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精霊国の姫君  作者: あかり
第1章
19/25

赤の王子の初恋

「ところでな、ヒュー」

「はい?」

「さっきの話だが」

「どれでしょう?」


ヒューイが軽く首を傾げ、聞き返す。


「ミツキの嫁入り」

「ぶっ!」


ヒューイがまた盛大に吹き出す。

何回同じネタでヒューイを弄る気なのか。

―――――――勘弁してくれ。


「―――――――――ヒュー、欲しければ、やる」

「―――――――――は?」


実際ヒューイの声は裏返っていた事だろう。


「ミツキがお前を望めば、お前にやろう」

「・・・・・・・・・え」

「ま、嫌なら良いがな」

「いやいやいやいや!嫌とかでは無くですね!」


思わずヒューイは焦って声を出した。

―――――――一体何を言っているのか、この方は、ホントにもうっ!

エミールの発言は驚く事ばかりだ。


「まぁ、確かに。ミツキには素晴らしく小うるさい小舅もおるし」


頷く。間違い無い、あの2人は相当なものだ。

納得しまくりだ。

まだ幼い頃からミツキへの執着は相当なものだった。

一緒に遊んでいるだけで横から何度も凍てつくような視線を感じた様な気がする。


「更に母親はこれだし」


―――――――――・・・・・・。

答えられない。

本人眼の前に一体何と答えれば良いんだ、おいっ!

助けを求めてディラスを見るが、相も変わらず呆けた様にエミールを見つめたままだ。

役に立たん竜め。


「だがな、ヒュー。ミツキも良い年頃だ。これから先、色んな男にも会うだろうよ。そしてまたその色んな男たちに同じ事を私は言うだろう。ミツキがお前を望めば、お前にやると」

「・・・・・・・はい」

「結婚を反対してしまう親にはなりとうはない」


クスリ、と肩を竦めながら微笑むその姿に、ヒューイは合点がいった様に小さく笑った。


「つまり、ミツキの恋愛に反対する気は無い、と言いたかった訳ですか」

「ふふ」

「全く・・・・・急に婚姻の話をするから焦りましたよ」


行きましょう、とエミールを促しながらヒューイは歩き出す。


「僕には解りませんが・・・・・ミツキが選ぶならその人は間違い無いと思いますよ」

「・・・・・・お前かも知れんぞ?」

「ミツキは僕をただの幼馴染としか思ってませんよ」


呆けているディラスを肩越しにヒューイは掴み、肩に乗せる。


「だけど、もしお前を選んだら?」

「―――――――ッ」


思わず赤くなる頬に、ヒューイはエミールから眼を逸らした。


「・・・・・・無いですよ、そんな事・・・・・」


ヒューイの照れた顔、そしてそれを隠す口調に、エミールは笑みを向ける。


「顔に出てるぞ」

「そ、そんな事はッ!」

「生意気なことを。ミツキはお前の初恋の相手だろうに」

「ぶっ!!!!!」


ヒューイは思い切り吹き出すと、エミールを大きく振り返る。

――――――――ちょ。


「知らんと思っていたのか?」

「はぁ。弄られたくない綺麗な思い出でした。出来れば知らないままが良かったです」


がくりと項垂れるヒューイの横で、エミールがまた高らかに笑った。



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