夢の意味
ぎゃあ!!!
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コンコンコン、と小さく扉を叩く音がする。
3回音を鳴らすのはミツキの癖。
大きすぎる扉を開ければ、微笑みも深く愛する妹が立っていた。
また侍女に何もさせなかったのだろう、簡単に纏められたであろう銀糸の髪は何筋もおくれ毛を首筋に垂らし。
簡単にミツキに選ばれただろうその白いローブはどこか形がいびつに整えられている。
「にいさま」
鈴の鳴るような声と共にミツキがその柔らかい身体・・・もとい腕を伸ばし芳しい身体を寄せて来る。
抱き寄せてその額に唇を落とすと、ミツキがくすぐったそうに身を捩った。
「アデルにいさま」
「おはよう、僕の可愛いミツキ」
「おはよう・・・・・にいさま」
潤む菫の瞳にまた唇を落とすと、不意にミツキの身体が軽くなる。
傍目に見えるその愛しいミツキを攫う腕は長兄のもの。
「ユーリにいさま」
「ミツキ」
ぎゅう、と音がするほどに妹を抱き締めると、長兄・・・・ユーリはその精悍な顔を綻ばせた。
「んっ・・・・苦しい、ユーリにいさま・・・・」
はぁ、とミツキが悩ましげな声・・・・・いや苦しそうな声を喉元から出すとユーリはその力をほんの少しだけ緩める。
そして腕に掛かる質量、そのぬくもりを指先でなぞった。
「おはよう、俺の可愛いミツキ。今日も可愛いな」
「ユーリにいさま、アデルにいさま、おはよう」
花が綻ぶ。正にその笑顔をミツキが兄2人に向けると奥から呆れた様な声が飛んだ。
「毎朝、飽きない?」
長い煙管から紫煙をゆっくりと吐き出しながら声を掛けるのはミツキが愛して止まない母。
長い髪を横に纏め、その端々には季節の花が差し込まれている。
その大きな紅い花の存在感が薄れる様な程の母の美貌。
花に合わせたのか紅いドレスはミツキが見とれるほどに母に似合っていた。
「かあ様、おはようございます」
「おはよう、ミツキ。ルーンも」
『エミール。今日も美しいぞ』
ト、とミツキの肩からルーンが飛び降りる。そのまま女王のドレスの裾に口づけを落とした。
「座れ、愚息ども」
ゆったりとエミールが煙管で椅子を指し示すと、慌ててミツキはユーリの腕から逃れエミールの傍の椅子に腰を下ろす。
それに倣って兄たちが椅子に腰を下ろすと、待っていたとばかりにいそいそと侍女たちが朝の食事を運んできた。
母の手が流れる様なしぐさで食物を口に運ぶ。
ただ口に入れているだけなのに、その所作の美しさに毎回ミツキは見とれてしまう。
母の様な女性になりたい、とつい真似をしてしまうのだ。
母であるエミールはこの風の国の絶対君主でも有る。
風の国の継承者で有る母は大きな風の力をその華奢な身体に秘めている。
風の気質そのまま、の母は強く、そして気ままだ。
美しく、気高い風の女王、エミール。
「さて」
パチン、とエミールが指を鳴らすと、手に持った煙管の先から細い煙が上がった。
ふう、と息を吐くかのように煙を美味しそうに吐き出すと、エミールは眼を細め愛しい娘を見つめた。
美しく可憐に育った娘。
いかんせん自分の器量を自覚していない節は有るが。
「かあさま・・・」
「ん?」
「あの、最近夢見が悪くて」
「夢?」
美しい眉をつと顰める。
「それはいけないな。あまり寝れないなら一緒に寝てやるぞ、ミツキ」
「ユーリ兄上と寝るなら僕の方が安全だよ、ミツキ」
「黙れ、愚息ども」
煙管をゆっくりと美貌の息子たちに向け、黙らせる。
「すごく綺麗な光とすごく真っ暗な闇が・・・・・上手く言えないんだけど」
「光と、闇?」
「ええ。何て言うかすごく不思議な感じがする夢」
「ふ・・・・・ん」
煙管を弄ぶようにクルリと回すと、エミールは何かを逡巡するかのように美しい紫の瞳を娘に向け、そして息子たちに走らせた。
「ユーリ。今の夢をどう思う?」
「さてね、母上。言うなれば光と闇と言えばこの精霊国を作ったものだ。所謂上の世界だろ」
「なるほど。アデルはどうだ?」
「光と闇の神と言えば絶世の美女姉妹とか。ミツキは姉妹に愛されてるのかもしれませんよ」
「・・・・・・・・・」
ユーリとアデルの答えにエミールは面白げに頷く。
「色んな答えがあるものよな」
「かあ様?」
「ミツキ、昔私も同じような夢を見た事が有る」
「かあ様も?」
「うむ。それも期間を開けて3回も有る」
「私はここ最近ずっとよ」
ふふ、と何かを思い出したのかエミールが微かに笑う。
「ミツキ、お前はまだまだ子どもだと思ったが」
え?と母の嬉しそうな声にミツキは眼を大きく開けて美しい母を見つめた。
「お前は今から色々な男に会う事になる」
「え?え?」
「まあ焦る事は無い。お前は選び、そして選ばれるのだから」
「え?かあ様?」
「母上、一体何を・・・・」
兄たちもエミールが何を言っているのか解らない様子だ。
勿論、ミツキ自身も全く解らない。
「伴侶だ」
「は、んりょ」
「まさか、母上」
「旦那だ」
「だんな」
「え、いや母上、ちょ」
「夫を探せ、ミツキ」
母の言葉に声も出せず、ミツキはその場に固まった。
携帯で見たらページ数が余りに少なかったので今回は長めに投下してみました。
読んで頂き本当にありがとうございました。ぺこり。