<楽園と反逆と……>
初投稿です。
批判、評価、感想の方よろしくお願いいたします。
ありふれたお話ですが、読んで頂ければ幸いです。
ラズフル歴1230年〜〜
突如世界を襲った爆発と異変………
世界は、爆発と共に現れた、絶対的な力を持った邪悪なる王族が支配する地獄と化した。
爆発と異変から逃れた人々は、王族によってあらゆる自由、権利を奪われ執拗な迫害を受けていた。
そう、この物語は自由の為に戦った大馬鹿者のお話。
〜〜〜〜序章〜〜〜
/プロローグ/
<楽園建国>
ラズフル歴1250年〜〜〜
魔道都市オーディルにて…
かつて、此処は沢山の魔道師や召喚師で賑わっていた。
しかし、今となっては廃墟同然。
絶大な力の前に、自由を奪われ、抗う事を忘れ、王族に迎合した人々が住まう都市。
深夜…………
ハァッ、ハァッ、ハァッ…
人が全くいない路地裏に逃げ込む人影。
人影は、王族軍に追われている。
迷路の様な路地裏を巧みに走り、一人二人と巻いて行く。
「何処へ逃げた!貴様ら、一人相手に何時までかかってる!」
隊長と思われる男の怒声が響いている。
人影は物陰に隠れ、様子を伺う。
バタ、バタッ
人影が、フと王族軍から目を離すと何かが、倒れる音がしたので、慌てて確認すると、軍人は全員地面へと沈んでいた。
充満するむせ返る様な、血の臭い……
月明かりの中に、一人の男だけが立っていた。
少しだけ見えた顔は、返り血で汚れ、手には、剣が握られていた。
男は、人影に気づくと歩み寄った。
人影は、気圧されその場から動く事ができなかった。
「追われているのだろ?また、直ぐに追っ手がくる。こっちだ……」
男は、人影の腕を掴み走り出す。
走りながらも、襲い来る王族軍を斬り捨て、血の雨を降らせて行く。
どれだけの人を斬ったかわからなくなり、太陽が昇り始める頃に、なってようやく男は、走るのをやめた。
明るくなった事で、人影は、青年であることが分かった。
先刻までの、暗闇を写した様な黒い髪と目を持ち、精悍な顔つきをしている。
また、青年と同様に男の容姿もハッキリと確認出来る。
赤い髪、銀の瞳……
衣服は、返り血で汚れ、王族軍を斬っていた剣は鈍く銀色に光っている。
男は無駄や隙がない動きで、青年の方へと向き直る。
「あの追われ様………
正規居住者では、あるまい。
研究所からの脱走者だろう?」
オーディルの外れにある非道な人体実験を行う研究所の存在は、そこに住まう者ならば誰もが、知っている。
より強靭な、より忠実な、より機械的な兵士を作り出す為に、沢山の人間が収容されている。
収容されている者の殆どは、王族軍への反逆を試みた若者だ。
青年が真実を突き付けられ、言葉に詰まる。
「なんだ。違うのか?」
男は、鼻で笑いながら言った。
「答えないのなら、王族軍に突き出すまでだが……」
青年は、意を決して言葉を紡ぐ。
「違いません………
でも、俺はもう、自由を奪われて生きてるのは沢山なんだ!!
もし、あんたが邪魔するなら、俺はあんたを殺してでも此処から…」
「此処から出てどうする。 王族の支配が及んでいるのは、オーディルだけではない。 あれ程、美しかったラシベーナの都も今も此処とさほど変わらん。」
男は、青年の言葉を遮り静かに語る。
「くっ! そんなの分かってる! だったら、俺がその場所を作ってやる!
こんな、世界は俺がぶっ壊す!!」
青年の怒声が路地中に響き渡り、やがて静寂が訪れる。
男は顔色を変えず、小馬鹿にしたように話す。
「ほう………
若い者が考える事は違うな。お前に出来るか?」
「出来るか出来ないかじゃない………
やるか、やらないかだ。
周りにいた奴らは、警備が厳重だからビビって、あの糞みたい研究所からにげようとすらしてなかった。
出来ないから、やらない奴らばっかりだ。」
青年の力強い言葉に、さっきまで淡々としていた男は目を見開いた。
「小僧……………
いや、勇敢な若者よ。
名を教えてくれ。」
「グレン。
グレン・リリエル。」
「グレン・リリエル。
良い名前だ。
俺はお前に光を、希望を見た。
お前の作る楽園に、俺も加えてくれないか?」
グレンは、男の言葉に、驚きを隠せない様だったが、次第に嬉しそうな顔をした。
「も、勿論!
あんたが、着いて来てくれれば、楽園まで近道が出来る!
えっと………名前は?」
「ジェスト・カストールだ。
好きな様に呼べ、楽園の王よ。」
喋りながら、ジェストはグレンの前で、膝をおった。
その様は、即位したばかりの若い王に、先代から仕える騎士が忠誠を誓うそれに良く似ていた。
「そんな………
立ってくれ。
でも、あの………その………俺が………」
グレンは何か言いづらい事があるのか、口篭ってしまった。
「どうした?ハッキリと言え。」
「ただ、俺みたいな小僧が王で良いのかなって………
ジェストの方が、威厳があって………」
グレンの言葉から一拍おいてジェストに笑いが込み上げてくる。
「アッハッハ、ハハッ、」
人気のない、路地裏に本当におかしくて堪らないといった笑い声が響く。
「何が可笑しいんだよ!
笑い過ぎだ!」
「やはり若い者が考える事は違うな!
作るのは、お前だ。グレン。
お前以外の誰がなるのだ。胸を張れ。」
そういって、立ち上がりグレンの首に腕を回す。
「パーッと、建国記念に行くか。王よ。
今日の酒は美味いぞ。」
「俺まだ、19なんだけど………」
グレンが照れ隠しの様に悪態をつく。
「気のせいだ。
気にするな。」
まだ、陽も高いうちから酒場へと二人の影は消えて行った。
ラズルフ歴1250年〜〜〜
魔道都市オーディルにて…………
小さな小さな反旗が翻った。
グレン・リリエル
ジェスト・カストール
そう、この物語は二人が自由の為に、楽園の為に戦うお話。
この後、まだ続く予定です………
もう少しお付き合い下さい。
暖かく見守って頂ければ幸いです。




