近場の目標ができました
まりあちゃん、一応名乗るときにはキャラ名のマリーって言ってるみたいです(´・ω・`)
アヤさんに紹介された宿に着いた。
もちろんアルパカには乗ってない。
なんか兵士っぽい人たちがドタドタしていて、何度か顔を睨まれた。何かあったのかな?
「いらっしゃいませー」
10歳くらいの女の子が迎える。
「ども、今晩だけ泊めてもらっていい?」
「はい、アルパカさんも一緒ですか?」
「うん」
アルパカと同室なのかな…?元の家ではそんなことしなかったけど。
「4人部屋がひとつ空いてます。夜と朝に食事がついて、一泊7000ENです」
7000か、ゲームだと20ENで回復できたんだけど、そうは甘くないか。
インベントリから硬貨を取り出す。
「はい7000。この値段ってどんなもんなの?」
「旅の方は高く感じるみたいですけど、王都ではこれでも少し安いくらいですかね」
ふーん、エステ100万基準だと物価がイマイチわからないね。明日は探検してみようかな。
名前を教えて、手続きを済ませる。
「マリーさんですね。では食事が始まってるので、こちらへどうぞ。アルパカさんはあちらです」
おお、干し草がキレイに並べられている。
「フェー」
「ムェー」
よかったな花子とよしお。
私も食堂で席に着く。すると、ダンディなこげ茶アルパカが近づいてきて
「ン」
と会釈された。
「ど、ども。キレイな毛並ですね」
想定外の事態に驚いて、ついナンパ(?)をしてしまった。アルパカは一度裏に戻り、背中にお盆を乗せて戻ってきた。
「ン」
「ど、ども」
私がそれを受け取ると、また裏に戻っていった。
アルパカって働いてるんだ。異世界すげー。
後で聞いた話だが、アルパカが働いている場所は、いわゆる「居心地がいい」場所で、王都の店では一定のステータスのようなものらしい。
アルパカっておくびょうで気まぐれだから、確かにすごいことだね。
お盆にはパンと豪華なステーキ、簡素なスープが並んでいた。
かなりお腹も空いていたので、早速いただくとしよう
おお、美味しい。特にこの肉、牛肉に似た味だが、国産黒毛和牛を遥かに凌駕する素材に違いない。
味付けはスパイスが少し効いている程度だが、溢れ出す旨味の邪魔をせず、香りを引き立てる。
一気に肉を平らげると、お盆に木の札が乗っていたことに気づく
「ん、なんだこれ、今日のメニュー?」
メニュー書きあったのね、気づかなかった。
中身は、どれどれ
『麦パン、ジャガイモとベーコンのスープ、アルティメットバッファローの特上ステーキ』
へー、アルティメットバッファ……?
あれ、アルティメットバッファローって70レベルボスだったイメージがあるんだけど。
え、アルティメットバッファロー!?
略してアバロー!?
「いやー、美味しかった」
「フェー」「ムェー」
花子とよしおも耳がピコピコしてる。満足して眠そうでもある。
「マリーさん、お部屋のカギです」
「ども、あのお肉ってどうやって仕入れてるの?」
直球で質問する。
「バルトロメウスさんという方がとってきてくれるんです。お父さんが料理を作ってくれる代わりだ、って言って」
バルトロメウスさんまじイケメン!誰か知らんけど!あれ売ったらトンデモ価格がつくのに。
「へ、へぇ、太っ腹なのね。もしかしたら明日からもお世話になるかもしれないから、楽しみにしてようかな」
本当は高級宿に行くつもりだったが、気が変わった。
明日からもここの宿でもっと贅沢させていただこう。
部屋に入りベットへ倒れこむ。
か、硬い……
「花子ーかもんー」
「……」
花子はまっすぐ伏せて、おやすみムードだ。来てくれない。
「よしお―」
「ムェー」
返事をしてこっちを向くが、やはり抱き枕にはなってくれなさそう。
明日は早々に、この宿のベット事情を改善しなければ……!
魔王討伐など忘れ、眠りについたマリーであった。
★☆★☆★☆★☆
「この子?うーん」
エステサロンAYA
まりあが帰った少し後、アヤは兵士の質問を受けていた。
アルパカに乗った女の子を見たことはないか、と聞かれ、一緒に顔の似顔絵を見せられた。
服や髪から、間違いなくさっきまでのマリーだろうと確信するが、
「残念だけど、ウチには来てないわねん」
さっきまでのマリーでしかないと思い、そう答えておくことにした。
良客の秘密は守るのだ。
「アルパカに乗れないって話、驚いていたわよね」
外を走る兵士の感じからして、かなり大規模な捜索なのだろう。
マリーちゃん、大丈夫かしら?と心配するが、
「まぁいっか。次来たら聞いてみましょ」
とりあえず、店じまいにすることにした。
アヤさん、強キャラ臭がしますがただのオネエさんです。
服装はいたって男性的です
バルトロメウスさんの説明がないのは理由があるので許してください(´・ω・`)