


エルミールさんに呼ばれて、彼女の隣に立つと、


「…」


アルノエさんの顔が嫌そうな表情に変わる。


「朝早くすみません。この前の騒ぎの時にどちらにいましたか?」

「騒ぎってあれか?男がティシール様の部屋に侵入して部屋から投げ飛ばされた奴だろ?」


色々違う…。

だが、部屋から投げ飛ばされたというのは間違えていない。


「多分それです」

「…ん~」


俺がそう言うと、アルノエさんはその時を思い出そうと唸っている。

すると、


「そうだ!あの時はあいつと一緒に食堂に行こうとしてたんだ。丁度休憩になったからな」


アルノエさんはそう言って、せっせと動いている執事の人を指さす。

その後、指を差された執事の人にも話を聞いたが、特に怪しい感じでもなかった。

次はメイドのマドロラさんだ。

エルミールさんと一緒にマドロラさんを探す。

すると、廊下の掃除をしているメイドの人が包帯をしている。


「エルミールさん、あの人ですか?」


俺がそう言うと、エルミールさんは頷く。

それを確認してから、俺はエルミールさんはマドロラさんに近づく。


「お仕事中すみません。少し聞きたい事があるんですけど」


俺がそう話しかけると、


「はい。何でしょうか?」


落ち着いた雰囲気の声で返事をしてくれるマドロラさん。


「この前の騒ぎを知っていますか?」

「はい。ティシール様のお部屋の騒ぎですよね?」

「それです。その時どこにいましたか?」

「私はその時、王城にはいませんでした。回復薬などの注文の為に城下町に行っていました。騒ぎの話は他の方から聞いたので」


マドロラさんはそう言って頭を下げる。

そうか、彼女が本当に城下町にいたか調べるのが大変だな…。

とりあえず彼女が本当にお店などに行ったか確認するのは後にしよう。

俺はマドロラさんにお礼を言って次に向かう。

門番…。

あの時リーシャが魔法を使っている気配がしたのは城門だと言っていた。

一番怪しいのは、今から会いに行く門番をしているケールさんという人だ。

そう思いながら、俺とエルミールさんは歩いていき、城門に辿り着く。

するとエルミールさんが、


「私が先に行ってきますので、私が呼んだら来て下さい」


俺にそう言ってきた。

俺は少し離れた所で、エルミールさんが門番の人に話している様子を見ていると、エルミールさんと話している門番が誰かを呼んでいる。

すると、現れたのは騎士の鎧を着けているのにヒョロッとしているというか、弱弱しい男性。

彼がケールさんか…。

俺がそう思っていると、


「レスティンさん」


エルミールさんの声が聞こえて、見ると彼女は俺に手招いている。

俺は2人の所へ歩いて行く。


「ケールさん、彼が先程話したレスティンさんです」

「そうですか…。初めまして、門番をしているケールです…」


エルミールさんが俺の事をケールさんに紹介してくれる。

ケールさんは自己紹介して俺に手を伸ばしてくる。

だが、差し出してきた手がプルプル震えている…。


「レスティンです。よろしくお願いします」


俺は震えている手を握る。

何だろう…。変に握ったら折れるんじゃないかと思ってしまう程、弱弱しい…。


「それで、私に何を聞きたいのですか?…」

「この前の騒ぎ知ってますか?」

「騒ぎとはアレですか?あなたが上から落下してきたのですか?」

「それです。知っているという事は、その時はここにいたんですか?」


俺がそう聞くと、


「いましたよ」


弱弱しい声で返事をしてくれる。

だがここで問題がある発生した…。

彼にあの時魔法を使用したかなんて聞いても変に怪しまれる可能性がある…。

もし彼が犯人だったら、警戒されてしまう。

俺がそう思っていると、


「ケールさん、彼は闇魔法を使える人を探しているそうなのです」


エルミールさんがケールさんにそう言ってしまった。


「そうなのですか…」


エルミールさんの発言に特に怪しむ感じではなく、単純な反応をしている。


『シュウ、この子のおかげでシュウが魔法について聞く事が簡単になったわよ』


リーシャが俺にそう言ってくる。


『何で?』

『初対面の人が突然自分が使える魔法について聞いて来たら怪しまれるかもしれないけど、知っている人が自分の使える魔法を使えますから連れてきましたという感じなら、自然な感じで聞き出せるようになるわ』

『つまりこれは、エルミールさんの作戦という事?』

『そうね。この機会を逃しちゃいけないわ』

『わかった』


リーシャとの話が終わり、俺は緊張しながら目の前のケールさんに話しかける。


「エルミールさんの言った通り、今闇魔法を使える人を探しているんです」

「私で良かったら、何でも聞いて下さい」


良かった…。

エルミールさんのおかげで、怪しまれる事も無く聞き出す事が出来る。


「ケールさんは、闇魔法は使えるんですよね?」

「はい、あまり凄いのは使えませんけど…」

「どんな魔法が使えるんですか?」

「主に相手の目を一時的に見えなくするだけぐらいですよ」

「他にはありますか?」


俺がそう聞くと、ケールさん苦笑いをしながら、


「そこまで強力な魔法は使えません。使えていたら門番ではなく、もう少し階級が上の騎士になれてましたよ」


そう言った。


『シュウ、この男は嘘を言っていないわ』


リーシャが俺にそう言ってくる。


「影の中に潜り込む魔法は使えませんか?」


俺はケールさんに聞く。

すると、


「私は使えませんよ…」


ケールさんはそう言った。


『嘘を言ってないわ』


リーシャがケールさんの発言にそう反応する。

つまり、彼は白。


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