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迷宮の王  作者: 支援BIS
第1部 ミノタウロス
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第4話 剣士




 ミノタウロスは、ある機能に気が付いた。


 きっかけは、三人の冒険者との闘いのあと、剣士の使っていた両手剣に興味を持ったことである。

 斧を置いて、剣を拾い上げようとした。

 そのとき、どういう意識の働きか、右手の斧を、ひょいと左肩の上に納めたのである。


 手斧は、何もない空間に消えた。


 斧が消えたことに驚き、そんなことをした自分に驚いた。

 いろいろ試してみて、左肩の上に、いわば見えない収納袋があって、物品をしまっておけるのだと分かった。

 剣でも、杖でも、ポーションでも、銀貨でも。

 そのほか、試した物は、何でも収納できた。

 岩でさえも。

 重さは感じない。

 収納できる数には限りがあるようだが、今のミノタウロスにとってはじゅうぶんな数であったし、そもそもミノタウロスは、数を数えることができなかったので、気にはならなかった。


 取り出すときには、その物品を思い出しながら左肩の上をまさぐる。

 すると、その物品がつかめる。

 そのまま引き出せばよいのである。


 その見えざる収納袋を、戦利品置き場として使うことにした。

 よい闘いから生まれた戦利品は、俺とともに在ればよい。

 そう考えたのである。


 あの闘いで、ミノタウロスは再びレベルアップをした。

 だが、ミノタウロス自身にとり、あの闘いの思い出は苦い。

 自分はまだ戦い方を知らない。

 そう思い知らされたのである。


 階段を上ってみよう。

 そう思った。

 新たな敵に出合うために。


 階段に足を踏み入れようとすると、心に強いためらいが湧き上がった。

 その不快感を無理やり押し込めて、階段を上った。


 九階層に上がると、剣戟の音が耳に入った。

 階段の近くに、横穴がある。

 音は、その横穴から聞こえる。

 穴をくぐると、中は広い部屋になっていた。


 豚のような顔をしたモンスターと、五人の人間が闘っていた。

 モンスターの数も五匹で、長剣、槍、短剣、鉄棒、太い棍棒を持っている。


 対する人間は、剣を持った男が三人、杖を持ってローブをまとった女が一人、祈祷書を両手で広げて持っている女が一人である。

 人間たちは、後ろに現れたミノタウロスに、気付いていない。


 前衛の剣士三人は、よい動きを見せて、五匹のオークを防いでいる。

 杖を持った女は、ぶつぶつと呪文を唱え、「ライトニング」と叫んで、モンスターを指す。

 すると杖から光弾が飛び出して、モンスターを直撃する。

 モンスターの腕が吹き飛んだ。


 すかさず、右側の剣士がそのオークの胸に剣を突き入れる。

 オークが血を吐いて倒れ込む。


 魔法使いは、またもぶつぶつ呪文を唱えている。

 「ライトニング」と叫んで光弾を撃つ。

 今度は、中央の剣士ともみあっていたオークの腹をえぐった。


 左側で二匹のオークを相手にしていた剣士が、一匹の持つ短剣をたたき落とした。

 が、もう一匹のオークが振り下ろした太い棍棒をよけそこねて、したたかに右肩を打たれた。


 「回復おねっ」


 負傷した剣士が叫ぶ。

 神職の女が、「キュア!」と呪文を唱える。

 祈祷書が、ぼわっと緑色に光る。

 淡い緑の光が、一瞬、傷ついた剣士を包み込み、消える。


 「ありっ」


 中央の剣士は、横腹をえぐられたオークの下腹部に剣を突き入れると、ブーツでそのオークを蹴り飛ばした。

 蹴り飛ばされた先には、棍棒を振りかざして左側の剣士に襲いかかろうとしているオークがいた。

 モンスター同士がぶつかって体勢がくずれるあいだに、中央の剣士が飛び込んで、棍棒を持ったオークの首を薙ぐ。


 傷の癒えた左側の剣士が、中央の剣士と位置を入れ替え、突っ込んで来たオークの槍を、剣でたたいた。

 オークの槍は地面に突き刺さる。

 手がしびれたのか、一瞬動きが止まるオーク。

 剣士の脇をかすめて、ライトニングがオークに突き刺さり、致命傷を与えた。


 「おいおい、危ねえって、今のライトニング。

 かすったぞっ」


 「だいじょうぶだって。

 ちゃんと狙ってるから、あんたを」


 「俺を狙って、どうすんのっ」


 「そこを、あんたがさっとかわせば、オークを直撃できるってわけよ」


 戦闘に決着がつき、余裕が生まれたのか、冗談の応酬をしながら、剣士が魔法使いを振り返った。

 そして、後ろの怪物に気付く。


 かくん、と剣士のあごが落ち、目は驚愕に見開かれる。


 「み、み、み、み」


 「水が欲しいんなら、三べん回ってわんって言いなさい。

 私はもう水持ってないけど」


 「み、み、み、み」


 「今日は一段と、カレンのロルフいじりが好調だね」


 「うん。いい感じに絶好調だね」


 残ったオークにとどめをさした二人の剣士が、笑顔で振り返る。

 ともに、ミノタウロスに気付き、真っ青になる。


 それを見て、魔法使いの女と後ろの女も、振り返る。


 魔法使いのカレンが、失神して倒れかかる。

 剣士のロルフが、すばやく駆け寄って、抱き留める。

 その隣では、神職のジョナが、へなへなと崩れ落ちる。

 残りの二人の剣士は、剣を構える気力も失せたのか、ほうけたように、怪物を見ている。

 この若い五人パーティーは、数日前に、Dクラスに昇格したばかりである。

 つまり、一対一なら六階層のモンスターに勝てる、という程度の強さである。

 連携のよさで、九階層で同数のモンスター相手に危なげなく闘ってはいるが、彼らのほとんどは、ミノタウロスの一撃でHPを全損する。

 しかも、今は、見た目ほどは余裕のない闘いを終えたばかりなのである。

 後ろに立つミノタウロスの姿は、死神に見えたはずである。


 ミノタウロスのほうでは、よい動きと連携をする者たちであるから闘ってみるのも面白いかと思っていた。

 だが、人間たちにみなぎっていた闘気は、すうっとしぼんでしまった。

 戦闘になりそうもないので、興味を失い、振り向いて部屋を出た。





 九階層は、オークの出現する階層であった。

 オークは、単体では十階層の灰色狼より弱いと思われたが、その代わり、必ず群れで行動していた。

 また、いろいろな武器を持っていた。

 刃物の扱いは不器用であったが、膂力があるため、棍棒などの鈍器には、意外なほどの破壊力が込められていることがあった。

 十匹ほどの集団であれば、ミノタウロスも、そこそこ闘いを楽しむことができた。


 それも、すぐに飽きた。

 オークには、およそ連携というものがない。

 動きは単調で、攻撃は力任せである。

 その力さえ、今のミノタウロスに傷をつけるには及ばない。


 フロアボスの部屋にも行き当たった。

 この階のボスは、巨大なオークであるが、ミノタウロスに比べれば小柄である。

 剣筋は粗雑で、何のひねりもない。


 あっさり首をはねた。

 長剣と銀貨がドロップしたが、拾おうともしなかった。


 階段を探しては、次々と上って行った。

 ゴブリン、コボルト、毒蜘蛛など、階層ごとに出現する敵は変わった。

 上の階ほど、敵は弱くなった。

 途中、何度も人間に行き合ったが、逃げる相手は追わず、また、戦闘中の相手や、戦意を向けてこない相手は無視した。





 六階層で、すさまじい敵と出遭った。


 剣士であった。

 風のように走り、フロアのモンスターをかわし、階段を上がろうとしていた。


 ミノタウロスが、殺気を込めて背中を見つめると、いきなり身を翻して切りかかってきた。

 剣速があまりに速く、かわすこともできない。

 胸を深く斬られ、血が噴き出す。

 痛みとともに、怒りと喜びがミノタウロスの脳を満たした。


 今まで出合ったどいつよりも強い。


 剣はやっと長剣といえる長さで、驚くほど細身だった。

 美しい輝きを放つ剣であった。


 細剣使いの後ろから、フロアモンスターが襲いかかった。

 細剣使いは、ろくに振り向きもせず、白刃を一閃させた。

 急所を的確にとらえたのであろう。

 血も出さずにモンスターはくずおれ、消えた。


 ミノタウロスは、剣士と闘った。


 細剣をふるう、その剣士の姿は美しかった。

 鮮やかな剣さばきに翻弄され、ミノタウロスは体中の至る所を切り刻まれたが、急所だけは守りきって持久戦に持ち込んだ。


 しばらく攻防を繰り返したあと、細剣使いは急に手数を増やして踏み込んできた。

 ミノタウロスは、半歩下がって体勢を整える。

 細剣使いは、すばやく後ろに跳びすさりつつ、左手を腰の小物入れに伸ばす。

 ミノタウロスは、両手の斧で地面の岩つぶを弾き飛ばしながら、細剣使いに接近した。


 細剣使いは、剣で三個の飛礫を斬り飛ばし、左手で二個の飛礫をさばいた。

 そのほかの飛礫は体にかすらせもしない。

 だが、そのとき、左手でつかもうとしていた何かが、小物入れから飛び出して地に落ちた。

 ポーションである。


 こいつは、疲れている。


 と、ミノタウロスは感じた。

 それは、判断とか分析というより、嗅ぎ取った、というのが当たっている。

 剣士は、深い階層で、数日にわたり、強力なモンスターたちと闘ってきたあとだったのである。

 ミノタウロスは、休みを与えない、という戦術を選んだ。


 細剣使いが飛礫をさばくあいだに、ミノタウロスは、斧の間合いぎりぎりの位置を取った。

 その間合いを保ち抜くつもりである。

 斧と腕を合わせたリーチは、細剣使いの剣と腕を合わせたリーチより、少し長い。

 この間合いを保って、両手の斧を振り回し続ければ、細剣使いは防御に追われ、攻撃はしにくい。


 細剣使いは、何度も距離をかせごうとしたが、そのたびに、ミノタウロスは、無理をしてでも阻止した。

 一度など、深く踏み込んできた剣を、わざと脇腹で受けて、タイミングを狂わせることもした。

 思惑が狂って苦しいはずなのに、剣士の無表情な顔に、わずかな笑みが浮かんだように見えた。


 そのあと、細剣使いは戦術を変えた。

 もう距離を取ることも、ポーションを使うことも諦めたのか、ミノタウロスが要求する間合いに敢えて応じ、喉と心臓を狙ってきたのだ。


 すさまじい勢いの剣戟が続く。

 ミノタウロスは、顔を切り刻まれても、のけぞることはしない。

 のけぞってしまえば、腕が伸びきり、斧の扱いにゆるみがでるからである。

 胸は血だらけだが、決して後ろには下がらない。

 この距離を保つ限り、どれほど表面の皮や肉を削り取られようと、厚い胸板の奥にある心臓には届かない。


 ミノタウロスの胸から噴き出る血で、細剣使いも真っ赤に染まっている。

 目にも血が飛び込んでいるが、一瞬たりと目を閉じることはしない。

 これほど長い時間、ミノタウロスのリーチの中で闘いながら、ただの一度も斧を身に受けていない。


 こいつは、大したやつだ。


 ミノタウロスが剣士に感じた思いは、人の言葉でいえば、尊敬に近かったろうか。

 とはいえ、人間の体力には限りがある。

 ひときわ激しい連続攻撃で、斧を持つミノタウロスの両腕をずたずたにしたあと、一瞬、息苦しげに剣士の動作がゆるんだ。

 次の瞬間、右手の斧が剣士の肩口に食い込んだ。


 剣士が大きくよろける。

 目は力を失っていないが、目の周りが黒ずんできている。


 ミノタウロスが息を詰めて連続攻撃をすると、珍しく、まともに細剣を斧に打ち合わせて、攻撃を弾いてきた。

 かわしたり、そらしたりするだけの余裕がないのであろう。


 そのまま押し込まれて、剣士は転倒した。

 左斧が、剣士の左足を、すねの上の部分で断ち切った。

 ミノタウロスは、さらに一歩踏み込んで、胴体に右斧を打ち込もうとした。

 すると、神速の剣が、ミノタウロスの左足を大きく薙ぎ、そのまま円を描きつつ、なおも速度を上げて、足をかばって体勢を崩しかけたミノタウロスの首を刈った。


 ミノタウロスは、危うく首をひねって、致命傷を免れたが、首から血潮が噴き出す。

 それは、そのまま、剣士の下半身に降り注ぐ。

 もはや、ミノタウロスの血と、剣士の血は混ざり合って、区別も付かない。


 首をひねったため、いよいよ体勢を崩したミノタウロスは、剣士の体の上に倒れかかる。

 細剣が、くるりと反転して、血を噴く首筋に迫るのが分かる。

 ミノタウロスは、剣士の体に身を寄せつつ、左肘で、右手を押さえ込んだ。

 細剣は、側頭部を浅く切り裂くにとどまった。

 ふと見ると、剣士の左手に、ポーションがにぎられている。

 最初に落としたポーションである。


 いつの間に。

 油断も隙もないやつだ。


 ミノタウロスは、右手で剣士の左手を払った。

 ポーションは、剣士の手を飛び出し、岩壁に当たってつぶれて散った。

 ミノタウロスは、すばやく右手で斧を握り直し、背中に回す。


 キュイン!


 と、剣が斧にはじかれて鳴った。

 剣士が剣を引き戻そうとするのを、ミノタウロスは左手の肘で押し放し、その反動で起き上がる。

 喉首のすぐ前を、剣尖が通り過ぎる。


 剣士は、身を起こそうともしない。

 もうそれだけの体力がないのであろう。

 両目を閉じて、細剣を体の上に横たえている。


 ミノタウロスは、頭の側に回り込もうとする。

 音も立てず、光の軌跡だけを見せて、細剣がふるわれた。

 まるでスローモーションのようだった。

 細剣が、きれいな円を描いた。

 ミノタウロスの右足首が、半ばまで切り裂かれた。


 細剣はと見れば、いつの間にか、剣士の胸の上に戻っている。

 赤黒く染まった岩場と、モンスターと、人間と。

 その中で、細剣だけが、血にまみれつつ血のりをはじいて、銀色の美しい光を放っている。


 剣士は、眠っているように見えるが、不用意に間合いに踏み込めば、何物たりとも切り裂かれてしまうであろう。

 満月のように美しいあの円弧は、この剣士の絶対制空権なのである。


 ミノタウロスは、迷った。


 このまま待てば、やがてこいつは死ぬ。

 ポーションの使用さえ許さねばよい。

 待つべきだろうか。


 だが、次の瞬間、自分の愚かしさに笑いがこみ上げる。


 馬鹿か、俺は。

 俺が求めるものは、勝利ではない。

 俺が求めるものは、闘いだ。

 俺が求めるものは、より強い俺だ。

 今、ここに、死に瀕してさえも俺を圧倒する、すばらしい敵がいる。

 死ぬな。

 少しでも長く俺を苦しめてくれ。


 ミノタウロスは、剣の間合いに注意しながら、剣士の頭の側に回り込んだ。

 体中から血が流れ出し、ずきずきする。

 ミノタウロス自身の体力も、そうはもたない。


 だが、頭や心臓を狙うのは無駄だ。

 剣だ。

 やつの剣が生きている限り、やつを倒すことはできない。

 やつの剣は、やつの命そのものだ。


 ミノタウロスは、慎重に剣筋を予想しながら、相手の間合いに踏み込んだ。


 キュイン!!!


 剣士の攻撃は、正確に敵の足を薙いだ。

 だがその軌道に、ミノタウロスの斧が差し出された。

 細剣が、斧に食い込む。

 すばやく細剣が引かれようとする、その刹那、ミノタウロスは、渾身の力で斧をねじり上げる。


 パッキイィィィィィィィィン!


 細剣は、折れた。


 剣士は、薄目を開けて、顔の前に掲げた愛剣の残骸を見つめた。

 ミノタウロスは、斧を剣士の心臓に打ち込んだ。

 剣士の体が一瞬跳ね上がり、口から血があふれ出た。

 剣士が、ミノタウロスを見た。


 その眼差しには、怒りも、恐怖も、憎しみもなかった。

 ミノタウロスは、剣士の目を見ながら、首を刎ねた。


 またもミノタウロスの体は、変化を始めた。

 レベルアップである。

 より強く、より速く。

 すべての傷は消え去った。

 そのとき、ミノタウロスは、


 やつに付けられた傷がすぐに消えてしまうのは、惜しいな、


 と思った。

 剣とはこれほどまでに変幻自在なものなのか。

 見事な敵であり、満足のいく勝利であった。


 剣士が消えたあと、大量のアイテムが、そこに残された。

 いったいどこに、こんなにたくさんのアイテムを持っていたか、と思えるほどである。

 剣士も、見えない収納袋を持っていたのだろう。

 ミノタウロスは、深い充足感を味わいながら、アイテムの中から腕輪と短剣を拾った。


 傷は癒やされたものの、体の隅々まで、ひどく疲れていた。

 頭ももやがかかったようである。


 ミノタウロスは、十階層の大部屋に戻った。

 水を飲んで、眠った。

 泥になったように。


 目が覚めると、湖の水を飲んだ。

 心身の充実が、実感される。

 以前とは比べものにならないほど、戦闘力は上がっている。


 さらに劇的な上昇を遂げたのは、知力である。

 もともと、モンスターの知力は低い。

 ミノタウロスは、その中でも、特に知力のステータスが低い。

 それが、レベルアップにより、知力が底上げされ、情報認識、理解、分析、記憶、総合処理など、関連ステータスが、Bクラス冒険者なみに上昇していた。


 思考は、すっきりと冴え、生まれ落ちてからこれまでの出来事を、つぶさに思い起こすことができた。

 細剣使いとの闘いを振り返り、勝てるはずのない闘いに勝ったのだと、あらためて理解した。

 そして、場面場面での、相手が取り得た行動、こちらが取り得た行動を、頭の中でシミュレーションした。


 いつの間にか、ここで闘った三人の荷物がなくなっていた。

 荷物の中で、興味があったのは、長剣だけであり、それはもう見えない収納袋にしまっておいたので、問題はないが。

 細剣使いとの闘いのあと、見えない収納袋の収納可能数は、数百倍に増えていた。


 部屋を出ると、二匹の狼がいた。

 飛びかかって来るところに斧を合わせて、ほとんど力も使わず、一瞬のうちに二匹を倒した。

 こんな相手に多少とも苦戦したなど、信じられないほどである。


 ミノタウロスは、再び、上への階段を上り始めた。

 このまま上に向かっても、もう強いモンスターはいないであろうが、一度、行ける所まで行ってみよう、と思った。

 この迷宮が、迷宮でない世界とつながっているのなら、その迷宮でない世界を一目見たい、と思ったのである。






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