私が危険を先回りして察知した話
トウドウに連れられてその占い師は私の元へとやってきた。
「お初にお目にかかります。占い師でございます」
その占い師は薄気味悪い笑みを浮かべながらそう言った。
「うむ、ご苦労だった。では早速占ってもらおう」
「かしこまりました」
占い師はそういうと持っていた鞄から亀を取り出した。
置物でもぬいぐるみでもない、本物の亀だ。
「えやっ!」
というと占い師は亀の甲羅を拳で突いた。
亀の甲羅にヒビが入り、占い師はそれをしげしげと眺めている。
無言の時間が続く。
しばらくすると、
「出ました」
そう占い師が告げる。
「出たか、どうなのだ」
「はい、大変今、貴方は危険な状態にあると言えます」
占い師は淡々と答える。
「なに、危険だと?」
「はい、大変危険でございます」
占い師は臆することなく私に告げてくる。
その様子を見れば見るほど、この占いの信憑性がまとわりついてくる。
「どう危険なのだ?」
私は語気を荒げて占い師にせまる。
「はい、一言で言うなれば破滅でございます」
占い師はそんな強い言葉を使っても全く表情も態度も変えない。
まるで今日の昼食のメニューでも答えるかのような、そんな口ぶりだ。
「破滅だと!そんな事があるわけないだろう!」
私はよりいっそう語気を荒げる。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦でございます」
占い師は占い師の常套句を告げる、
実に忌々しい。
「ええい、では私は破滅を回避するにはどうすればよいのだ?ただ占うだけが占い師ではなかろう。
その占いに対するアドバイスをして、占いというのは成立するのだろう?」
占い師はコクリと頷き
「さようでございます。が、この場合の私のアドバイスと致しましては何もしないというのがよろしいかと思います。貴方が何かをすればするほどそれは破滅へと向かって行くのでございます」
「何もするなだと?」
「左様でございます」
占い師はなおも動じない。
「本当にそれしかないというか?」
占い師はコクリと頷くだけだった。




