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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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夜の自習、そして密会

あの後、ティアと一緒に食堂に行き、夕食を済ませた後大浴場で体を綺麗にし部屋に帰る。

ティアに許可をもらい図書室から本を借りてこれたから読んでみる。

部屋にあった椅子に座り、ベッドに置いてあった本を机の上に置く。

魔法には火、水、風、土、雷、氷、聖、闇、の8つの基本的な魔法があり、さらに数人に1人、数万人に1人と珍しいレアスキルがある。

魔法にもレベルがありⅠ~Ⅴまでと書いてある。Ⅰは基本的でありⅡから戦闘に使えるようになり、Ⅲなら魔法だけでも戦えるようだ。ⅣやⅤになると1人で魔物の大群を消滅できるほどらしい。

ただし、レアスキルはⅢまでしかないようだ。Ⅰで充分戦闘に使えると書いてある。

俺って火魔法Ⅰしかないじゃん。魔法で戦えもしないのかよ…。

更に読み進めると、スキルは後天的に習得できるものもあり、魔法のレベルはどれだけ戦い敵を倒したかによると書いてある。

これは経験値的な感じなのかな?

別の本はレアスキルに関する本のようだ。

レアスキルをレア度で分類しているようだ。

俺には関係ないが少し見てみよう。

見ていくうちに、ティアの加速魔法も数百人に1人のレアスキルなのがわかった。

レデリックさんの爆裂魔法は数十万人に1人の結構希少なスキルのようだ。


「お、これは!」


他の本を見てみると魔物の生態を書いた本のようで魔物の対処法も書いてある。

一番読みたかった本だ。相手の弱点が分かれば戦闘に有利になる可能性がある。

少しでも先輩たちの役に立てるようにならなくちゃ!

それからしばらく魔物図鑑と生態系が書かれている本を読み比べ、魔物の特徴や弱点を調べ頭に入れていくが、なかなか難しい。

平凡の俺じゃあこれが精一杯だな…

夜に勉強、昼間は戦闘訓練をすれば大丈夫かな…まだ足りないか?


コンコン


1人で考えていると誰かが訪ねてきたようだ。


「はい、今開けます」


出している本などを閉じて、扉を開けるとそこには、


「こんばんは、柊ちゃん」


なんと、東桜寺先輩がいた。


「あ、こんばんは。どうしたんですか先輩、こんな夜に」

「柊ちゃんと話がしたくて、入っても良いかしら?」

「ど、どうぞ」


先輩を部屋に入れ扉を閉める。

先輩をベッドに腰掛けるよう促しながら、自分はさっきまで座っていた椅子に座る。


「今日、柊ちゃんどこに行ってたの?ティアリスさんと一緒に歩いてたの見たけど…」

「俺、今日はティアに案内を頼んで城の図書室で本を探したりしてました」


ティアに探してもらっちゃったけど…

俺…ティアに頼りきりだな…今度、お礼しないと。


「…ティア?」

「あぁ、その時仲良くなってこの呼び方になっちゃって」


先輩の雰囲気が変わる。


「柊ちゃん、私の事も昔みたいに怜華姉さんって呼んで欲しいわ…いえ、怜華って呼び捨てで良いわ」

「いやいや!先輩の事を呼び捨てなんかできませんよ!」

「あと、敬語も止めて」

「そんな事できませんよ」


そう言うと、先輩は目を細める。

マズイ、少し怒っている…。


「我儘はダメよ、柊ちゃんは昔から少し我儘なんだから」

「す、すみません」


何で俺怒られてるんだろ…


「柊ちゃん?よ・ん・で・?」

「…………」

「柊ちゃん?」

「れ、怜華姉さん…」


は、恥ずかしい…


「呼び捨てにして欲しいけど我慢するわ」

「勘弁してください…」

「そうだ柊ちゃん、ステータスカード見せて、私のも見せるから」


そう言うと先輩がステータスカードを見せてくる。


「は、はい、わかりました」


俺もステータスカード取り出して先輩と交換する。


<ステータス>

名前:レイカ・トウオウジ

Lv:13

職業:勇者

年齢:18

MP:1950

スキル:火魔法Ⅲ、水魔法Ⅲ、雷魔法Ⅲ、氷魔法Ⅲ、聖魔法Ⅲ、拘束魔法Ⅱ、経験値2倍、聖剣化


ナニコレ??

ティアよりレベル低いのにMP超えてるし魔法も実戦で使えるレベルだし数も多い…


「凄いステータスですね」

「柊ちゃんのステータスはどうしてこんなに低いの?勇者じゃないし」


低いなんて言われるとグサッてくるな…


「俺は普通ぐらいらしいですよ。怜華姉さんが凄いんですよ」

「そうなの?秋沙のステータスも見せてもらったけど、よくわからなかったわ」

「多分皆凄いと思いますよ」


これ俺必要無いんじゃね??


「そうなのね、柊ちゃんは今日は私達と別行動だったけど、これからどうするの?」

「考え中です、とりあえず1人でも大丈夫にはなりたいですけど」

「柊ちゃんは戦わなくていい、私達が守るから城にいて欲しいわ」

「そんな事できませんよ」

「…私は柊ちゃんには安全な所にいて私達を待っててほしい」

「怜華姉さんの気持ちは嬉しいです。けど、俺も怜華姉さんの役に立ちたいです」

「止めても無駄なの?」

「はい、怜華姉さんも言ってた通り、俺は我儘なんですよ」

「…わかったわ、昔からそうだったものね。でもお願いだから無茶はしないで。約束して…」

「わかりました、約束します」


そう言うと、先輩はベッドから立ち上がり両手を少し広げて、


「約束のハグ…して」


と凄い事を言った。


「先輩!?普通は指切りじゃないんですか!」

「そんなのじゃ足りないもの。ね、柊ちゃん」


これって俺が抱きしめないとずっとこのままなのか!

覚悟を決めないと!

……

無理無理!無理だよ~!


「先輩、指切りにしましょうよ」

「ハグしてくれないなら、約束できないとみなして柊ちゃんを拘束魔法で縛って私の部屋に監禁するわ」


先輩、マジ顔だよ…


「…わかりましたよ」


俺は椅子から立ち上がり先輩とハグする。


「ん…」

「………」


めっちゃいい匂いする!めっちゃ柔らかい!


「せ、先輩!も、もう良いですよね!」

「まだ…スゥ~…ハァ~…スゥ~…」


あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

そうして先輩に抱きしめられて数分後、やっと先輩は離れてくれた。


「ご馳走様、信じてるからね」

「は…はい」

「おやすみなさい柊ちゃん」

「お、おやすみなさい」


こうして先輩はご機嫌で自室に帰っていった。

俺も、もう寝ようと本などを片付けてベッドに入る。

寝れないわ、さっきまで先輩と抱き合ってたってだけで心臓がまだバクバクしている。

落ち着け、落ち着け

そう念じながら目をつぶった。


読んでくださってありがとうございます!


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